四日目・第2、3、4試合

第二試合

司馬遷「クメール朝と共和政ローマ。お互い一人ずつということになった」


実況「共和政ローマからは小スキピオです。ここは準エースで取れるという判断をしてきました。一方のクメール朝はもちろん、スーリヤヴァルマン2世です!」


ハルドゥーン「この戦い…、一発勝負だからそこまで差はないかもしれない」


ヘロドトス「何せ戦場はカンボジアの密林地帯だからな。ローマと森林といえばトイトブルク森の敗戦がある」


小スキピオ「私はそこまで愚かな指揮官ではないぞ…」


実況「いや、しかし、小スキピオさん、ちょっと孤立しています。思い切り死亡フラグに近いことを言っているような気がします! 森林地帯となるとローマもファランクスを組めません。かなりバラバラで進軍していますが、こんな様子で大丈夫なのでしょうか?」


ハルドゥーン「これは危ない。指揮官は相手を甘く見過ぎている」


司馬遷「伏兵などがいたら、一発で討ち取られるぞ」


小スキピオ「…敵軍はどこにいるんだ、どこに…おい」


カンボジア兵「しまった! 見つかったか!」


小スキピオ「アホか! アンコール・ワットの仏像のフリをしていたら、誰だって気づくわ!」


実況「おーっと、クメール朝の兵士達、まさかの仏像のフリでローマ兵を誤魔化そうとしていました! そんなところに隠れなくても、密林では隠れるところは沢山ありそうなのに!」


スーリヤヴァルマン2世「くそっ! これが世界最強と呼ばれたローマ兵か!」


ハルドゥーン「いや、そういう問題では…」


ヘロドトス「絶対に勝てそうな展開だったのに…」


実況「共和政ローマ、お世辞にも褒められた戦いではありませんでしたが、クメール朝がそれ以上にへたれたため勝利しました。順調に二回戦進出です!」


×クメール朝 (1) VS 共和政ローマ (4)○

共和政ローマ、二回戦進出




第三試合

実況「第三試合、実力差のある国同士のジャンケン対決という一番ざまぁが期待でき…もといワクワクさせられる対決です。まずアフシャール朝からはナーディル・シャーが出てきました」


ヘロドトス「こいつ以外知らんくらい人がおらんからな」


実況「一方の明ですが、何ということでしょう! 各自が出場を押し付け合っています!」


朱元璋「息子よ、おまえが行け」


永楽帝「いえいえ、父上が行ってくださいよ。あるいは姚広孝、おまえが行くか?」


姚広孝「そうでなくても故郷で誰も会ってくれないのに、これで負けたらますます村八分ですよ」


実況「全員、後ろめたいところがある人ばかり! 堂々と出て行く度胸がありません。何となく陰湿な明っぽい有様です!」


司馬遷「実況ちゃん、時々滅茶苦茶失礼なこと言っているが、確かに後ろめたい奴らばかりだ」


実況「紆余曲折の末、神宗万暦帝が出てきました! この人も後ろめたいことは結構ありそうですが、何も考えていなさそうです!」


ハルドゥーン「ようやく勝負だ」


二人「行くぞ! 最初はグー! ジャンケン、ポン!」


ナーディル・シャー:チョキ

万暦帝:チョキ


会場「お~」


二人「ポン!」


ナーディル・シャー:パー

万暦帝:パー


実況「二回目もあいこ! 何も考えない者同士、互角の勝負が繰り広げられています!」


二人「ポン!」


ナーディル・シャー:グー

万暦帝:チョキ


ヘロドトス「ナーディル・シャーが勝った!」


ハルドゥーン「アフシャール朝の勝利だ!」


実況「ついに決着がつきました! 三回に渡る勝負の結果、アフシャール朝の勝利! 強豪・明、まさかの初戦敗退です!」


司馬遷「いくら何でも万暦帝は何も考えなさ過ぎた。もう少しきちんとした奴を出すべきだったな」

アフシャール朝、二回戦進出



第四試合

実況「ティムール朝からはフサイン・バイカラが出てきました! かのムガル帝国のバーブルが『ティムールの子孫でこの人ほど剣を使う者はいない』と評した剛の者です」


ハルドゥーン「実際、真面目に戦っている時は強かった。真面目に戦っている時は」


実況「スペイン・ハプスブルク帝国からはエル・シッドです! …えっ、エル・シッド?」


ヘロドトス「奴はもっと昔の人物ではないか」


ハルドゥーン「400年近く昔の人物だぞ」


実況「えっと、スペイン側からの要請によると『エル・シッドはレコンキスタの中心人物であり、レコンキスタの次にスペイン・ハプスブルクがある。だから究極的にはスペイン・ハプスブルクと考えて構わない』…。これが成立すれば、スペイン人なら誰でもOKになりそうですけれど、どうしたもんでしょうか」


司馬遷「だが、奴を認めねばゴンサロ・フェルナンド・デ・コルドバの出番となる。将軍としては凄いがイマイチ個人の強さが分からない」


実況「…あぁ~。本部から『出場OK』が出ました。何だかズルいようですが、進めましょう。さて、2人とも剣を構えてスタート!」


ハルドゥーン「むっ! フサイン・バイカラが早い!」


フサイン・バイカラ「フン! フン! フン! フン! フン!」


実況「これは凄い! フンフン突きです! 格闘ゲームの百裂剣みたいなすごい勢いです!」


ヘロドトス「さすが一週間飲み続けて平気な男、すごい体力だ」


実況「一方のエル・シッドですが、騎士なのでどちらかというと槍のせいか、動きが悪い! これだったらコルドバさんで良かったのでは?」


フサイン・バイカラ「ふんぬー!」


エル・シッド「うわー!」


ハルドゥーン「勝負あった! ティムール朝の勝利だ!」


実況「助っ人を借りたスペイン・ハプスブルク朝でしたが、イマイチ振るいませんでした。やはり他所から借りるズルをしたから良くなかったのではないでしょうか!?」


司馬遷「三日目の後半はどのチームもサイコロの目が良かったが、今日は一転してしょぼい目ばかり出ている」


× スペイン・ハプスブルク朝 (2) VS ティムール朝 (8)○

ティムール朝、二回戦進出

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