第2話 約束を胸に ①

「到着しました、シンレイさん。」

「あ、はい。ありがとうございます。」

シンは家族との写真をカバンの中にしまい、馬車を降りた。

「送って下さりありがとうございます。」

ぺこりと頭を下げお礼を言う。

「どういたしまして。ご武運祈ります。」

「ありがとうございます。」

シンはもう一度頭下げ一礼し、馬車をあとにした。



 ―――――――――――――――



訓練所の敷地内に入るとテントや小屋みたいなものが建てられたりしていた。

奥の方には大きな平屋が建っていた。

人の行きかいも多い。物資などを箱に入れ運んでいたりする。

「ねぇ、君?」と不意に声を掛けられシンは振り向く。

「はい、なんでしょう?」

「新しく入って来る訓練生の人?」

「は、はい、今日からここでお世話になります。シンエイ・ショーウンです。」

「私は、案内を任されてる、ゼレーナ・シュバイン少佐よ。レーナさんとか少佐って呼んでくれればいいから。よろしくね。」

「分かりました少佐、よろしくお願いします。」

丁寧にお辞儀をした。

「それじゃぁ、案内させてもらうわね。」

「よろしくお願いします。」

シンはレーナに訓練所、各建物、校内を案内してもらった。格納庫、教室、医療室、その他諸々。

ガチャ

「それじゃあ最後にここね。」

開けられた扉の向こうはベッドとちょっとした机、端の方にクローゼット。とても簡素な造りの部屋だ。

「部屋は少し狭いけど、ほとんど寝るだけだから十分だと思うわ。何か聞きたいことなとかある?」

「いえ、大丈夫です、ありがとうございます。」

「そう、それじゃあ私はこれで。明日から朝は早いわよ?」

バイバイと軽く手を振りゼレーナはシンの部屋を後にする。

シンはカバンを置き、中の服なのどを出しハンガーに掛ける。

一通り終わらせベッドへ行き寝た。



 ―――――――――――――――



目が覚めるともう既に朝だった。

すぐ近くの机には淡いグレーの軍服が、恐らく寝ている間に、ゼレーナが置いていったのだろう。

着替えようと服をとるとピラピラと、1枚の小さい紙が落ちる。

「?」

読むと時間と共に、宿舎裏のグラウンドへ集合とあった。

着替え終えたシンは紙に書かれた通り宿舎の裏へ移動しようと部屋のドアを開けると、訓練兵達が小走りで移動していた。

シンは最後尾についていきグラウンドへ移動する。

何列かになって訓練兵達が並んでいる。

朝礼台に上りレーナがマイクを手にとる。

キーンと言うマイクのハウリング音と共にレーナは話を始める。

「皆さん。おはようございます。」

レーナの敬礼に、全員がバッと敬礼を返す。

「「おはようございます!!」」

シンも慌てて敬礼をする。

「え〜とですね。今日から新しく訓練に加わる人が1人増えましたので、紹介しておこうと思いまして。」

何も知らされていなかったシンは動揺が隠せなかった。

呼ばれたシンは前へ行き、朝礼台に上がった。

「えっと…。紹介されました。今日から加わらせてもらいます、シンレイ・ショーウンです。よろしくお願いします。」

反応は無い。ほんの少しざわざわしているだけだ。

一礼しシンは朝礼台を降り、元の位置にもどる。

「ショーウンさんありがとう。ショーウンさんは昨日来たばかりなので、困っている様だったら皆さん色々教えてあげてください。では、解散!」

そう言うと、全員が個々の部屋へ戻っていく。色々な所から自分の名前が聞こえてきてむず痒く、少し早足で戻ることにした。



 ―――――――――――――――



部屋に戻りベッドに座っていると、突然部屋の扉が開いた。

「あ、ごめん。部屋間違えたわ。」

と扉を開けた男は言う。

「君、シンレイくんだよね?俺は、カミヤ・ヴァイシュタル。カミヤでいいぜ。

隣の部屋にいるから、なんかあったら遠慮なく聞いてくれよな、これからよろしくな。」

カミヤは勝手に自己紹介をして行ってしまった。

「なんだあいつ。」



 ―――――――――――――――



その後、シン達は死に物狂いで厳しい訓練に励んだ。訓練が厳しすぎて一部倒れた者もいる。

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