第8話 全力で暇を潰す者達その2
俺たちの本体を部屋に置きルノアールに案内されるままに武器庫へと向かう。
何故、この城の所持者であるゼルセラではなくルノアールなのかと言うと、単純にゼルセラが居なかったからなのだ。
居ないのならば仕方がない。と言う事で当番として俺に着いてきていたルノアールに頼んだのだ。
ルノアールはさも自分の物でも漁るかのように武器庫を物色する。
「どういった属性の装備が欲しいですか?」
ルノアールの言葉を受け俺と混沌は再び頭を悩ませる。
骸骨戦士なのだからやはり闇属性が適正装備だろう。だが、逆に聖属性への耐性が心もとないのだ、
ここで闇主体の装備ビルドにしてしまうと弱点を真面に補えていない。
だがしかし!!ここで俺は敢えて見た目全振りの闇属性を選択する!!
弱点?俺には関係ないな。
「でしたらこれとかどうでしょうか?【死滅世界】シリーズなどどうでしょう」
ふむ...置かれている装備を眺める、今の俺には鑑定系スキルがない。が!すごいと言う事だけは分かる。
黒を基調とした装備から美やかなマントが付けられかなり刺々しい見た目となっている。剣からは禍々しいオーラが溢れ出て盾にはなにやら薔薇が刻まれており禍々しくも美しい造りとなっていた。
装備を着用すると一気に体が軽くなったのを感じる。
ステータスを見れば一気に8桁も上昇している。
これだけでも普通の世界ならば蹂躙できるだろう、いやこのステータスならば修羅の世界も...と思ったが所持スキルの弱さに絶望したのは言うまでもないだろう。
「混沌様の属性はどういたしますか?」
「我輩は...そうだな...混沌属性はあるか?」
「ありませんよ...そんなの...」
「ならば聖属性で頼む」
混沌に渡された装備を眺める。
純白の鎧に龍の描かれた深紅のマント。特大剣に特大円盾。
ホントにこの組み合わせで戦うのか?と言うのが素直な疑問だった。
特大剣を振るのならば盾は必要も無いと思うし、特大の円盾で攻撃を防ぐならば特大剣ではなく普通の剣でもいいとおもえた。まぁ拘りがあるのだろう。
俺の【死滅世界シリーズ】と異なり混沌が選んだのは【生譚世界シリーズ】だ。
俺の闇に対し混沌の光。邪に対し聖。
お互い弱点同士なのだから戦えばかなり苦戦するだろう。
いや、むしろ俺の方が種族スキルが弱い分不利だと思う。
装備が変わった事により混沌の操る【
動きも先ほどと変わり俊敏に動く。それは俺とてそうだ。
【
Lv:1
名前:「 」
種族:【骸骨騎士】
職業:【騎士】
称号:【 】
HP:1600000023
MP:1000000011
ATK:210000010
DEF:280000006
INT:130000008
RES:180000002
SPD:150000010
スキル:【状態異常無効】【各種脆弱耐性】【闇属性強化】【即死攻撃強化】【思考加速】【防御結界】【不死者創造】【痛覚無効】【自動回復】
ふむふむ、と自分のステータスを眺める。
このステータスでならミーシャとも戦える気がする。
正直、レベル1のステータスではない。ほぼ装備のお陰とも言える。
装備のスキルのお陰で既存のスキルの大幅強化も出来たので俺はこの力を試したくて仕方がなかった。
混沌も自分の能力の把握が済んだのか俺と視線を合わせた。
するとさぁ行くぞと俺の肩を叩く。
すると俺の腕は吹き飛びHPの減少を感じる。
は?俺の自身は一気に消失した。
それよりも...
「なにすんだよ!!!」
「加減が難しいな...」
「お前の装備そんなに優秀なのか?!」
「いや、これはな...種族の固有スキルだな。どうやら装備の適正が元々高くさらに装備の上昇能力を数倍化できるのだ」
はい!反則です!!
まぁ...俺は最弱種族と割り切るしかないのだが...。
「戦う前に一度我輩の元に戻るぞ?」
「どうかしたのか?」
「名付けはした方が良いだろう?」
「名付け??」
「まさか知らんのか?」
元の部屋に戻りながら混沌から名付けの説明を受けた。
どうやら、魔物は名前を得る事で存在値が増え魔物としての進化を齎すと言う事らしい。
名付けには大量の魔力を消費するらしく一般の者には滅多に出来る事では無いと言う。
名付けを受ける側の存在値が高いほど名付けの際に魔力を多く消費すると言う。
名付けには3種類ほど区分訳がされており。
親が名づけを子に行う場合。
忠誠を誓った存在に名前を貰う場合。
自分自身で自分に名づけを行う場合。
まずは親が名付けを子に行う場合。
魔物であれば名持ち同士の結魂により生まれた子供に名前を付ける場合の事だ。
そして忠誠を誓った存在に名前を貰う場合。
これは圧倒的強者に仕える場合だ。
龍種などの高位の存在に加護として名前を貰う事。
この場合は仮に名前を授ける存在が人間だとしても可能だと言う事。
まぁその場合人間側は魔力の消費が激しく最悪の場合スキルも失い死に至る可能性があると言う事。
基本的には魔王などに名前を付けてもらう事が多いそうだ。
そして最後に自分自身に名前を付けた場合。
これは自身の存在値がある一定の基準値に到達した場合、自分の存在を世界に固定する為に名前を付けれると言う。そのためこの方法で名前を得た存在は特別に強いのだ。
これを聞いた以上俺もこのスケルトンに名を付けなければならない
できれば格好いい名前にしてあげたい。
装備が【死滅世界シリーズ】と死を連想させる名前をしているのでそれに準じた名前がしっくりくるだろう。
ならば―――タナティス。
俺は元のグレースの身体に戻りスケルトンに名前を授けた。
「今日からお前はタナティスだ」
「お前はアブソデュートだ」
俺と混沌は同時に名付けを行った。たいした魔力の消費も感じなかったがスケルトンは再び進化する。
Lv:1
名前:「タナティス」
種族:【死滅騎士】
職業:【騎士】
称号:【覇王庇護】
どうやら俺の庇護下に入ったらしくステータスにも覇王庇護と表示されている。
俺が混沌の方に目をやれば混沌はなにやら装備に細工をしているようだった。
このエネルギー...まさか―――
「混沌エネルギーは反則だろ?!」
「我輩のエネルギーなのだ自由に使っていいだろ!選別なのだ」
そういい深い笑みを浮かべる混沌。こうなってしまえば俺だって負けられない。
俺も混沌エネルギーを用いて【死滅世界シリーズ】を進化させた
死滅は覇滅となり【覇滅世界シリーズ】となった。
名前からしてやばそうだが、性能はさらにやばかった。
神話級程度の装備が一気に覇王級にまで上昇しすぎたのだ。
能力もそうだが、それに伴い増加したのがステータスだ。
その後俺たちは増えすぎた能力値で時空の狭間を冒険した。
一通り冒険してみて思ったことがある。
ゼルセラは一体どれだけこの世界に居たのだろう...。
1万年が経とうとしているが未だにゼルセラに勝てる気がしない。
流石に元の世界で1時間が経過してしまうので今日の所は自動戦闘モードにして俺たちは元の世界に戻った。
有意義な時間であった。は混沌の言葉だ。俺もそう思う、徐々に能力を獲得していくのはとても楽しかった。何度も挫折を味わい色々と試行錯誤をしたのだ。
覇王城の攻略にも乗り出したが大天使クラスが精々だ。
いまだに先は長いと俺たちは思ったのだっだ。
―――――――――――――――――――――
グレースと混沌が次元の狭間で遊んでいる最中獣王国ヒドサアードは大変な事になっていた。
ヒドサアードの国王でり魔王の一人である【ネカヴァン・デルナ・ヒドサアード】は後悔に苛まれていた。
どうしてもっときつく大臣達を止めてなかったのかと。
隣で待機する信頼のおける副官と共に溜息を付く。
それも先ほど発生した大爆発についてだ。
恐らく大臣たちは秘密裏に覇王を監視していたのだろう。わざわざ首都から距離を取り俺に感づかれない様に。
それは突然起きた。
副官と共に王城のテラスから城下街を見下ろしていた時の事。
「メキアには苦労を掛けるな...」
「王よ...どうしてあの少女にそれほどまで情けを掛けるのですか?」
「
隣に立つ副官のイルガに問う。彼は配下の中でもかなり頭の切れる人物だ。
俺と同じく最初から覇王に逆らおうとは思っていない。
だからこそ、この質問をしたのだ。
メキアよりも強い存在としてこの副官はどう考えているのかと。
「科学者たちが作り出したあの兵器の事ですか...
確かに魔力量では俺よりも高いでしょう...ですが経験不足ですね。
格下との戦いは知れども格上との戦い方をまるで知らない」
「本来であれば俺やお前が戦闘面での知識の補助をした方がいいと思っているんだがな...科学者たちが危険の一点張りで直接会わせてくれんのだ」
「ご容赦ください...。ですが...先程の面会の差異の扱い...さすがに気分の良いものではありませんでしたね」
先程の面会。覇王が設立した学院に通わせた生徒達の面会だ。
メキアだけは両手足が鉄球で繋がれていた。あれが少女に対して行われているのだから気分のいいものではない。
そこで俺は大臣達に気付かれぬよう秘匿念話にてメキアと会話をし俺の本心を話した。
大臣達は戦争を望んでいるが俺と副官は望んでいないと言う事もその時に告げた。
加えて、もし何かあれば覇王を頼るようにとも伝えておいた。
あの人ならば無暗に殺すことは無いだろう。そう思ったのだ。
そして少し前からだ...俺に報告も無く大臣達が騒ぎ始めたのだ。
俺と副官はため息を付き合った。
この先この国はどんな未来を送るのだろうかと....
この目に映る民達は安心して生きていけるだろうかと。
そう考えていた矢先、国の外れの農作物を育てている区域が大爆発したのだ。
幸いにもあの辺りに住民は住んではいない。人的被害はないだろう。
だが、その爆発が起こった場所を見てより一層深いため息をついたのだった
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