神機 -ジンキ-
御劔湊
第1話 再開、そして決意
日も沈んだ夜、ガヤガヤと賑わう街の中でシンレイ・ショーウンは、久々に会う親友のキリヤ・ランツと街の中心の広場で待ち合わせをしていた。
「ちょっと来るの早かったか?」
シンは5分程早く待ち合わせ場所に到着し呟く。
みんな良く笑っていられるよな…こんなことしてる時も大勢が死んでいってるのに…
トントンと不意に誰かが肩を叩いた。後に振り向いてみると、自分より高い身長でメガネをかけた男だった。
「よっ、久しぶりだなシン」
シンは少し驚きながらその男を見る。
「お、おう、久しぶり?」
「ん?なんで驚いてんだよ、顔になんか付いてるか?」
シンは、男に質問をした。
「えっと…どちら様で?」
「え?なんぜ???」
男はパチパチ目を瞬かせ首を傾げる。
「俺、君の友達のキリヤ・ランツですが…?」
「え?なんでそんなに身長高くなってるの」
シンの知っているキリはまだ、シンと同じ位の身長でありメガネをかけていなかった。
「いや、成長したから」
謎に胸を張ってキリは言う。
「前とかなり変わってたからわかんねぇよ」
「変わってるか?」
「変わってる」
「うっそだぁ〜」
「嘘じゃねぇよ」
このノリはキリだなとシンは確信した。
このままでは全く本題(キリに話がしたいと久しぶりに呼び出された)に入れないので、呼び出した理由を聞いてみる。
「んで、話あるって言ってたけどなんだよ」
「話?」
「…………」
とてつもなく大きなため息が出た。
「呼び出したの誰ですか…」
「あっ!」
思い出したようだ。
「自分で呼び出したんだから覚えとけや」
「ごめんごめん(笑)」
キリは手をすり合わせて謝る。
「座って話そうぜ」
キリは指をベンチの方に向ける。
―――――――――――――――
ベンチに腰をかけ2人は話し出す。
「話ってのはこれけらどうすんの?って話」
「これからの事か?」
キリは頷き話を続ける。
「俺は家の仕事の手伝いをするよ。シンは?なんかしたいことあるのか?」
「俺か…俺は………」
シンは少し考え答えた。
「まだ決まってねぇや」
「そっか」
シンは、「もしかしたら」と付け加える。
「軍に入るかもしねぇ。
この戦争が終わったらさ…今みたいなこの偽りというかさ、見た目だけの平和が終わらせられるかなって…本当の平和が来るかなって…」
そうシンは星の見える綺麗な夜空を見て言った。それに続くようにキリも空を見て言う
。
「そうだな、今より幸せになるよな…。
でも、俺には戦場に行く勇気ねぇわ」
「まぁ、もし軍に入ったらさ、キリは絶対守ってやるよ」
「お?言ったな?(笑)約束だぞ?」
「あぁ」
約束を交わした後2人は別れた。
―――――――――――――――
シンはしばらく考えた。
今後自分がどうしていくか、従軍するのかどうか。ふと思った、キリの親は何の仕事をしていたのか。(考えたが思い出せなかったので辞めた)
―――――――――――――――
「ただいま」
シンは従軍することに決め、親友のキリへ手紙で伝えようと紙に書く。
キリヤ・ランツ
キリ、俺決めたよ、これからの事。俺、従軍することにする。従軍して軍に入ったらさ、訓練受けて、頑張って、死ぬ気で戦ってこの戦争を終わらせたい。ついでと言ってはなんだがお前も守ってやるよ。約束は守る。
シンレイ・ショーウン
手紙を書き終え、家の近くのポストへと投函し家へ戻る。
「ただいま」
おかえりの返事は無い。当然だ。
両親は、この数年間での戦争で戦場へ行って死んだからだ。
「…………」
シンはそのまま部屋へ行き、ベッドへ潜った。
起きたらもう既に日は昇っていた。
時計を見て呟く。
「もう昼か…」
潜った後そのまま寝てしまっていたようだ。
家の中はとても静かだ。親はもうとっくにいない。父は戦死し、母は病死。
当時まだ幼かったシンは、孤児院へ引き取られ、15になるまでそこにいた。今シンは、17だ。
机に置いてある届出を持って役所へ向かった。役所の人曰く、今すぐにでも訓練所(軍学校)に行けるそうだ。少し考え明後日行くことにした。
家に帰ったシンは普段通り過ごし、次の日は明日に控えた訓練所へ行く準備をしていた。
明日からは訓練所での生活、半年間程訓練をへて、その後戦線へ送り込まれる。
必要な物だけをカバンに詰め、準備を進めていた。必要な物と言われてもそれほど無く、だいたいが服で少しの写真と本。
「これで全部かな」
要らなそうな物は全て処分し、準備を終えた。
翌日、シンは役所へ行き、役所の人に馬車で訓練所へ連れてってもらった。
―――――――――――――――
しばらくすると訓練所(軍学校)が見えてきた。
「訓練所…これからここで過ごすのか」
シンは車内から覗きそう呟いた。
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