5 フネさんの着物

 こんにちは。


 ふと思い出したので。


 今はめったに見ることは無いのだけれど、子供の頃は日曜と火曜にサザエさんがテレビでやっていて、よく見ていた。


 子供はみんなに普通に見ているお話に対しては、違和感を感じることはあったとしても、何が疑問なのかまではなかなか追及しないものなんじゃないかなぁと。受け入れてしまうから。

 だから、そういうベクトルでも純粋という事が当てはまると思う。


 私も、サザエさんがいくつだとか、どうして同居している家族がサザエさんの実家なのだとか、カツオとワカメが、サザエの事を姉さんと呼んでいるとか、小さいころは不思議にも思っていなかった。


 ただ一つ、ん?と思ったのが、フネさんの着替えだ。



 「外食をしよう!」と珍しく、しかも、急に外食が決まったりする回がある。

 急に決まらなくてもまぁ、大体同じ流れなのだけど、家の用事をしているフネさんはギリギリまで自分の準備ができない。

 なので、慌てて「着替えないと!」と着替えだすのだけれど、紫の着物から薄紫の着物へ、とか極めてマイナーチェンジなのだ。


 しかも、着物を着ていて、着替えないと!というものだから、就学前の子供からしたら洋服になるのかな?とか振り袖になるのかな?と思ってしまう。(子供だからね、訪問着や留め袖、振り袖の違いもしらないし、そもそも着物にランクがあるなんて知らないし)

 しかも、子供からしたら、着物の方が洋服よりもお出かけ着なのに不思議だなぁと。

 ずっと、あのマイナーチェンジが不思議で心に残っていた。



 しかし、自分で着物を着付けできるようになって、いや、大人になったからわかるのかなぁ。

 あれは、家事をする時は家用のウールや綿の着物だったんだなぁと。

 そこから、お出かけ用に正絹しょうけんの着物に着替えていたのだなぁと。


 子供の私は年配の人の表現として……そういう記号としてしか着物を受け取ってしなかったのだけれど、時代背景的に、洋装よりも着物の方が慣れ親しんだ世代のお話なんだよなぁと。


 私は着物が着られても、着物が好きでも日常的に着物を着るのはちょっとハードルが高い。

 あれ、内臓が楽なんだけどねぇ。


 もう一重しか着られない季節だなぁと思ったので、思い出したお話。

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