140 平常心とパフォーマンス
こんにちは。
いやー、当たり前のことを言いますが、とうとう12月。師走突入ですね。
今年も早かった。特に早かった。ちょっとした個人的な事情で。
早かったというのは、何かに打ち込んでいたから早く過ぎたのではなく、何にもしないで自堕落な生活をしていたから早いのだ。
一番アカンやつ。
でもまぁ人生の中にそういう時間もあるだろう。
ところで今日ピアノで名誉ある賞をとった方が「親に叱られたり嫌なことがあっても、友達とケンカした日でも、この作曲家の曲さえ弾けば平常心に戻れた」という事を話されていて「やっぱ、大切なのは平常心だよね~……いや待てよ?」となった。
平常心。
これがいくつになってもなかなか身に付かない。
分かっているのに出来ない。
本当に平常心というのは、究極の極意というか、最終奥義というか。
私がライブをする時、目に見えるところに「平常心」と書いた紙を置く。
これは人前に立って何かをする事がある人は覚えがあると思うのだけれど、本番という物は「早く」なってしまう。
学校の放送とかでも慣れていない人が喋ると、早口で何を言っているのか分からない……までは行かなくても、せっかちで情緒不安定な感じがする、と感じたりしたことは無いだろうか。
生徒会などの演説でも早口が多い。その中に、ひとりだけゆっくり話す人がいたなら、それだけでその人が一番成熟しているように見えたりする。それくらい、お決まりのあるある。
音楽も同じこと。
バンド全体で早くなるんですよ……こわ。
これは緊張と言ってしまえばそれまでなんだけれど、心拍数がネズミ並みに早くなっているからではないかと。
アカペラとかボーカルとギターが同時で始まる曲だったりすると、どうしてもボーカルが全体のピッチを先導してしまうので、気を付けないければいけないのです。
リズムを掌握するドラムやリズムの専門家のベースだって本番は早くなったりしてしまう。
だから体の中心から出て行く物しかないボーカルは特に注意。
ボーカルはピッチ(早さ)だけでは無い。
息を吸う量や、喉の使い方、正しい歌詞が思い出せるか、素に戻らないか……一番はきちんと周りの音を落ち着いて聞けているか。
これが平常心でないと、ステージ上の音って聞けないのです。
楽器によってアンプがばらばらの方向を向いていて、
だから集中してどれかの音に合わせて歌うしかない。
これが平常心でないと絶対に出来ないのです。
ボーカルはだいたいベースを聞いて歌う。
でも低音ってああいう環境ではなかなか耳に届きにくい。
かといって、ギターやピアノが聞けないと歌いにくい所もある。なのに自分の声もしっかり届かないと歌う事は不可能です。
ライブって平気な顔でやっていても、ずっと冷や冷やした綱渡り状態。
平常心でいられること自体が、仙人のような超越した状態なんです。
対バンをしたバンドのボーカルは「深呼吸」と書いた紙を見える所に置いていたの見た事がある。
きっと同じことなんだなぁって思った。
私は状態を書き、彼女はそこに至る方法を書いている。
役者さんでもきっとそうなんだろう。
熱くならないといけない部分もあるけれど、平常心の自分が手綱を握ってこその演技。
職人さんはモロにそうだろう。
暑い日でも寒い日でも、お腹が空いていても、疲れていても、身内が亡くなっても、同じ状態の物を作る。
修行ですね、ほんと。
私がもう一つ、平常心!と思っているのに出来ないの事の一つが、写真です。
写真に収める画角や明るさなど、撮っている時にはどうしても正しい判断が出来ない。
「よし!これで良いだろう」と納得をして撮り終えたとしても、自宅に帰ってから改めて見ると、どうして下の部分を切って上を撮らなかったのだろうか、とか、水平がとれていないとか、明るくし過ぎて光飛びしている所があるとか、ピントが甘いとか。
本当にあれだけ平常心!と思っていているにもかかわらず、平常心ではない状態だったことに後から気が付く。
自分にがっかりする……ということを繰り返しています。
しかし今日見たピアニストの方は幼いころから、その曲を弾けば平常心なると言うのだから……荒れていた心が凪ぐというのだから私と逆ではないか。
何者にも成れない凡人の私は、いいパフォーマンスをするために平常心になろうと苦労しているのに、超人はパフォーマンスをすることによって平常心になれるなんて。
心のどこかで「平常心になろう」という一呼吸があって、無意識にスッと凪ぐんでしょうね。
それが集中力というのだろうか?
何かを成し遂げる人というのは、スイッチの構造が違うのだろう。羨ましい。
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