第130話 魚釣り大会開催、魚と皇子様
生徒総会を経て、早々に魚釣り大会が開催された。
参加者は、チーム戦と個人戦のそれぞれにエントリーする方式で、チーム戦は何人組でも構わず、チームでの上位2名の合計で競い合うのだった。
魚釣りは、学園の池で行われ、勿論、キャッチ・アンド・リリース式なので、審判員を募集した。
募集したら、生徒会、いや、会長である皇子様とお近づきになれるかも知れないと考えたのか………女性徒達が殺到し、ラウル達を悩ませた。
レティは、個人戦とチーム戦にエントリーをした。
騎士クラブの弓兵(予定)達の32名でチーム戦に挑む事になった。
魚釣り大会の服装は自由だったが、弓兵(予定)のチームは、何時もの練習着で参加していた。
部長のエドガーに、練習着の着用の許可を取っての参加だった。
衣装まで揃えてのこのチームの意気込みは凄かった………
開催の挨拶は
アルベルトに闘志剥き出しのレティが担当した。
「 皆様、打倒皇太子殿下です。そして打倒生徒会チームです! 心を一つにして、彼等をやっつけましょう!! 」
自分も生徒会チームの筈なのに、他チームに入り、生徒会チームをやっつけようと言ってるレティに、生徒達は大ウケした。
アルベルト達も、いきなりレティが言い出した事に大ウケし、ラウルはレティの頭を撫でながら、これで盛り上がると大喜びをした。
そして、生徒会チーム VS 学園総出チームの対決がスタートした。
可愛い………
お可愛らしい………
天使だ………
学園の男子生徒達が、騎士クラブの練習着のレティの姿にメロメロだった。
赤のチュニックのダボダボの上着を着て、真剣な顔をして釣りをする公爵令嬢レティに見惚れていた。
時折、弓兵(予定)チームと笑ってるレティに胸キュンしていた。
俺にも笑いかけて欲しい………
話しかけて欲しい………
天使だ………
いや………
一番見惚れていたのは、皇子様だった………
「 おい、アル、レティばかり見てないで、釣りに集中しなよ 」
「 無理、レティが可愛すぎて辛い………」
あいつらが、レティに不埒な真似をしたら、稲妻を飛ばさないとならないので、目が離せ無いのだと言うアルベルト。
レティは弓兵(予定)達に囲まれ、楽しそうに笑っていた。
弓兵(予定)達を、押し退けて別のグループも、レティの側にやって来て、レティに話しかけている………
皇子様は立ち上がった………
生徒会会長として、学園の不埒なオス共を成敗しなければならない。
並々ならぬ我が国最強のオスのオーラに、別のグループのオス共は逃げて行ったが………
32名の弓兵(予定)達の前に、公爵令嬢が立ち塞ぎ、皇子様と対峙した。
「 殿下、今は勝負中ですので、邪魔をしないで下さい、ワタクシ達、絶対に生徒会チームには負けませんから 」
闘志剥き出しのレティに皇子様は、顔を歪ませ、抱き締めた。
「!? ちょっと………殿下、何するの?……… 」
アルベルトの腕の中でもがくレティ。
ギャラリーからピンクの歓声が上がった。
そして………
皇子様は何も言わずに、立ち去った。
「 お前、何しに行ったんだよ? 」
帰って来たアルベルトにラウルが呆れた様に言った。
「 駄目だ、レティが可愛すぎて辛い………」
可愛らしい顔で、目を吊り上げて言うんだぜ………
もう、抱き締めるしかないじゃないか………
騎士クラブでも、ついついレティを抱き締めてしまうアルベルトなのであった。
ああ……可愛い………
騎士クラブのブカブカの練習着を着てるレティは、誰が見ても、ただただ可愛らしいのであった。
魚釣り大会が終わり、結果発表となった。
チームの優勝は生徒会チーム
個人優勝は、アルベルト皇太子殿下
皇子様が1人で20匹以上も釣り上げて、1人勝ちであった。
キャッチ・アンド・リリースなので、同じ魚が皇子様を気に入り、何回も食いついたんじゃないかと言う結論になったのは否めない。
ふん………
皇子様を参加させたのが間違いよ。
1人で20匹なんてあり得ないわよ。
魚を手懐けるなんて卑怯だわ………
レティが悔し紛れにそう言った。
「 何でこの娘は、可愛らしい顔をして、そんな悪い事を言うのかな? 」
アルベルトからほっぺをつねられたレティなのである。
因みに、レティは2匹。
チームとしても、気合いが入り過ぎて魚が恐がり、話にもならなかったのである。
ラウル達生徒会チームも、ラウルは1匹、レオナルドは途中から、審判の女性徒達と楽しくお喋りに勤しみ、エドガーは魚釣りに向いていないと、途中から止めて、木の枝を木刀代わりに振っていた。
その他のチームも似たような結果で、女性徒達は、魚をも魅力する皇子様に、流石は我が国の皇子様………と、ただただうっとりするのであった。
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