一日目、第4、5、8試合

第四試合

実況「ブラジルは随分悩んだ結果、マリア・レオポルディナさんを出してきました」


ハルドゥーン「出そうとしていた人のほとんどはブラジルとちょっと関係のあるポルトガル人だったからね。さすがにそれはずるいよ」


実況「マリア・レオポルディナさんはハプスブルクの皇女ですので、学術の素養はありますし、wikiによると畜産学に貢献があったということのようですが、自信の程はどうですか?」


マリア・レオポルディナ「ま、負けたら夫のDVが…。何とか勝ちたいです」


実況「うわぁ…。聞かない方が良かった…」


光武帝「誰にしよう?」

鄧禹「ここはゴニョゴニョ…」


実況「東漢ですが、予想外にも初戦は陰麗華さんを出してきました…。うん?」


班○「陰麗華が負けたようだな」

蔡○「ククク、奴は東漢女性四天王でも最弱」

馬○○「伯剌西爾なんかにやられるとは、東漢の面汚しよ」


実況「東漢の女性陣が負けた時に備えて練習をしているようです」


光武帝「やめなさいって」


マリア・レオポルディナ「ブルブル…。あ、貴女、どんなすごいことをしてきたの?」


陰麗華「凄いこと? いや、親戚に陛下のなすことに口出しさせなかったことと、息子をきちんと教育したことくらいでしょうか?」


マリア・レオポルディナ「え、そのくらい? それなら勝てるんじゃ…」


陰麗華「ええ、そうなんですよ。親族になるべく我儘言わないように主張するのは大変ですし、夫が戦乱の中で不在の間でも何とか後継者をきっちり育てたりするのは大変でしたけれど。子育てに集中していたので自分の詩などはありませんが、基本的な教養は押さえています…」


マリア・レオポルディナ (す、すごいのかも…?)


マリア・レオポルディナ、三十分ほど畜産学などのウンチクを垂れる。


実況「それでは採点です! 全員、東漢です。やはり長孫皇后と共に中国最優秀皇后に挙げられるのはダテではありませんでした」


司馬遷「長孫皇后の息子はアレだが、陰皇后の息子は明帝だしな。息子も加味すれば最強皇后だろう」


ハルドゥーン「唯一のマイナスは個人的事績がないくらいだけど、さすがに対戦相手を考えるとこれで勝ち負けに影響つくとは思いにくい」


ヘロドドス「ついでにマリア・レオポルディナはDVが怖いのか、演説も冴えなかったしの… (サイコロは8だった)」


マリア・レオポルディナ「そんなぁぁぁ」


実況「でもDVはダメです。DV反対!」


×ブラジル帝国 (8) VS 東漢 (9)○

東漢、二回戦進出




第五試合

実況「カペー・ブルボン朝は、この人を出してきました」


ピエール・ド・フェルマー「xn + yn = znという数式を考えたとする。Nが3以上の自然数の場合成り立たないのだけれど、しかし、それを説明するにはこのページの余白では足りないなぁ」


ヘロドトス「奴は何を言っているのだ?」


司馬遷「我々の分野とは全く異なることを言っていることだけは分かる」


実況「17世紀に何の気なく残されたメモが300年以上かけて解決された、そんな世界。フェルマーの最終定理です。これに太刀打ちするカルタゴの方はというと…」


ハンニバル「世界最強の将軍というのは、一位がアレクサンドロス、二位がピュロス、三位が私だが、もし、ザマでスキピオに勝っていれば私が一位だっただろう」


実況「お、有名な発言ですね」


ハンニバル「ということで、どうやって、ローマに勝てたかということを…」


ハルドゥーン「む? 仮定の話を始めたぞ。これはアリなのか?」


司馬遷「基本なしではあるが、それくらいしかネタが作れないくらい、カルタゴには学術系の話がない」


実況「ハンニバルさんの戦術論は非常に面白そうではあるのですけれど、史実に基づかない仮定の話だと厳しいので、やはり採点はフェルマーさんの勝利になります」


ピエール・ド・フェルマー「フフフ、当然だろう」


実況「ところでフェルマーの最終定理ですが、最終的に解答されたものの、その過程で数論やらモジュラーやら当時はなかった概念も使わなければなりませんでした。そのため、実はフェルマーさんはn=4の時に使える方法が全ての数字で使えると勘違いしていたんじゃないかという説も有力ですが、どうなのでしょう?」


ピエール・ド・フェルマー「……。新しい定理を考えたぞ」


実況「えっ、そうなんですか? どれどれ……あっ! 逃げた!」


○カペー・ブルボン朝 (17) VS カルタゴ (6)×

カペー・ブルボン朝、二回戦進出




第八試合

実況「金王朝ですが、すったもんだの末、趙福金さんを出してきました」


司馬遷「誰や?」


ハルドゥーン「東洋担当がそんなこと言ったらダメでしょ」


実況「宋の徽宗の娘で、美人で知られたとかで金の宗望が妻にした人です。徽宗は文化人として知られていますので、その娘だから多少は出来るだろうという発想です」


司馬遷「いい加減過ぎる…」


実況「ということで、お父さんの真似をして書いた詩などが出てきました」


ヘロドドス「…これはあまり高い評価は与えられんな」


趙福金、ヘロドドスを平手打ちする。


趙福金「この傑作を評価できないなんて馬鹿じゃないの!?」


実況「20出たんですよね。サイコロ…。でも、本人の作品でもない模倣品ですし…」


司馬遷「他に誰かいないのか? いないんだろうなぁ」


実況「一方のサラセン帝国、商業中心なので女性文人は厳しいかと思いましたが、アル・ハンサーさんを出してきました。ベドウィンの女性詩人です」


アル・ハンサー「戦が憎い。色々奪われた。だから戦をする。今度は私が奪う番だ」


ヘロドドス「随分殺伐とした詩だな…」


司馬遷「というか詩なのか?」


ハルドゥーン「この時代は戦争前の挑発に詩を使ったりしていたんだよ。ハンサーも家族を戦争で失ったりしたんだけれど、反戦歌ではなく復讐歌を歌うようになった」


司馬遷「さすが目には目をの地域の女だけのことはある」


実況「ムハンマドさんにも気に入られたらしいです。こちらの詩の出来は?」


アル・ハンサー「…ぼちぼち(サイコロは8)」


司馬遷「良し悪しは微妙だが、こちらは自作だからな」


実況「それでは採点しましょう…。四者ともハンサーさんの勝利です!」


趙福金「納得いかーん!」


×金 (20) VS サラセン帝国 (8)○

サラセン帝国、二回戦進出

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る