其ノ十一 『タイムカプセル』
明が泣き止んだ後、俺らはこの後の動きについて話し合うことにした。
「どうします、和さん…。」
「ぬぅ。」
和さんが唸る。
「ぬぅ。うぐっ。はふへひのへのふっ!」
和さんが壊れた。
「はふへひのへのふっ!」
明、この言葉が気に入ったらしい。
「よし、こうしよう!」
おっ、和さん、いいアイデアが⁉︎
「まず、僕の腕輪と柊真君の腕輪で、柊真君と明ちゃんは現代に帰る。僕はこっちで彼らの本拠地を探す。二人は向こうでタイムマシンの奪還を防ぐ。」
「でも、ペアの腕輪をくっつけないと帰れない仕組みなんじゃ…。それに、和さん一人で大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫だし、さっき明ちゃんと美沙の腕輪でタイムスリップできていただろ?だから行けるはず。
早く行って!二人に奪還されたらタイムマシンが機能しなくなる可能性が高い!」
そう言いながら和さんは自分の腕輪を外し、明に渡した。
明がそれをはめる。
「行くよ!」
そう言って、俺らは腕輪をくっつけた。
カチャッと音がして、周りが眩く光り、眼が眩む…。
気がつくと、俺らはカプセルの中だった。
俺らは、出発した日に戻った。つまり博士は今俺らを送り出したところだ。
辺りを見回すと…。
葉月が博士にナイフを突きつけていた。
俺らは気づかれないようにそっと外に出る。
「さあ、渡しなさい。」
「…無理だ。これを使っているうちにわかった、歴史は変えてはいけないものなのだと。」
「そんなの、物語の中だけの言葉に過ぎない。実際には変えたって構わない。…美沙、こいつを取り押さえて。」
葉月があった途端、美沙さんが博士の首に腕を巻き付け、ロックした。
「美沙、離せ!」
美沙さんは無表情のままだ。
「お前一人じゃ運べないじゃろう!」
「甘いわ。私は、触れているものと一緒にタイムトラベルできるのよ。」
そして、二つのカプセルに片手ずつで手を置く。
美沙さんが手刀で博士を気絶させ、葉月の元に駆け寄り、肩に手を置く。
やばい。持ってかれる。
俺は、木刀で葉月の後ろから襲い掛かる…。
「バレバレなのよ!」
すると、葉月が後ろを振り返り、ナイフを振りかぶる。
突然のことに、俺は咄嗟に動けなくて。
鈍い音がしたと思ったら、俺は、右肩を切られていた。
「柊真っ⁉︎」
明の叫び声と、葉月がにやっとして美沙さんと消えるのが同時だった。
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