第96話 閑話─兄達のレティ



「 医療行為は前から出来たのか? 」

………とエドガー。


「 知らねぇよ、レティは領地で本を読んで、見よう見まねだと言っていたけどな 」

と、ラウルが言う。


納得はしないが、周りはそれしか結論に達せなかったのである。

まさかレティが、何度も繰り返す人生の中で、医師だった事があったとは、誰も想像すらつかないのだから………


親父やお袋は大して驚いて無かったよ。

レティならやりそうだと………

……と、ラウルは首をすくめた。



「 去年、留学してから俺は1年近く会って無かったけど、あいつは、入学してから何か変わった気がする 」

……と、ラウルが言う。



「 俺、あの時、レティに惚れちゃったよ、迷い無く縫って行く所なんて………カッコ良かったぞ 」………と、エドガー。



「 俺のレティは、何時も途中で寝ちゃうんだ、可愛いよな 」 ………と、レオナルド。


どうやら語学クラブはレティの癒しの場となっている様だ。


「 レティは留学したがってるよ 」

と、ラウルが言う。

「 じゃあ、俺も、一緒に行っちゃおうかな~ 」

と、レオナルド。


「 無理だな、来年度は4年だぞ 」

「 そうだな、もう4年になるのか………」


4人は、来年度は最高学年になる。




兄達のそんな話を片耳で聞きながら

アルベルトは、今朝、レティに結んで貰ったマフラーをほどいていた。



あんな至近距離に、可愛いレティの顔があるんだよ。

今度はチューしてしまうかも……

駄目だ、そんな事をしたらレティが怒ってしまう………


アルベルトは食堂にもマフラーを巻いて行こうと考えていた。



「 アル、食堂は止めとけ、レティに怒られるぞ! 」

勘の良いラウルが、呆れた様に言う。



じゃあ、今日はもう結んで貰えないのか………

……と、耳が垂れてしゅんとする皇子様。



レティは、今日は友達と街に遊びに行くらしい。

レティの予定は、ラウルから何時も聞いているアルベルトだった。



大体、馬車で通学してるんだから、マフラーなんかする必要は無いのにな………


兄達は思った。

この皇子様は

レティの事になると凄く可愛い………と………





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