55 ミラクル
こんにちは。
なんか最近、結構ギスギス多めなのが続いたように思うから、ちょっと違う事を書こうかな。
私が憧れのバンドのドラマーに知らない間に出会った時の話。
私のCDのレコーディングをしてくれたのは、とあるベーシストの方なのだけど。
ちょっと強面の(笑)素敵なお兄ちゃんと言った感じの方。
名前をタローさんとしようかな。
タローさんは、フィンランドとゆかりが深くて、フィンランドでの日本のオタク文化のお祭りをしていたり(今はどうかわからないけれど、フィンランドで一番大きなお祭りらしい)、フィンランド人のミュージシャンとバンドを組んで活動されていたり。
私もその繋がりで、タローさんのフィンランド人二人、日本人二人のジャズバンドのジャパンツアーの運転手をした事がある。
ベースとピアノが日本人。ベース──タローさん、ピアノ──マッスルさん
ギターとドラムがフィンランド人。ギター──ポカリさん、ドラム──ポーさん
全員男性で、私だけが女性という五人。
ミュージシャンのドサ回りと言えばハイエース。それをレンタルして、年末に各地を回った。
ピアノのマッスルさんは、ピアニストなのにムッキムキで鍛えているという不思議な人。話しやすい人だった。
ギターのポカリさんは、細身の赤ら顔のおじさん。ポカリばっかり飲んでた。本当はお酒が飲みたいし、自分の国よりお酒が安いからガンガン飲むけど、怒られるから仕方なくポカリを飲んでいたみたい。(お酒をいつも飲んでるから顔が赤い)でも初めは「ポカリの汗」という商品名が怖くて、ポカリとはどういう生き物だ!と思ってしたらしい(笑)飲んでみたらおいしかったとか。
ポーさんは、ぽっちゃりガッチリ。メーカーから無償提供で貸し出されているドラムセットもガンガン運ぶ力持ちで、優しい笑顔が印象的。
音楽の方向がプログレだったから、私はあまり分からなかったのだけれど、すごい事はわかったなぁ。
すごい音っていうのは、そのジャンルが分からなくても心が震えるんだと、その時に知った。
特にポーさんのドラムは衝撃的だった。
音が龍のようにうねるというのはこういう事か!と。
そのうねった龍が、襲い掛かって来て、でも音だから身体の中を確かに侵食しながら通り過ぎてゆく。そんな感じ。
旅は、普段行かないようなところもいったりして楽しかったなぁ。
半島から金沢の方へ帰る時は夜だったのだけれど、あんなに綺麗な星空は見たことが無い!という星空だった。
私が感動していたら、フィンランド人の二人に「こんなのフィンランドではいつでも見られるよ」と言われた(笑)
まぁ道中は、色々とアクシデントもあったりして、大変だったのだけれど……今でいう迷惑運転のオバチャンに事故に巻き込まれそうになったりもしたけれど、事故も無く回る事が出来ました。
おいしい物もいっぱい食べた。
お好み焼きをみんなで食べたり、魚介もいっぱい食べた。寒ブリの季節だったから、寒ブリに
もう旅も終盤のあたりだった気がする。
皆で話す言語は英語なんだけど、私だけ英語が出来ないから、いつもぼんやり聞き流してた。
でもその時だけは、車内で私の知っているバンドの名前で盛り上がっていて、そういえばそのバンド、北欧のバンドだったなぁと思って、そのバンドの事だろうと声をかけてみた。
とりあえず助手席のタローさんに。
「私、V(バンドの名前)のファンですよ~」と。
「え?ポーはVのドラマーだよ。」
──── ぬ?
Vとは、私が大学で劇団に入った時に、四年の先輩たちが好きでよくかかっていたのだ。
フィンランドの伝統音楽的な曲で、それをポップスやロックよりな感じでアレンジしているような。
私も聞きなじみが合って、大好きだった。
あまりにびっくりしすぎて「はぁ……、」と言った。
現実離れしすぎていると、人は驚かないようだ。
急だったし。
その後もタローさんが「メラニーがVのファンらしいよ。」とポーさんに伝えてくれたのだけど、私は「えへへ、」くらいしか言えなかった。
嬉しそうにも出来なかったと思う。
なんか本当に、実感が無くて。
ずっと旅をしてきたポーさんの方が現実だったから。
今さら、憧れの人だと言われてもなぁ、みたいなぁみたいな。
その後、タローさんに「おれも、大ファンだったキャラバ○のデイブ・シ○クレアと知り合った時も、大ファンのスティ○グに自分のCDを送って返事が返ってきた時も、嬉しかったけど、そんな感じだったかもなー」と。いや、名前がビッグ過ぎるから……
(その後、私もデイブさんとはタローさん繋がりで何度かお会いしたけど……今調べたら現在も日本にいらっしゃるのね。色々あったなぁ、)
でもその後、Vとして来日してライブをする機会があって、私はタローさんの
……その時も、別の日本語が話せないギタリストのトーマスを会場まで案内しなくてはいけなくて、大変だった思い出しかないけど……、でもライブは素晴らしくて、あの時は、わぁ!本物だ!となった(笑)
緊張しすぎて、お土産だけ置いて会わずに帰ってきてしまった……
今度は今度で……
なかなか丁度いい距離感の時が無いという言うか。
逆にリアルでしょ、ほんと。
ファンの人に会うというのはこういう物なのかもしれない。
思えば、私が無知で知らないだけで世界的なミュージシャンに色々会わせてもらったなぁ。
良い体験を色々とさせていただきました。
感謝です。
不思議に、私はもともとフィンランドが好きで……というかサーミ族が好きで、そこからフィンランドが好きになった。
サーミ族が好きだから、メイシアに出て来るストローはサーミの女の子。
フィンランド好きが、フィンランドのバンドとツアーをすることになったのも偶然。
ファンのバンドのメンバーがたまたまそこにいたのも偶然。
奇跡ってあるんだなぁ。
神さまは粋なことをするなぁと。
本当に小説より奇なりってこういう事です。
世界が落ち着いたら、フィンランドも行きたいなぁ。
日本語が堪能な友達もいるし、会いたいし、もし私の事を覚えているなら、会いたいお爺ちゃんもいる。
そう思える事が、世界って、捨てたもんじゃ無いなって思います。
*** *** ***
ちなみに、今現在ポーさんはVからは脱退されています。
まぁ、理由は聞いたけど、世界どこでも夫婦の問題は大変なんだな、と思った。
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