第20話 側近は見逃さない


「 殿下、最近楽しそうですね、何かございましたか? 」

彼はクラウド・ラ・アグラス。

アルベルト皇太子殿下の側近である。


伯爵家の次男坊であったが、結婚を機に既に親からは独立をしていた。

愛妻との間には5歳の愛娘がいて、愛妻は只今妊娠中である。


皇子より15歳年上の彼は騎士団出身で、皇子が5歳の頃から護衛騎士として仕えていた。


クラウドは頭も良く、かなり有能な男だった為に、何れは皇子の側近として有望視されていた。


昨年1年は皇子が留学していた事もあって、勉強として皇帝陛下の秘書の一人として働いていた。


皇子が帰国したので、今年から護衛兼秘書として正式に仕える事になったのだ。




「 ………まあね 」

アルベルトが嬉しそうに目を細めた。



殿下の護衛騎士からは、色々と報告を受けている。


学園内では遠巻きではあるが、何時も必ず2名の護衛騎士達が殿下を守っている。


なので、当然ながら料理クラブ帰りの2人の逢瀬は報告されていた。


図書室からの帰りに殿下の馬車に乗った事も。


そして、大事な公務の途中に、私的な理由で宰相の家に寄って、誕生日プレゼントを渡した事も…………




リティエラ・ラ・ウォリウォール嬢か………



我が国の宰相のご令嬢だ。

そしてあのラウルの妹だ。



殿下の5歳の頃からの護衛だったので、あの悪がき達を何時も追い掛け回し

馬との危険な遊びをした時には、怒って彼等を木に吊るしたのは他でもないクラウドだった。



身分的には何の問題もない。



もう少し調べてみるか……



へえ………

殿下が恋をしたかぁ……

クラウドはワクワクしていた。







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