九日目・第5~9試合

第五試合

隋・唐 vs 元

実況「この試合、隋・唐も元も一人ということで同意しました」


司馬遷「先のこともあるしな」


実況「隋・唐は上官婉児です! 則天武后の秘書的な役割もこなし、詩文の凄さにも秀でている唐ならではの女流才人です」


司馬遷「オール中国で見ても中々ハイレベルな人材だな」


実況「元からは管道昇です! 元きっての才人夫婦として知られ、竹画の世界ではよく知られた人です」


ハルドゥーン「ほうほう、これはいい勝負になりそうだ」


ヘロドトス「お互いの作品などを見ても遜色はないな」


実況「ただし、菅道昇は夫の趙孟頫とセットで語られることも多いので、単体で、しかも政治でも銘文を作った上官婉児の方がちょっと上でしょう。ということでハンデは2です」


ヘロドトス「どうなる!?」


実況「隋・唐は8! 元は…?」


ハルドゥーン「1だ…」


実況「隋・唐の勝利です!」


上官婉児「良かった。これで処刑されずに済んだ…」


実況「上官婉児さんは、父は則天武后に逆らって処刑されたので、政争に過敏ですよね…」


楊貴妃「フフフ、そろそろ私の出番も来るはずですわ (ぼよーん、ぼよーん)」


司馬遷「ねえよ」

○隋・唐 (8) vs 元 (1)×

隋・唐、三回戦進出



第六試合

ポーランド・リトアニア王国 vs チャールキヤ朝

実況「さて、チャールキヤ朝、ラージェンドラ1世が蒸し鶏のスパイス料理にイドゥリと呼ばれるライスパンの料理を作っております。非常に美味しそうです」


司馬遷「インドの連中には外れはないな」


実況「まだサイコロを振っていないので、それは何とも…。一方のポーランド・リトアニア王国はカジミェシュ3世が作っております。やはり寒いイメージがあるからか煮込む料理が多いですね。ゆで卵を綺麗に作っています」


ハルドゥーン「ただ、バリエーションはやはり南インドの方が豊富か」


ヘロドトス「そうだな。やはり食材の多様さは暖かい方が上だ」


一時間経過。


実況「それでは判定です! 6-13! チャールキヤ朝の勝利です!」


ハルドゥーン「ポーランド・リトアニアはまともな出番を得る人がないまま敗退となった。これは悔しいけれど、ルールだから仕方がない」


実況「作者も密かに期待していた国でもあったので残念ではありますが、サイコロに歯向かうことはできません」

×ポーランド・リトアニア王国 (6) vs チャールキヤ朝 (13)○

チャールキヤ朝、三回戦進出



第七試合

ハノーヴァー朝 vs コンゴ王国

実況「何とか頑張ってもらいたいコンゴ王国ですが、海軍といっても立派な艦船は用意できません。仕方ないので陸伝いにフランスまで来て、そこから出撃です。ジョアン1世、ルケニ・ルア・ニミ、アルヴァロ2世という布陣で臨みます」


ハルドゥーン「貨物船ばかりで戦闘船がないんだよな。しかも、そのほとんどが奴隷用というのが…」


ヘロドトス「一度産業形態として成立してしまうと、もうどうしようもできないんだよな」


実況「一方のハノーヴァー朝ですが、ガーネット・ヴォルズリー、フレドリック・セシジャー、ヘンリー・バートル・フレアの三名です。知らねえよ! という声が多いかと思いますが、作者も昨日まで知りませんでした。ボーア戦争の指揮を執った三人です。コンゴもあまり変わらない、ということで」


司馬遷「本当に舐めているな」


ヴォルズリー「コンゴ王国の者よ! 大英帝国に挑戦しようという意気込みは買おう! だが、我々の敵ではない!」


実況「ものすごい戦列艦の一斉射撃です! コンゴ王国の先鋒が近づく間もなく壊滅状態となりました!」


ヘロドトス「それこそ奇跡でも起きない限り、どうにもならない」


アルヴァロ2世「うおおおお!」


セシジャー「馬鹿めが!」


実況「アルヴァロ2世の突撃も敢え無く失敗…。あ、待ってください! 船が流されて、英国側の陸地に向かっています! 風向きがドンピシャです」


司馬遷「ドーヴァー海峡は狭いからな。船の破片にしがみついていても、英国側に上陸すれば一泡吹かせられるかもしれない!」


実況「おまけにセシジャー隊、誤爆しています! これはコンゴ王国に大チャンス到来か?」


ハルドゥーン「行け、行けえ!」


実況「当然、フレア隊が力づくで排除しようとする! これを何とかできるか!?」


フレア「させるかぁ!」


ジョアン1世「うわああ!」


実況「ジョアン1世、惜しい! 序盤猛攻を仕掛けましたが、フレア隊の展開がそれ以上に早かった。敢え無く撃沈してしまいました。陸へと向かっていたアルヴァロ隊もフレア隊に追い払われました」


司馬遷「見せ場は作った。一瞬だけ夢も見た。しかし、大英帝国との差がありすぎるのもまた事実だった…」


実況「そうですね。やはりハノーヴァー朝は強かったです。この試合、実況席が物凄くコンゴ贔屓になっていましたことを謝らせていただきます」


司馬遷「サイコロは33-42でコンゴが9勝っていたからな。それでも負け扱いなのだから贔屓くらいしても罰は当たるまい」

○ハノーヴァー朝 (12-1-20) vs コンゴ王国 (8-16-18)×

ハノーヴァー朝、三回戦進出



第八試合

イタリア王国 vs 清

実況「イタリアも清も三人ということで合意しました。まずイタリア、ジュゼッペ・ガリバルディ、アルフォンソ・フェレロ・ラ・マルモラ、マウリツィオ・ゲルベ・ソナスの三人が出てきました」


ヘロドトス「軍人を出せるだけ出してきた感じだな」


実況「そうですね。それでもガリバルディ以外はかなり微妙なのが悲しいのですが。これを受けて清も真剣に選抜しています」


司馬遷「ガリバルディの攻城能力は高いからな」


実況「一方の清はホンタイジ、明亮、オボイの三人です」


司馬遷「大エースの起用はまだというところだな。一戦目に続いて三人起用してもまだある程度余裕があるあたり、本当に層が厚い」


実況「18世紀末あたりは世界のGDPの30%くらいあったわけですからね。アヘン戦争以降のゴタゴタだけが清という国ではありません。申し遅れましたが、戦場は今回も紫禁城となりました」


ハルドゥーン「早速始まったが、まずは両軍大砲の打ち合いだ」


ラ・マルモラ「いいか、ガリバルディが攻撃しやすいよう、注意をこちらに引き付けるのだ!」


ヘロドトス「イタリア軍の攻撃が中々いいな。統率が取れている」


実況「清の防衛側は明亮ですが、防衛が苦手そうです。清が強い時の人だったので、あまり経験がないということもありそうですね」


明亮「ガリバルディ隊はどこにいるのだ?」


司馬遷「いかんな。まだ姿を見せていないガリバルディ隊を気にしすぎている。ラ・マルモラの攻撃によって被害を受けていることを無視してはいかん」


ゲルベ・ソナス「よし、ラ・マルモラが奮闘しているうちに」


ヘロドトス「ゲルベ・ソナスが動き出した。夜陰に紛れて紫禁城に近づいたぞ」


実況「これはパターン的に敵軍を夜襲するのでしょうが、そうそう簡単に行くのでしょうか?」


ゲルベ・ソナス「あれ? 敵の兵が全くいない。それなら爆薬を仕掛け放題だ。三、二、一…」


オボイ「な、何だぁ!?」


実況「あーっと! ゲルベ・ソナス隊が仕掛けた爆薬が城壁に大きな亀裂を与えました」


ヘロドトス「防御兵がいないから、二次、三次と爆破させている」


オボイ「ホンタイジ陛下! 何をなさっているのです!」


実況「確かにこの状況、防衛にあたっているはずのホンタイジの怠慢を疑われても仕方のないところですが、ホンタイジはどこにいるのでしょう?」


明亮「ホ、ホンタイジ陛下!」


ホンタイジ「は、鼻血が止まらない…」


実況「何ということでしょう! ホンタイジが城壁の上でダウンしています。持病が悪化して動けなくなってしまったみたいです」


司馬遷「相手の夜襲時に急病で動けなくなるとは、何という不運!」


実況「当然ですが、イタリア軍は相手が急病だからといって攻撃を緩めたりはしません。ゲルベ・ソナス隊がまだ攻撃を続けている!」


オボイ「くそっ! 陛下の門を守りに行くぞ!」


実況「やむなくオボイが守りに行った。ただ、そうすると今度はオボイの守る門に人がいなくなる!」


司馬遷「おおっ! 無人となった門にはしごが」


実況「遂に来ました! 赤いシャツに身を包む一団、広島カープではありません、マンチェスター・ユナイテッドでもありません。ジュゼッペ・ガリバルディの赤シャツ隊です! 一斉に城内になだれ込んできました!」


明亮・オボイ「ひえぇぇっ! へ、陛下を抱えて脱出だ!」


ジュゼッペ・ガリバルディ「イタリア! イタリア!」


赤シャツ隊「イタリア! イタリア!」


実況「紫禁城が落ちました! イタリアの勝利! 清陣営では康熙帝、雍正帝、乾隆帝、ヌルハチといった主力の人達が茫然と眺めています」


司馬遷「正直清が簡単に勝つだろうと思ったが、予想外にイタリアが圧勝してしまった」


ヘロドトス「サイコロの差が凄いことになってしまった。エース級がいればどうこうという話じゃない。時の運が完全にイタリアに味方してしまった」


実況「20面体サイコロ3回で33差ですからね。これだけ差があればコンゴ王国がハノーヴァー朝に勝つことも考えるレベルです」

○イタリア王国 (11-17-18) vs 清 (3-2-8)×

イタリア王国、三回戦進出

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