第4話 調査活動

 美白先輩のとんでもない事実を聞かされ調査を開始する。まずは一番相談に乗ってくれそうな人。一番美白先輩を疑っていたAクラスにいそうな正統派っぽい舞姫友利先輩に力になってもらおう。

 4部屋。


「あ、あの、舞姫先輩」


「おや、貴方は光さん。どうしましたか?」


「見たんですよね?」


「見ましたよ、わたくしはやっていませんよ」


「わかってます、そうじゃないんです。もし、次の犯行が行われるとしたら、時間は分からない物の誰が狙われると思いますか?」


「貴方はまだ犯行が続くと思っているのですか。わたくしは美白さんが怪しいと踏んでいますからね。疑っているわたくしを殺しに来るでしょう」


 その通りです。犯人は美白先輩です。ですが言ってしまうと私の負け。私は約束を破れない。そういう性格だ。


「そうですか…あと、私を恨んでそうな人や美白先輩が苦手な人っていますかね」


「貴方を恨んでそうな人は性格上いないと思いますが、苦手となればわたくしでしょうね」


「そうですか、ありがとうございます」



 続いて3部屋は私なので2部屋の結美さん。結美さんの言うとおりにしていればよかった。


「結美さん」


「ん?どうしたの?」


 蓮花ちゃんを失って泣いているかと思って声を掛けづらかったですが大丈夫なようです。


「もし、もしですよ?次の被害者が出るとしたら誰だと思いますか?」


「なるほど、ね。成瀬美白いるところ波乱あり、だね。蓮花ちゃんの言ったとおりだったよ」


「なんかごめんなさい」


「ううん、もし、か。私と蓮花ちゃんは同じ高校、それに友達で接点が多い。となると次狙われるのはあたしなのかな?ヒントとかは?」


「なるほど、早く阻止しなくては、ヒントはそういえば出されていましたっけ…」


「ないなら本気であるなら舐められてるね、他には?」


「私を恨んでたりしてる人知りませんか?」


 この方は美白先輩と接点がありませんね。苦手な人を聞く意味はないでしょう。


「うーん、まず他校だからね。それにもしあたしが光ちゃんを恨んでてもあたし光ちゃん恨んでるって言わないでしょ?」


「そうですよね、分かりました。ありがとうございます」


「あまり妙な真似はしないほうがいいよ?ほんとに取り返しのつかないことになるから」


 はい、実はもうなっちゃってるんです。そうだ、そういえばちょっと近寄り難いBクラスにいそうな竜奈先輩。何かあると頼るといいって言ってましたね。

 1部屋ではなく食堂にいました。気に入ったのでしょうか。


「焔先輩、頼りたいことが」


「あたしに頼る?いいわよ何でも解決してあげるわ」


 この方も美白先輩と接点はありませんね。苦手な人物は分からないでしょう。


「もし、次に狙われるとしたなら誰が狙われると思いますか?」


「あんたも次があるって思ってるのね?」


 あれ、焔先輩も次があることに勘づいていた?


「そうね、これが姫の言う犯人が美白なら話が早いわ。美白は6部屋。いなくなった蓮花は5部屋よね?つまり次は4部屋の姫が狙われるわ、でもあたしが姫の盾になるから次に狙われるのはあたしね」


 なるほど、最後の盾になるがなかったら結構いい線な気がします。この人鋭い?6部屋が5部屋を消し4部屋を消し3部屋を消し、最後に残るのは柳原先生。


「あとは実はその、姫が私を恨んでいたとかありませんか?」


「あんたを?恨まれることでもしたの?一番可能性があるのは身内よね。柳原先生、と美白のどっちかよね?」


「確かにそうですよね、ありがとうございます、参考になりました」


 意外にも焔先輩が一番鋭い意見だったような気がする。最後に担任の先生に話を聞こう。私は管理室に向かった。


「柳原先生」


「はぁ…どうしたの、光」


「もしなんですけど、次の被害者が出るとしたら誰だと思いますか?」


「恐ろしいことを言わないで頂戴…まず本当に犯人がいるのかしら?」


 いるんですよ。


「いた前提でですよ」


「貴方が興味本位で首を突っ込むのも珍しいわね…こんな残酷な事件に。そうね。私も含め全員殺すことはできたわ。でも消す方法がわからないのよ」


 犯人は知っているけど話に乗っておく。


「焔先輩もですか?」


「そうね、彼女が本当にあの時に1部屋にいたとは限らないもの」


「ですがトイレにも食堂にもいなかったんですよね?なら1部屋しかありませんよ」


「あるわよ、あの時、友利が死体を見ているであろうその時に食堂に、見たことを確認してから1部屋に戻った」


 可能性としてはありえなくないですが犯人は分かってるんです。


「確かにその線もありますね。では美白先輩が犯人だった場合は?」


「殺害した後6部屋に戻り平然を装う、平気で嘘が吐けるからね、でも死体だけがなくなるって変よね」


 そういえばなんで五つのお題にトリックを見破れ、がなかったんだろう。私にはまだ早いのかな?肝心の次の被害者です。私は次の被害者が出ない選択肢を捨てました。


「美白先輩なら次は誰を狙いますかね?」


「まるで犯人が美白とわかってるようね、まあそんな気もしなくないけれど。そうね。消去法で竜奈と友利はないわ」


「なぜですか?」


「竜奈はあまり頭が良くなさそうよね、殺すメリットがないわ」


 いえいえ、すごく鋭かったですよ。


「友利は美白を一番疑っている。だから殺さない。一番疑っている人物を殺すほど美白は馬鹿じゃないわ。美白のやり方ならそうね。友利をはめるために光、貴方を殺すわ」


 心臓がドクンと震えた。そうか、そうだ。わざわざ私に自白するなんてリスクが高すぎる。次に私が殺されるから自白しても関係ないんだ。つまり、舞姫先輩を陥れる殺人。


「で、では、私を恨んでいる人物とか美白先輩が苦手そうな方とか…」


「貴方を恨む人物?少なくとも私は恨んでないわよ?蓮花も美白に恨まれたから殺されたと考えたら貴方を恨む人物なんて美白が犯人なら美白、一人しかいないんじゃないかしら?」


「私は恨まれていた…確かにDクラスは変な生徒の集まり、Cクラスは人望が厚い、と評価されてきたけどそれならC組全員が…」


「もし美白が犯人ならよ?」


「は、はい」


「あとは美白が苦手な人物ねぇ…あの子見た感じ共通点なしの竜奈や結美にも普通に話しかけていたしいないんじゃない?」


「確かにそうですよね」


 ですがいないという選択肢ありましたっけ?もしないとするなら最初に殺害したであろう蓮花さんこそ苦手な人物。


「ありがとうございます」


「貴方が背負うことじゃないのよ」


「はい、わかってますよ」



 それから昼食を食べ、蓮花の居場所の謎は深まるばかり。途中で美白先輩は誘ってきた。


「あー、美白ご飯自分の部屋で食べるねー、蓮花ちゃんのお肉もーらお。光ちゃんも自分の部屋で食べなよー」


 答えはまだか?という目をしているような気がした。



 美白に質問だけしてみた。


「あの、苦手な人物がいないという選択肢は」


「ないよー」



 自室で考える。



 次の被害者    神崎光  

 勘づいている人物 焔竜奈

 美白の苦手な人物 七宮蓮花

 光を恨む人物   成瀬美白

 最後の生存人数


 一つでも正解していればいい。特に次の被害者と勘づいている人物にはかなり自信がある。だから急がなければならない。あとは…。


「もしかすると美白先輩はもともと殺人犯だったのかもしれない…」


 私の導き出した可能性。この潜水艦では警察は動けない。殺人を他者に濡れ衣を着せる、あるいは、現場にいた目撃者全員を殺害し嘘を貫き通す。成瀬美白ならそれができる。すべての人間を嘘で騙し今まで罪を背負っていた。つまり、最後の生存人数は一人だ。

 答えは出た。美白先輩の部屋に行こう。私が部屋に出ようとしたとき、意外な事態が起こった。6部屋から悲鳴だ。美白先輩の声?


「美白先輩?」


 犯人であるはずの美白先輩が倒れている。お腹を押さえている。殴られたのだろうか?私より先に来ていたのはまたしても蓮花さんの第一目撃者、舞姫先輩。もしかすると犯人は二人いるのかもしれない。


 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る