52 ライブ、見に行く?聞きに行く?

 こんにちは。


 突然ですが、ライブって、聞きに行くって言いますか?


 それとも、ライブを見に行くって言った方がしっくりしますか?


 確かに「ライブに行く」で事足りるのですが。



 今日とある書き込みを見て、思い出したのです。

 日本人って、とにかく美醜とか目から入ってくる情報が大好きなんだって事。


 

 私はバンドをやっていたので(現在もしていますが、昔はもっと生活の中での割合が高かったので)、ライブでの見え方の理論をすごく考えました。

 

 関西って、すごくステージに上がっている人と、見ている人との距離が近いのです。

 実際の距離ではなく、心のというか……、観客もいつでも出演者になれるという思いがどこかにあると言うか。


 たぶん、お笑いの文化が影響してるのか、その辺のちょっと面白いにーちゃんがステージに立っているという意識がうっすらある。


 だから講演中でも「おもんないぞー」「もっとおもろい話せぇー」みたいな野次を飛ばす。


 関西と言いましたが、アマチュアの音楽シーンというのはとっても狭く、関西だとだいたいが大阪に集まって来る。

 チャンスがあるのも、大きく動く可能性があるのも、他の地方で人気のあるバンドが回ってくるのも大体大阪。

 ライブハウスのクオリティーももちろん大阪の方が良い事が多いし、関西一円、大阪でライブをする機会が多いので「大阪は」と言った方が良いかもしれませんが。

 でも、芸事をしている人が多いのもあるのかなぁと思います。


 野次を飛ばすとも言いましたが、実際にはライブでは野次を飛ばすような無粋な人はなかなかいません。

 でも、わかるんですよね……あの、ステージの一段上がっている高さが、関西ではゼロに近いという事が。肌感覚で。



 東京に行った時、はっきりとわかりました。

 

 東京はそのステージの高さは、確かに存在しているのです。

 ステージに上がっている人が下手でもそこそこでも、「ステージに上がっている演者」としてのリスペクトがある。


 文化の違いなのでしょうが。それが未来につながる結果として良いのか悪いのかは置いといて、ただただ、演者としてはありがたかったです。

 だから東京近郊でライブをするのは好きでした。



 こちらは演者であるという心理的ボーダーラインを、きちんと用意するには、見た目が必要でした。

 

 衣装はもちろんです。

 ジーパンとTシャツがステージ衣装になるのは、もともとカリスマを纏っている人か、メディアなどの力で高い下駄を履かせてもらっているタレントだけです。

 「誰もが認めるステージ側の人」でないと、なかなか難しい。

 ましてや民衆は「アマチュア」には本当に厳しくて、プロが少しミスをするのは心理的に聞き逃してくれるのだけれど、アマがする微々たるミスは聞き逃さないのです。

 それは音楽だけではなくて、立ち振る舞いも、衣装も全部。

 「さぁ、俺が審査してやるぞ。それだからアマチュアのままなんだ。」と行きたいわけです。


 なので、音楽をきちんとすることはもちろんですが、衣装ももちろん。

 でも一番は、下働き的なことをしている場面を見せてはいけないという事です。


 楽器のセッティング、回収などは、緞帳なんかないライブハウスが多いので、お客さんのから丸見えで行われます。


 プロのライブなら、演者ではなくローディーさんが、やってくる事が多いのですが、アマチュアバンドはもちろん本人がします。

 またプロの場合は、前座がある時以外は、リハーサルのままなので、ほとんどやることが無い。


 アマは、三十分ほどのライブを順番に違うバンドが演奏しますからね。

 ドラムのセッティングも、ギターもベースも、アンプの位置さえ違います。


 ボーカルだって、マイクを入れに入らないといけない。


 その全てを観客は見ている。

 

 そそくさと準備をしていた人が、ステージが始まると、急にスター気取りで振舞う。

 そして、終われば、自ら片づける。


 それが似合うバンドや、ご贔屓さんの多いバンド、眉目秀麗ぞろいのバンドは別の話ですが。



 日本人は、ステージに上がる人に対して求める条件が多く、条件に当てはまらない物を目撃したくない傾向が高いのです。

 とにかく自分にない才能をどこかに有しているスターが「見たい」のです。


 プロが見たいし、スターが見たい。

 ステージに上がる人が、下々がやるような事をしている姿が見たくない。


 とどのつまり、日本人の多くは「ライブを見に」行っているのです。

 もちろん全員ではないですよ。

 音楽を聴きに行っている人もいると思います。


 ライブを見に来る人が多いという事は、逆にそれを利用して騙すこともできます。

 お客さんに見える間は、何が何でもマイナスになるような所は見せない。

 (銀幕スターとかの時代は、全くそれでしょうね。)


 異論がある人が居るかもしれないですが、オプション料金を払っても、友達にお願いしても、プロのようにローディーをやってもらうというのは、バンドを成功させるためのセオリーとして、確かに存在していましたし、私も肌で感じた事です。


 

 最初の話に戻りますが、見た書き込みの話。

 もともと別分野でのネームバリューがあるか、眉目秀麗(スターとして認識されているか)であるかという事で左右されるという事態が、小説業界でも起こっているんだなぁという事を感じたのです。


 まぁ、どこの業界でもありますけどね。


 政治家でも、どんな有名政治家が応援で駆け付けても、おばさまたちが画像を撮ってプリントをするのは無かったのに、某元総理の二世議員(お兄ちゃんは俳優)の時だけは、目がハートになっているおばさまたちが即日画像を写真にしていた。

 あれは、本当に驚いた。

 この場合は、両方が適応されるんでしょうね……。

 ネームバリューと見た目。

 きっとおばさまたちは、その人がどんな政策を進めているかは、そんなに関係が無いんでしょう。

 

 

 小説家としても有名な某アイドルさんは「タレントをさせていただいているおかげで、本を出させていただいたり、宣伝もしていただけているおかげで映像化までしていただけて、ありがたい反面、他の作家の方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです」というコメントをされているのを見た事があって、心ある人はそう思うんだなぁと思った事がある。


 確かに、もともと違う分野でファンを獲得していたら、それだけでゼロのスタートよりも売れるから、出版社は飛びつきますよね……

 しかも眉目秀麗。

 日本人、大好き。



 本当になかなか、戦わなくてはいけない敵が多い組と、人生イージーモード組の線引きがはっきりした世の中になっています。


 とは言っても、才能がある人は浮き上がってくるのでしょうが。



 同じように思っている人が居るんだなぁと思ったので、記録に。



 私はどちらでもないのだけれど、メイシア、とりあえず、コミカライズしてもらえないかなぁ……ほんと、夢ですね。



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