138 染み染みてんぷらうどん党
こんにちは。
カクヨムで今やっているうどん即席めんのショートストリーコンテストの応募作のレビューをちらっと目にしたのだけれど。
きちんと読んでいないから、詳細はわからないのだけれど、柔らかいかき揚げの賛否が議論の対象になっているお話があるようで。
私ははっきり言って「後乗せサクサク」は反対派です。
いや、反対というと語気が強いな。みんな好きなような食べればよろしい。
私はフニャフニャで食べたい派です。
なので「後乗せサクサク」仕様になった後それは嫌だと思って、一度「先入れフニャフニャ」を狙って作った事があるのだけれど、企業のサクサクに対する飽くなき研究の結果は素晴らしく、先入れでもサクサクでした……。
なのでそれ以降はあの即席めんのてんぷらは食べていない。
かく言う私も、実は最初はサクサク派でした。
でもその好みを変えた人物がいるのです。
それが中高と同級生でつるんでいたО田だ。彼女には私の食の好みを本当に変えられてしまったと思う。
О田はとにかく偏食だった。
好きなものはうどんなどの麺類と唐揚げとフライドポテト、カニパンなどのシンプルパン、餅。ジャンキーなお菓子も好き。野菜は大っ嫌い。乳製品も嫌いだったと思う。
と言っても、別に体重が平均よりオーバーしている訳でもなく、どちらかと言えば痩せている方だろうか。
彼女はとにかく炭水化物が好きだった。粉ものとジャガイモ。
お昼は一緒に学食で食べることが多く、彼女の選択はいつも二択だった。
「唐揚げラーメン」か「天ぷらうどん」。まぁ本当に稀にカレーライス用のカレールーとうどん出汁にラーメン用の麺が入った学食らしいメニューの「カレーそば」を食べるくらい。
学食のてんぷらは言わずもがな、名ばかりのかろうじてこの赤いのがエビかな?くらいのエビがへばりついた99%衣のてんぷらです。平べったく丸いほぼ衣のてんぷら。
私が一度「エビが申し訳ない程度にしか入ってない」と苦言を呈したところ、それは違うと熱弁された事があるのだ。
エビは香ばしさを演出する為だけの物であり、油分を含んだ衣が出汁で染み染みになっているのが美味しいのだと。
確かに。
彼女はいつも割り箸を割ると、てんぷらの下からうどんを引き上げてんぷらの上に放ち、てんぷらを極限まで染み染みにしていた。そして良い頃合いでうどんをてんぷらから下ろすと、てんぷらを
またそれをおいしそうに食べる事。
てんぷらの油を纏いエビの香ばしい香りがほのかにする究極のチープうどん!
なるほどと。
そう言われてみれば、てんぷらは具を食べるものだと言う先入観から、エビが小さい→ダメなてんぷらと自分の価値観では無い部分で判断していたけれど、よくよく考えれば衣自体が美味しいのだと。
そりゃ立派なエビのてんぷらも美味しいですよ。それは当然。
しかしだかと言って、衣だけのてんぷらが美味しくないのとイコールという事は無いのだ。
そう思って食べた後の出汁の染みた衣のおいしさたるや。
常に自分が食べているものに対して、おいしさを見つければいいのだという事をその時に教えてもらった気がする。
あの染み染みのてんぷらの衣が優しい味でまた美味しく、最終的に解けて出汁まで美味しくしてくれる。
それ以降私はてんぷらは染み染みフニャフニャ党になってしまった。
だって、サクサクてんぷらが食べたいなら、てんぷらを食べたらいいのだ。出汁に入れなくていい。
入れるからには「ならでは」のおいしさを生み出したい。そんな感じなのです。
あ、別に絶対サクサク党の方に押し付けるつもりはないですよ。
みんな好きなように食べて「おいしい!」って思えばそれでいい。
私は天ぷらうどんの方にも、フライドポテトもО田にやられたなぁ。
ジャガイモがそもそも好きでは無かったのだけれど(お腹がすぐに膨れる食べ物……端的に言うと炭水化物が好きでは無かった)彼女が私の目の前であまりに美味しそうにフライドポテトをマヨネーズをディップして食べるので、つられて好きになってしまったのだ。
私はマヨネーズも嫌いで食べられなかったというのに。
カニパン系のモソモソするパンも彼女が、とてつもなくおいしそうに食べるので、これまた炭水化物が好きでは無かったからどちらかと言えば嫌いだったのに、めちゃくちゃ食べるようになってしまった。
どれだけ炭水化物系を食べている時、彼女が幸せオーラを発していたのか分かっていただけるでしょうか……
私史上一番太っていたのは、О田にフライドポテトのおいしさを教わった時だなぁ。
当たり前のことを言いますが……フライドポテトとマヨネーズは最強に太りますよ……。ご注意ください。
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