第12話 混沌に飲まれて
再び両軍が衝突する瞬間。
その女は現れた、真っ赤なツインテールに褐色の肌真っ黒な目に赤い瞳孔。
その姿に両軍が進軍を止める。
(おい
俺は早めに思念通信にて連絡を取ったがこうなってしまえば
「決着は見えたんだ。我輩が混ざっても構わんだろ?さぁかかってこい」
開き直ったのか
それを受けて両軍の指揮官たるメトラとデフォルトは全軍に指示を出す
「混沌をぶち殺せぇぇぇ!!」
「混沌をぶち殺すのだぁぁぁ!!」
二人は珍しく怒っていた。それもそのはずせっかくの勝負を邪魔されたのだから。
怒りの感情だけと言う事では無くそれ以外にも力を試したい気持ちもあったはずだ。
今の力で
「諸君、朗報だ。ハンデをくれてやる。我輩は魔法と
突撃してくる軍勢を
ふむ、と一言頷き混沌は右手を右から左に振る。たったそれだけだと言うのに巨大な竜巻が発生しメトラの軍勢を吞み込んでいく。
どうやら先にデフォルトの軍勢を潰すことにしたようだ。
真っすぐにデフォルトの元まで突き進む。その道先に多大な被害を生み出しながら。
鬼人軍の要である二体の巨大な鬼の攻撃を片手で受け止め巨大な鬼をそのまま掴みまるで武器の様に扱い鬼を別の鬼にぶつける。
その攻撃を受けて二体の巨大な鬼は即座に消滅した。
そのままデフォルトの元へ向かい手加減をしたうえでデフォルトを軽く小突き致命傷を負わせる。
吹き飛ばされたデフォルトは力なく倒れる。
「化け物...なのだ...」
次なる矛先として
だが...既に先ほど生み出された巨大な竜巻によって陣営は壊滅的な被害を受けている。そんな状態では
混沌にとって【精鋭骸骨近衛騎士】だとしても他の雑兵とたいして変わりはない。
一撃とその余波によって近衛騎士は壊滅する。
だが、本来は即座に再召喚されるはずの近衛騎士も生まれた瞬間に弾けている。
それがメトラに困惑を誘う。
「一体なにが...」
「不思議か?これは我輩の鼓動だ。心臓の鼓動に攻撃性を持たせている。勿論おまえは対象外だがな」
メトラは武器を持たない。
それは元から最強の魔王だったと言うのもあり主な攻撃手段は召喚した
故に素手で殴りかかるしかない。
だが、圧倒的に差がありすぎるのだ。
メトラの格闘術も中々のものだが、それでは混沌に遠く及ばない。
決着だろう。そう思われた瞬間、
自己治療が終わったデフォルトがメトラの元まで助けに来たのだ。
「ほう、案外復帰が早いな。そう来なくては困るぞ」
一度距離を取ったメトラとデフォルト。
「あいつに対抗できる手段が思い浮かばないのだ...我輩だけではあいつに勝てないのだ...」
「たとえ私と協力したとしてもアイツには...」
「弱気なのは良くないのだ!!」
対策の話し合いの最中、混沌が手刀にて放った衝撃波が大地を切り裂く。
それを紙一重で回避したデフォルトだが、メトラは僅かに逃げ遅れ致命傷だ。
メトラが致命傷なのを良い事に
そして止めと言わんばかりのタイミングで
恐らく油断しきっていた混沌には見えなかったのだろう。コマ送りでも視認が難しい程の神速のシーラの回し蹴りを...。
そんなシーラは平然と佇み混沌を担ぎメトラとデフォルトの元まで歩み寄る。
「さぁ帰りますよ」
「お、おう、わかったのだ...」
「は、はい...」
結局の勝利はシーラだが、あのままでは混沌の独壇場となっていただろう。
まぁ、そもそも混沌が混ざらなければメトラの勝利で終わっていそうなものだが...。
自業自得と言う事で
俺達は元の世界に戻る。デフォルトとメトラは覇王城の客室へと向かいそこで就寝だ。
さて明日はどちらで楽しもうか...。
学院長として入学式を見守るのも良いが生徒として堪能するのもありだ。
俺は明日への期待を込めて眠りにつく。
目が覚めた俺はいつもの様に食堂へ向かった。
するとそこには既に朝食を食べているメトラとデフォルトが居た。
「おぉハオー!奇遇なのだ!!」
「覇王様おはようございます」
「あぁおはよう」
特に気にする事もなく自然に流す。いちいち構っていても疲れるだけなのだから。
そもそも俺の城に居るのだから奇遇ではないだろう。
「ハオー!我輩の身体はもう成長しないのか?そろそろこの体は窮屈なのだ...」
その言葉は最もだ。
今のデフォルトは外見年齢8歳程度であり大太刀を持つにもいろいろと不便なのだろう。今では大太刀の鞘に車輪を付けて持ち運ぶ姿が板についているせいで慣れてしまってるが、流石にこの背丈では配下にも示しがつかないのだろう。
俺のお気に入りではあるが成長させる必要があると頭では理解できている。だが...心が拒むのだ。
「仕方ないな...ほれ」
俺はデフォルトの身体を成長させた。イメージとしては今の肉体をそのまま18歳程度にまで引き上げた様な感覚だ。
マナの様に急激に胸を大きくしたわけではないので身体的変化はあまりない。
ただ大きく変わりがあるとすれば大太刀を背負える様になった事だろう。
【
「見ろハオー!!これで補助輪卒業なのだ!!」
笑顔のデフォルトが見れて嬉しい反面もう引きずっている姿が見れないと思うと少し寂しくもある。
丁度いい機会なのでメトラも成長させる。
元は12歳くらいの見た目だったのでデフォルトと同じ位の18歳程度まで成長させる。
2人が横に並び改めて彼女たちを眺める。
デフォルトは蒼銀の髪に白磁の二本角が生えており黄金の瞳はどこまでも美しい。
服装は着物を動きやすいように着崩しとてもラフな格好となっている。
だが、成長した今、多少のエロさが出てきたようだ。胸も成長し太ももの肉付きも申し分ない。ふんどしと着物の裾が織り成す絶対領域には光る物を感じる。
メトラはくすんだブロンドヘアーに水色の瞳。生気を感じさせない肌の持ち主だ。
元々人形の様な顔立ちだったが若干ではあるが大人びたようだ。残念ながら胸の成長は感じられない。成長させてもよかったがメトラの場合胸は無い方が良いだろう、人形タイプのロリなのだしそれにゴシック系の服が着にくくなってしまうだろうし...。
メトラはじっとデフォルトの胸を眺める。
「納得いかない...です」
「ガハハ!!我輩はサイキョ―なのだ!」
「あら?ご主人様おはようございます。本当はご一緒したいのですけど...学院の仕事があるのでお先に失礼させてもらいます」
通り掛かったのはゼルセラだ。
俺の身内で胸の大きさを競うなら確実にトップスリーには入ってくるだろう。
余談だが一位はドミナミでありそれは2位も3位も納得している。だが、争いが醜いのは2位と3位。つまり...ゼルセラとマナだ。
マナの胸はある意味俺が作ったのでサイズに関しては知っている。そう...まったくもって同じサイズだと言う事を...。
マナが胸を大きくしてと頼んできたとき俺は咄嗟にゼルセラのサイズ感を思い出してしまい、それがそのまま反映されてしまったのだ。
だからこその醜い争いなのだ本来であれば二人とも2位なのだ。
だが、これを俺が言ってしまうとさらに醜い争いが起きるだろう。
ならば俺はこのまましらを切り通し二人に乳比べをさせた方がましと言えるだろう。
話しはずれたが。そんな胸の大きいゼルセラからすればデフォルトとメトラの胸のサイズなんて大した変わりはない。
ゼルセラは二人の胸を一瞥し鼻で笑いそのまま転移してしまった。
あいつ...いつも余計な事をしやがって...。
そんな煽りを受ければ誰だって苛立つものだ。
それはメトラやデフォルトも例外ではない。勿論...シーラも...。
たまたまそのタイミングで食堂に来てしまったシーラは自分の胸とキーラの胸を比較し眉を顰める。そのタイミングでのゼルセラの煽り。それはシーラの美しい顔に青筋を浮かべさせる事すら可能にする。
キーラが必死に宥めているが、胸の大きい者から宥められても不況を買うだけだろう。
何しろシーラの胸のサイズはAだ。良くてBくらいだろう。
それに比べキーラはGもしくはHだろう。男の俺が見た感想なので本当にあってるかは分からないが、シーラにAなのかBなのかを問う気にはなれない。
この二択ならBと言い張るだろうけど...
もし仮にシーラがAだとすると...メトラはマイナスなのではないだろうか...それほどまでにメトラは平なのだ。
俺がそれぞれの胸を比較していると知られたら俺の威厳がなくなってしまうだろう...。ここは平常心をキープするべきだ。
俺の正面に座り食事を始めるシーラとキーラにバレない様に俺も食事を再開する。
「Cです」
俺は何も言っていない。それなのにも関らずシーラは自らのサイズを答えた。
これがCならメトラはAくらいなのだろう。
男の基準なんてそんなものだと思うが...シーラが言うのだからCなのだろう。
決してシーラのスタイルが悪い訳でない引き締まった体に括れもあるし100人に聞けば100人がスタイルは良いと答えるだろう、ただ胸が小さいだけなのだから。
俺は変に飛び火しないうちに逃げる様に玉座の間に向かった。
玉座に腰を下ろすと遅れてマナが到着する。
先程の話もあり胸に目が行ってしまう。これは男なら仕方ないだろう...。
「朝から胸ばかり見て...」
どうやらばれていたらしい。
ここで戸惑う俺ではない。ここは冷静に落ち着いて対処をする。
「い、いやぁ...さっきデフォルトに頼まれて少し体を成長させてやったんだが...な」
「な...ってまぁ仕方ないわね、私もグレースに頼んで大きくして貰った側だし...構わないわよ」
流石に戸惑う。
こいつは一体何を構うつもりなのだろうか...。
「構わないって...何がだ?」
「だから...ほら...触りたければ触ればいいって言ってるのよ」
こいつのこう言う可愛い所が俺は好きだぜ。と心の中でキザに呟き俺はマナの間違いを冷静に指摘する。
「ばっばか言うな!!そんなつもりで見ていたわけではない!!」
これで俺の対面は保たれただろう。
「まぁいいわ。報告なのだけど、蜘蛛の魔王が謁見を求めているらしいわ」
「蜘蛛?あぁ確か【
「いいえ。全く分からないわ。あそこの国を脅した覚えもないし...」
「シーラも最初から協力的だったと言っていたからな...」
「でも従うのならいじゃない。反抗的よりよっぽど良いわ」
「逆に逆らってくれればその方が楽なんだがな...」
「まぁそれもそうね」
俺は蜘蛛の種族に何かをした覚えはない。それこそ大魔王が交渉に来た時くらいだろう、たしかにあの時怖がらせたかもしれないがそれ以前から従順だったのだ。あれは関係ないだろう。
まぁ、考えても無駄だと思うので早々に脳を切り替える。
「まぁ直接聞くのが手っ取り早いだろう。謁見を受け入れよう」
俺の言葉を受けマナは即座にフリューゲルに指示を出し蜘蛛の魔王に連絡をする。
少しするとフリューゲルに付き従う形で蜘蛛の魔王が玉座の間へと入り臣下の礼を取る。
顔はかわいい。蜘蛛とは名ばかりで見た目は普通の女と変わらない。だが、どこか気味の悪さがあるのだ。元々蜘蛛が苦手だったことが原因だと思う。
だが、流石に身に覚えのない事で気味が悪いと思われるのは相手からしても辛いだろう。何しろ従順な配下なのだ、少しは忠誠に答えるべきだろう。
俺は蜘蛛の魔王の口述に耳を傾けた。
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