一日目・第6、第7試合

第六試合

ヘロドトス「クシャーナ朝は創設者カドフィセス1世が出て、手ずから料理を作っているぞ」


ハルドゥーン「料理王のルールだけど、誰かが料理を作って、それを僕達が審査員になる形式になった。楽しみだねぇ」


一時間経過。


司馬遷「出来たぞ。おや、カレーではないな」


ハルドゥーン「上品そうな仕上がりではあるね」


一同「いただきまーす! むっ、これは…」


司馬遷「どうやら、精進料理の一種のようだ」


ハルドゥーン「クシャーナ朝は仏教を大切にしたし、カースト制度の上位も菜食主義らしいね。あとはこの時代、肉は腐って食中毒になりやすかったのかもしれないけれど」


実況「上品な仕上がりです。ただ」


司馬遷「美味だ。香辛料料理を予想していたので意外だったが。しかし…」


ヘロドトス「豆や野菜の素材の味を十分に引き出していて、素晴らしいが…」


一同 (ちょっと物足りないかな…。もうちょっと刺激が欲しい……)


実況「一方のハンガリーですが…あっ!」


ハルドゥーン「どうしたの? げっ!」


実況「大変です。イシュトバーン1世の隣でミックスジュースを作っているのは、バートリ・エルジェーベトさんです! い、一体、あのミックスジュースは何でできているのでしょうか? 審査員を務める私達に…まさか犯罪の片棒を担がせようというのでしょうか?」


司馬遷「うっ、急に腹痛が…」


ヘロドトス「わ、わしは持病の痔が悪化したので病欠する」


実況「ちょっと! 逃げないでくださいよ! し、司馬遷さんとヘロドトスさんが逃亡してしまいました」


ハルドゥーン「刺激が欲しいとは思ったけど、こんな形の刺激はいらないよぉ…」


一時間経過。


「出来た」

「出来ましたわ」


実況・ハルドゥーン「あわ、あわわわわわ…」


エルジェーベト「ちょっと! 私の特製ジュースが、飲めないとでも?」


実況「そ、そ、そ、そんなことはないですよ。審査員ですからね、残したりしませんよ。え、えぇーい! …あれ?」


ハルドゥーン「意外といける? もしかして、我々は禁断の世界に足を踏み入れた?」


実況「た、多分、普通の野菜ジュースなんですよ。ほ、ほら、こんなところでおおっぴらに血なんて出すはずないじゃないですか。お、怯えて損しちゃいましたねー、あははは」


ハルドゥーン「そ、そうなのかなぁ…」


実況「このグヤーシュっていうスープも美味しいですね」


ハルドゥーン「うむ…。ちょっとぬるっとした塩味が…。ハマると行ける味なのかな?」


召使「あ、すみません、こちらは奥様のスープでした…」


ハルドゥーン「ブーッ!」


実況「うわぁ! いきなり噴出さないでください! 汚いです!」


ハルドゥーン「だ、だめだ…。もう、胃が、心が受け付けない…」


実況「ということで、採点です。私は10-9でハンガリーなのですけれど、ハルドゥーンさんが10-0をクシャーナ朝につけましたので、19-10でクシャーナ朝が勝ちました。ちょっとこの採点は不公平ではないですか?」


ハルドゥーン「心が、心が壊されたんだよ…」

×ハンガリー(13) VS クシャーナ朝 (16)○

クシャーナ朝、二回戦進出



第七試合

ビルキス「イスラエルからはこの私が出場します」


実況「やはりイスラエルはシヴァの女王ビルキスさんでした。ご自信のほどは?」


ビルキス「私は聖書に出てくるほどの著名人ですよ。あんな鼻の高さだけが自慢のギリシア女なんて余裕で叩きのめしてみせます」


実況「自信満々で頼もしいです。さて、プトレマイオス朝は…えっ?」


ヘロドトス「どうした?」


実況「えぇっと、登録メンバーが、ベレニケ1世、アルシノエ1世、クレオパトラ1世から6世、延べ8人です」


ヘロドトス「何だと? モブキャラ並みの女王を数だけ揃えて袋叩きにするつもりか?」


実況「うーん、ビルキスさんも武芸の点ではモブキャラの域を出ませんからねぇ。同じくらいなら数の多い方が勝ちそうです。あ、イスラエル王国からメンバー追加の発表がありました。バト・シェバさんとタマルさんなど、関係ある人を次々と追加していっています。プトレマイオス朝の人数ごり押しに対しては人数で太刀打ちするしかありませんが、プトレマイオス朝も負けじとどんどん追加しています。お互い意地になっています」


ハルドゥーン「プトレマイオス朝は女王やら王女の記録がとにかく多いからなぁ。人数に関してはイスラエルでは太刀打ちできないよ」


実況「最終的にはクレオパトラ7世フィロパトルさんを除いて22人。10人のイスラエルを相手に人数で押し切りました。監督のクレオパトラ7世さん、おめでとうございます」


クレオパトラ「オーホッホ、女王の戦いでエジプトに勝てるとは思わないことね!」


実況「ただ、この試合でクレオパトラさん以外の女性陣を全員使ってしまいましたが…」


クレオパトラ「もう一回女王戦になったら、私一人で勝つまでですわ! 私が1回しか出られない以上、それ以上勝つのは無理ですから、3度目も引いたなら諦めるしかありませんわね」


実況「ありがとうございました。モブキャラ女王達もこれだけ無駄遣いされると毒蛇を忍び込ませるかもしれませんので注意してくださいね」

○プトレマイオス朝 (14) VS イスラエル (16)×

プトレマイオス朝、二回戦進出

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