152 老舗のブランドカレー

 こんにちは。


 私はそこそこカレーが好きです。

 できれば欧風じゃなくて、インドやタイの小麦粉とバターを使ってい無いようなカレー。

 家のカレーもルーを買ってこないで作る、野菜とトマト缶とスパイスのカレー。これが家庭の味なのですが。もちろん外で食べるのも大好きです。


 私が住んでいる地域は、意外にも朝食にパンとコーヒーを食べる人が日本で一番多い事で有名なのですが(なのでパン屋さんも多い)、実はインド系のカレー屋さんも多いのです。

 一説によると、学生の街なので留学で来日した方がそのまま定住する流れがあるそうな?どこまで本当か分からないですが。

 でも多いのは確かです。


 なので気になるカレー屋さんが訪れやすい場所にある場合は、たいてい行くのですが、過去に一軒だけものすごく後悔したお店があるのです。


 老舗七味屋さんが始めたカレー屋さん。……なのですが、これがびっくりするくらい大はずれ。


 七味はおいしいんですよ。

 今もそうなのかは知らないですが一子相伝の七味だそうで、私も長年そこの七味を愛用させていただいています。

 他の七味に比べて、おうどんでも鍋でもお漬物でも何でも、その七味を加えるだけでワンランクアップすると言うか、香りがこの上なく食欲をそそる一品なのです。

 そんなお店が作ったカレー。おいしいハズですよね?想像と期待が膨らみますよね?

 テレビで見た時、もうずいぶん前になってしまうのだけれど、行列が出来ているという情報だったのです。

 確かに私が行った時も、行列までは行かないけれど、店内はいっぱいでした。


 もう薄々は私の住んでいる地域は想像できると思うのですが……この地域ではネギが有名でして。色んな有名野菜があるんですけれど、その中でもネギは別格なくらい名前が売れてしまっているというか。

 地元民からすると別に特別でも何でもなく、毎日食べるごくありふれたネギがそれなので、何ともないんですけれど……


 そのカレー屋さんの推しはそのトッピングにネギを使ったカレーです。あと唐揚げ。

 ルーは普通の欧風でした。


 ネギも加熱処理した(たぶんゆでてる?)ネギがカレーの上に乗っている。唐揚げも特別に美味しいわけでもないものがカレーに乗っているだけ。


 食べて「……なんで?」と疑問しか出てこない状態で。

 誰がテイスターだったの?マーケティングはどうしたの?と、とにかく、怒りを通り越して疑問しか出てこないのです。


 だって観光にやって来て、超有名老舗七味屋が作ったカレーだから、おうどん屋さんなどの黄色い出汁の効いたカレーなのかな?とか、和風スパイス屋さんだからカレーにもその和風スパイスの要素(山椒やら柚子やら醤油やら)が感じられるのかな?とかそういう事を期待して、カレーを食べに行くわけです。

 でも出てきたのはサラリーマンがランチに、とりあえず腹を満たす為だけに、味は度外視で詰め込む系のご当地感はほぼゼロのカレーだったのです。ネギは乗ってますよ。でも取って付けた感が否めない。そして、ネギをかき消してしまうくらいのどうでもいいカレー。


 私でももうちょっとお客さんの気持ちとブランドイメージを壊さないカレーが作れるぞ……と、ワナワナとしながらお会計をして店を出ました。


 あのテレビで見たすごい行列……あれが短期間で無くなっていたというのは、こういう事かと身を持って学習しました。

 これがリピーターがいないという事なんですね……


 今もそのお店は有りますが、行列は見た事がありませんし、大きな駅ナカなので一軒いちげんさんだけでも何とか商売になるのでしょう。(都会にありがちなお店形態)


 という話を食道楽な知り合いに話すと、どんなものでも与えられたものの中から良いところをクローズアップしてプレゼンをする私が、ここまで言うのはいかなるカレーか!と食べに行ってくれるのです(笑)

 逆の逆プレゼン!こんなことを書きながら私は売り上げに貢献しています(笑)


 そして行ってくれた方たちは、みんな一様に私の言っていた通りだと。←

 私も、ですよねー、と。



 あれから月日がたち、今日、一度もこのカレーを食べていない友達が思い出して食べてみたいと言ったのです。食べていないのに思い出すくらい強烈な印象!(笑)

 もしかしたら、年月が経ちカレーの内容が変わっているかもしれません。あまりにアレなカレーだったので。

 でも私は、一日三回しか食べることができない食事の貴重な一食をあのカレーで胃を満たしたくないのです。金輪際絶対に!

 そう思わせるほどの、おいしくも無く特徴も無いカレーだったのです。胃に詰め込むだけの……物体、、

 だから「あのカレー、リニューアルして美味しくなっていたよ」報告は絶対に出来ないのです。

 あれから行列が復活したという話も聞かないし、見てないし。


 一応言って置くと、ものすごくまずいわけではないのです。

 なんの特徴も無いというのが、ものすごく土地と店のブランドを裏切り過ぎて腹立たしくなるのです。

 これは食べた人にしか分からない「普通」っぷりなのです。

 特別に美味しいわけでもなく、まずいわけでもなく、特徴も無く、幸福感も無く。

 スキー小屋のカレーを和風テーマパークで出された様な……

 スキー小屋はあれはあれが美味しいんですよねぇ。環境の問題ですね(笑)



 ほら。これなんです。

 前にかいた私のプレゼン病。

 これを友達にやってしまうんですよねぇ。

 でも食に関しては信頼してもらっているようで、みんな私のプレゼンを活用してくれたりするので嬉しいです(笑)


 出汁の効いたカレーに山椒をふって食べる……、そんなカレー屋さんだったらなぁ。はぁ。

 

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