第128話 生徒総会で、皇子様VS悪役令嬢



生徒総会に

全校生徒が集まるなんて聞いたことが無い。



これも、皇太子殿下が会長だからなのか………

兎に角、講堂は超満員で凄い熱気だった。



生徒会会長の皇太子殿下の挨拶が終わり、役員の紹介が終わると、アルベルトは壇上の椅子に座り、肘掛けに肘を起き、副会長のラウルの年間行事の説明を聞いていた。



会長が真ん中の椅子に座り、エドガーとレオナルドは会長の向こう側の椅子に座り、こちら側は副会長のラウルの椅子があり、その横にレティが座って、メモを取っていた。



アルベルトは、片肘を付き、レティから貰った万年筆をクルクル回し、ラウルの椅子の横に座るレティを気怠そうに見ていた。

レティと目が合うと

悪戯っぽい顔をして、万年筆にチュッとキスをした。


なっ!……

この皇子は何をするのだ?

こんな全校生徒の前で………


案の定、会場はざわざわ、キャアキャアしだした。


お兄様………早く横に座って……

レティは真っ赤になりながら、メモを取るふりをした。




今年度は

1学期には、魚釣り大会と、スポーツ大会

2学期には、文化祭と、クリスマスパーティー

3学期には、缶けり大会と、卒業式セレモニー



生徒会としては、文化祭しか関わって無かった今までを、大幅に変更した案になっていた。

今回は学園主催のクリスマスパーティーと卒業式にも、生徒会が関わる事になった。



勿論、魚釣り大会は私の案………

フフフ………殿下に負けたままではいられませんからね。


昨年の夏の長期休暇に、公爵家の領地で開催した魚釣り大会で、不本意な敗けかたをしたのをレティは根に持っていた。



各項目ごとの詳細はその都度決める事にして、生徒会予算は大幅にアップしたが………

全校生徒一致で「 異議なし 」を唱えたのは圧巻だった。

学園中が1つになったのだ。




司会進行はレオナルドだった。


「 さあ、これで生徒総会はお開きにしますが………

壇上には、皇子様と悪役令嬢がおります

折角ですので、二人の対決を見たいと思いませんか? 」



会場は、われんばかりの大歓声と黄色い声で、騒然となった。




えっ?!聞いてないよ………

しかし、全校生徒からの期待の目が、向けられている。



よし、

悪役令嬢ならやってやろうじゃないの………

………と、足を開き、仁王立ちになり、顎をクイッと上げ、腰に手を当てた。



殿下も、ニヤリと笑い、片膝を付き、手を胸に当てた。



「 リティエラ嬢、どうか僕に好きと言ってくれないか? 」



ゲッ!!

こいつは何を言い出すのか…………



「 オーホホホ、ワタクシにそれを言わすのは百万年早くてよ 」



会場が大爆発して、大歓声に包まれた

皇子様がフラれた~と大ウケだった。



ラウルとエドガーも、お前ら最高だと騒いでいた。



いや、これ牧場デートの続きで……リアルガチなんですが………

殿下を睨むと、殿下は、ニヤリとしながら私の側に近寄って来て、私の髪を一房掴み上げ唇を押し当てた。



またもや会場はピンクの歓声が上がった。




「 はい、熱々なお二人の余興はこれでお仕舞いです、解散!」

……とレオナルドはニヤニヤしながら言った。




講堂から生徒達が引き上げていく………




「 レオナルドーっ! 何をやらすのよーっ 」

……と、レティはレオナルドの襟を持ち、ガクガクさせていた。


慌てて、アルベルトがレティを抱え、レオナルドから離した。


帰り際にこれを見ていた生徒からピンクの歓声が上がる。



「 いや、君達なら、絶対に外さないと思って……」

レオナルドが、してやったりの顔をする。



「 いや~ウケたウケた! レオ、よくやった! 」

エドガーがガッツポーズをしながら言った。



ラウルは、これは次も使えるな………と

4人で顔を付き合わせて話しをしていたが、レティはプンスカ怒りながら、生徒会室に歩いて行った。




君達がいればこんなにも楽しい………

学園の生徒達は、誰もがそう思った。





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