五日目・第5~8試合

第五試合

実況「アユタヤ朝と遼の攻城戦。場所は北京・紫禁城です!」


司馬遷「遼というと燕雲十六州の話が有名だからな。この時代には紫禁城はなかったが」


実況「アユタヤ朝は当然といいますか、ナレースワンです。一方、遼は耶律阿保機…ではなく、耶律大石です」


司馬遷「太祖と太宗はあまり守戦をしたことがないからな。少しでも経験が欲しいのだろう」


ハルドゥーン「アユタヤ朝の戦士たちがムエタイをしながら必勝祈願をしている」


司馬遷「ナレースワンはムエタイの神らしいからな」


ヘロドトス「早速、激しい蹴りを紫禁城城門にかましているが、さすがに蹴りでは城門は開かないな」


実況「儀式みたいなものなんでしょうか。すぐに銃も出てきて攻撃を仕掛けていますが、さすがに紫禁城。びくともしません」


耶律大石「この戦いを耐え抜いて、俺達の国を作るぞ!」


司馬遷「遼は意気が高い。防衛戦なのに、自分達の国をイメージできるのは兵達にとっても凄いことなのだろう」


ハルドゥーン「ユーラシアは中国も含めて、隆盛期に攻撃でブイブイ行って、衰退から一気に滅亡まで行くから、防衛戦でとことん頑張る人が少ないんだよね。動乱期にはいるけれど、それって結局分裂した一部地域の政権の攻撃なわけだし。そういう点で、一旦母国が滅亡して、すぐに大国を作った耶律大石はもっと評価されていいんじゃないかな」


実況「真面目な解説もなされています。戦況に目を移すとナレースワン指揮下の人達も強いですが、遼の方が意気軒高ですね。タイはどちらかというと防戦が多いので、攻撃には慣れていないのかもしれません」


ヘロドトス「本当に、攻守逆になるだけで優位不利が激変するからなぁ。であるだけに、四日目の第七試合は…」


実況「もうやめて! 作者のライフはとっくに0よ!」


ナレースワン「ふむ。これ以上の武器使用は控えたいと思っていたが… (ゴゴゴゴゴ)」


司馬遷「何だ? 急に暗いオーラをまといはじめたぞ?」


実況「これは…いかにも最後の切り札を使ってきそうな場面です」


アユタヤ朝兵士「申し上げます! ミャンマー軍が攻めてきました!」


ナレースワン「何ぃ!? 仕方がない。撤退だ!」


司馬遷「ぬおっ? アユタヤ朝軍、撤退していったぞ」


実況「どうやら不在の間に攻め込まれてしまったらしいです。東南アジアはこういう、相手の留守を狙って攻め込めみたいなことも結構あります」


ヘロドトス「撤退していったということは、遼の勝ちということだな」

×アユタヤ朝 (6) VS 遼 (15)○

遼、二回戦進出



第六試合

実況「国家の動物で争うこの一戦。匈奴は当然のように馬です! 馬体は大きくありませんが、馬の上で巧みに体勢を変えて騎射をしている様は壮観です」


司馬遷「ポーランドと比べると馬が小さいからなぁ」


ヘロドトス「遊牧民族なら大体どこもこのくらいはできそうだ」


実況「…ちょっと評価が辛い感じはありますね」


ハルドゥーン「一方のシュリーヴィジャヤは、またライオンだ」


ヘロドトス「しかし、ものすごく強そうだ。どう見ても匈奴の馬より強いぞ」


司馬遷「ライオンと国の関係を知りたいな」


実況「シュリーヴィジャヤの王子が、シンガポールにて他の動物をライオンと見間違えてシンガプーラと名付けたという俗説があります」


ヘロドトス「毎度のことだが、苦しい…」


ハルドゥーン「ワニに乗っていた王とかいないのだろうか?」


司馬遷「いや、いないだろ」


実況「関係性はほぼなしということで、匈奴にハンデ10です。匈奴は5、シュリーヴィジャヤ王国は…」


司馬遷「16! まさかの逆転勝利だ!」


実況「関係性はなくても、百獣の王にかけただけのことはあったようです」


ハルドゥーン「その発言はアッシリアに酷いかもしれない…」

匈奴 (5) VS シュリーヴィジャヤ王国 (16)

シュリーヴィジャヤ王国、二回戦進出



第七試合

実況「オスマン朝からはバルバロッサ・ハイレッディンが出てきました!」


ヘロドトス「有名だけれど、個人として強い逸話はあるのだろうか?」


実況「バルバリア海賊の頭目なのだから、強いだろうというのが理由です」


ハルドゥーン「まあ、間違ってはいなさそうだけれど…」


実況「パルティアからはスレナスが出てきました。ローマ軍をカルラエで打ち破った時の総大将です」


ヘロドトス「パルティアもパルティアで、騎兵射撃の強さが特筆されて個人の強さが分からないからなぁ」


実況「騎馬と海賊ということで、全くかみ合わない二人ですから、ここは陸上で白兵戦勝負ということになりました」


スレナス「ちょっと待て! ハイレッディン、でかくね?」


バルバロッサ・ハイレッディン「そうか?」


実況「うーん、やはりゲームの大航海時代のイメージがありますので…」


司馬遷「どう考えてもラグビー選手くらいのガタイの良さがあるからな」


スレナス「スレナスは騎乗するからあまり大きくないな」


ハルドゥーン「競馬の騎手とラグビー選手がレスリングで勝負したら…」


スレナス「や~ら~れ~た~」


実況「ですよねー」

×パルティア (3) vs オスマン朝 (3)○

オスマン朝、二回戦進出



第八試合

実況「古代ギリシアポリス連合は、ソクラテスさんです!」


ヘロドトス「もうこの時点で勝負あった気がする」


ハルドゥーン「一方のドゥッラーニー朝は?」


実況「ティムール・シャー・ドゥッラーニーです。アフマド・シャーの息子で、悪と暴力が支配するアフガニスタンを何とかしようとして、失敗した人です!」


司馬遷「失敗したんかい!」


実況「何とかしようとしただけでも文化的です! この人以外はそれこそ、このイカレた時代へようこそ、君はTough boyの世界ですから」


ヘロドトス「結論から聞こう。ハンデは?」


実況「ギリシアポリス連合に16です」


ハルドゥーン「だよねぇ~」


実況「ということでサイコロタイムです。ドゥッラーニー朝が20、ギリシアポリス連合が2…」


司馬遷「何だと!?」


ヘロドトス「ハンデ16で大逆転勝利か!?」


実況「あ、すみません。逆でした。ギリシアポリス連合20で、ドゥッラーニー朝が2です。ギリシアポリス連合、大勝です!」


司馬遷「びっくりした…」


ハルドゥーン「ソクラテスはソクラテスでも、毒薬飲んだ後の何も言えないソクラテスでも出してこない限り、そんなことはありえないよ」


ティムール・シャー「いくら何でも扱い酷すぎない?」


ソクラテス「私なんぞ紹介すらないんだが?」


実況「サイコロは作者も一瞬ビビりました」

×ドゥッラーニー朝 (2) vs ギリシアポリス連合 (20)○

ギリシアポリス連合、二回戦進出

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