第11話 平和に別れを告げて
シーラとキーラが俺の元を訪れて何気ない会話をする。キーラの中に戻った
何気無い会話の中でシーラがとんでも無い事を口にする。
「今、スカーレットは獣王国に居ますよ?」
「なんだと!?」
仕事があると言っていたがまさか獣王国に行くとは...
どうせなら俺も行きたかったのに....
そして続く言葉に俺は歓喜した。
「どうやら獣人の配下を得たようですね」
「ほう...今どこに居るんだ?」
「どうやらシルビアが教育をしているようですね、今向かうと高確率でスカーレットと遭遇するでしょう」
「できればこっそり行きたいからな...ならデフォルト達の様子でも見に行くとするか」
時間潰しとしてデフォルトとメトラの戦闘を見るのもまた一興だろう。
と言うより俺が見たいだけだが...
正直あの二人が強さを得た今どんな戦いをするかが見たいのだ。
俺が向かおうとすると当然の様にシーラとキーラも後を付いてきた。
だが、キーラは大丈夫なのだろうか...シーラは朝起きれないと言う事は無いだろうがキーラは別だ。何度か寝坊したことがあるらしいしシーラの報告によると基本的に起こさないと起きれないそうだ。ならばこれ以上夜更かしするのは危険なのではないだろうか...明日は大事な集会と入学式があるのだし、それに二年生は新入生を迎える為に色々とやる事があるはずだが...
「キーラ、無理する必要は無いのだぞ?眠ければ寝ても構わんぞ」
「なら、そうさせてもらおうかな...明日は色々な担当があるから...」
「ゆっくり休むといい」
「はいおやすみなさい兄様!」
「あぁおやすみ」
キーラが俺達に背を向け少し歩くとピタリとその足を止め振り向く。不思議にい思い眺めているとキーラは申し訳なさそうな表情をする。
「なんか
「あぁいいぞ」
どうやらキーラは休むようだが、
すると、混沌は鼻で笑い俺の作った服を弾き飛ばしてしまう。そして再びあらわになる裸。俺の思いやりを何だと思っているのだ...こいつは...。
キーラの身体で顕現する時は流石に気を使って服を着ているのだが、残念ながら自分の身体の時は自重するつもりがないらしい。
「そろそろ服をきせるのはやめるのだ!我輩にたいして無礼だぞ」
「せめて身体くらいは隠したほうがいい...流石にな」
「むむっ!ならこれでどうだ!」
そういい
たしかに局部は隠れた。だが、露出が圧倒的に多い。全身の20%くらいしか隠せていないのだ。だが、その衣装は黒で統一されておりとても見栄えが良い事は事実だ。
と言うよりほぼ
「露出しすぎだ...」
俺は指を鳴らし
ふむふむ。とその姿を吟味する混沌を眺め、しばらくすると気に入ったのか満足そうに頷く。これでギリギリではあるが対面上は大丈夫だろう。
マントの前面部分の留め具を外すと完全に変態だが...。
俺達が付くと既に模擬戦とは名ばかりの戦争が始まっていたのだ。
デフォルトの率いる鬼の軍勢に対するは死者の軍勢だ。
「なっ...お前らはどんな規模で戦ってるんだ...」
「どうやらデフォルトの百鬼夜行に対抗し
「所どころに軍団長らしき者が見えるがこれではほんとに戦争じゃないか!」
「実践訓練と言う奴だな。どれ、我輩も混ざるとするか」
「待ちなさい」
行こうとする
と言う事で俺たちはただ見守る事にした。
見守るふりをしてこっそり二人の戦闘スタイルを研究させてもらう。
俺と
出鱈目なステータスの二人を相手に戦うのだから情報は集めるべきだろう。
俺と
まずはメトラだ。
メトラの周囲では無尽蔵に
だが...問題は上位の
メトラの生み出した不死者はかなりステータスが高く作られている。それこそメトラの最も近くに控えている骸骨騎士達は特別性で【精鋭骸骨近衛騎士】と言う特殊クラスになっている。
このクラスはメトラが所有している
さらに面倒なのがそいつらを生み出すメトラそのものだ。近衛兵が生み出されれば生み出されるほどメトラのステータスが上昇する仕組みとなっているのだ。
そしてそれに追い打ちをかけてくるのが近衛兵が存在している限りメトラにダメージを与えることが不可能と言う事だろう。
これは俺の作りだしたフリューゲルのルノアールの
俺が言うのもアレだがルノアールの
再召喚される度にルノアールのステータスは上昇しその上昇したステータスの四神が召喚される。ルノアールの倒し方としては配下を消滅させた後の刹那とも言えるタイムラグ中にルノアールのHPを削りきるしかないのだ。もっともルノアールが四神を敵方に突撃させてればそれが可能だが...もし仮に四神の内一匹を後方に配置した場合撃破はとても困難な物になる。広範囲で尚且つ高威力持続攻撃を与える必要がある。
四神が一匹でもいる限りルノアールに直接ダメージを与える事は出来ない。それだけでもかなり強力なスキルなのだが...。
かといってメトラのスキルが弱いかと言われればそうではない。
近衛のステータス上昇効果はないものの再召喚までのわずかなタイムラグがルノアールよりも短いのだ。普段であればその刹那のタイムラグでさえ無限の時間となり得るが魔物の時は勝手が違う。そんな瞬間を生み出す事すら現状無理だろう。
そんなメトラを眺め俺と
なんせそんな無茶苦茶な強さを持つメトラと互角に戦っている存在が居るからだ。
デフォルトの戦いは一見シンプルに見えるものだ。敵の攻撃を躱し大太刀で斬る。
一目見ただけではその高度な
デフォルトは確率と倍率を操る事が出来るようになったことで戦闘の幅がかなり広がった。すべての回避行動に確率操作が施されているのだ。相手の攻撃の命中率を下げ自分自身の回避率を上昇させる。たとえ回避不可能な攻撃さえも確率を弄ってしまえば回避は可能となる。だが、そんな、万能能力にも限界は存在する。
ステータスの上昇倍率は今のデフォルトでは10倍が限界だろう。最初は優勢だったがメトラと戦うとなると長期戦は悪手だ。限界があるので限界以上にステータスを引き上げる事は出来ない。故に長期戦になればなるほどメトラは有利になりデフォルトは不利になる。
なので、現状を見ればデフォルトが僅かに優勢って所だろう。
そんなデフォルトの切り札となる技が存在する。使える回数も限られているし再使用にはかなり長期のクールタイムを要するが、効果は絶大だ。
それこそが―――勝率の改竄。
どんな勝負でも強制的に勝利を収める事が出来る能力だ。だが、残念ながら相手との能力差が広すぎると発動する事は出来ない。まさに伝家の宝刀だ。
当然だがデメリットが存在する。
一番のデメリットが再使用には1年かかると言う事。
しかもその期間はその能力の
そして次のデメリットそれは相手に
なのでこの技は伝家の宝刀でもあり諸刃の剣と言える。
この技を今デフォルトが使うかと言えば当然だがNOだ。
今回の戦いは勝ち負けではなく腕試しを兼ねているのだから当然と言えば当然だ。
この二人の現状は膠着状態である。
もう一つの戦場ではもう一組膠着状態に陥っている組み合わせがある。
それは二人の配下である俺の眷属達だ。
ステータスは同等であり能力も互角だ。
デフォルトの従者であるストリアは侍だ。
刀を鞘に納め居合の構えにて敵の攻撃を待つ。それに対するメトラの従者のサラリアは両手に構える鉤爪で相手を翻弄する。
達人同士の戦いだ。そこに隙と言うものは存在しない。鉤爪を刀でいなしていくが両手の鉤爪に対し一本の刀では手数の問題で僅かではあるがサラリアが優勢だ。
ストリアは手数で負けまいと鞘をもう片方の手に握り二刀流で相手をする。
斬撃攻撃が出来る訳ではないがこれで手数の面でも互角だ。あとは彼女たちの気持ちの問題だろう。
後は雑兵達の戦いだ。
武士の鎧を着た
鬼人の最前線もかなり奮戦しているが湧き出る骸骨騎士隊を突破出来ないでいる。
戦争の開始直後にデフォルトは真正面から突っ込み不死者の陣営に風穴を開けながら突き進んだ。そのお陰もあり中央は突破出来ているが徐々に湧き出てくる
デフォルトがここから勝利するにはデフォルト自身が一度退き陣営を整える必要があるだろう。
だが、そうした俺と
デフォルトはしっかり指示を出していたのだ。
鬼人の陣営の背後に一際巨大な鬼が現れる。その二体の鬼は猛スピードで左翼と右翼に突撃する。
デフォルトが切り開いた正面。そして今両サイドを崩すことが出来たのだ。
だが、その巨大な鬼の快進撃もメトラの近衛兵によって終了する事になる。
突破出来たのにも関らず未だにデフォルトは劣勢に立たされている。
なにしろデフォルトはメトラと近衛兵を同時に相手しているのだ。
巨大な鬼ですら近衛騎士二体で抑えられてしまっている。
だが...デフォルトはこれで1対7にまで持ち込むことが出来たのだ。1対11で互角だったのだから状況は一気に傾く事になる。
だが、近衛騎士の不死性はとても厄介だ。倒したとしても僅かな時間で復活するしその分メトラのステータスは上昇していく戦えば戦う程不利になってしまう。
やがて徐々に有利になって行くメトラの不死者たちが攻撃するわけでも無く数の暴力で鬼人に触るそしてそれはメトラも同じだ。
近衛騎士に攻撃命令ではなく捕縛命令を出したのだ。
デフォルトは相手の行動の思惑が読めずに困惑する。俺達だってそうだ。
デフォルトは徐々に押され始め、やがて捕らえられる。
捕らえられたデフォルトの元にメトラは近付き頬に触れる。
「強くなったわねでもこれでチェックメイトよ」
「まだ終わったわけではないのだ!!我輩はまだ戦えるのだぁぁぁ!!」
魔力を解放し全力で足掻くが時は既に遅くメトラが付けたマーキングにより強制的に魔法が発動する。
「やり直しよ【
「なっ!?」
メトラの魔法が発動し鬼人軍は元の位置に強制的に転移させられてしまった。
その隙にメトラの軍勢の立て直しは終了し完全にふりだしに戻ったと言える。違う所とすれば鬼人軍は疲弊し満身創痍だと言う事。それに比べ疲れを知らない不死者達は相変わらずだ。
こうなってしまえばメトラの言った通りチェックメイトだ。
そして再び戦争が始まろうとしていた。
だが、気付いた時には隣に居たはずの
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