二日目

第一試合

フレグ・ウルス vs 隋・唐

対戦形式:女王・武

ハルドゥーン「モンゴルが中東世界に向かい、アッバース朝を滅ぼした後、現地で建てられた国がフレグ・ウルスだ。後にイスラームを受け入れて、在地化していった。存続期間は百年に満たないので、あまり長くはないが、それでも資料が豊富なこともあり結構頭数は揃っている」


司馬遷「中国が一番強かった時代は何時かという問いに答えるのは難しいが、唐はその筆頭候補といって差し支えないだろう。唐の朝廷には、当時の東アジアから中央アジアの多くの地域の者が出入りをしていたからな。その唐の基礎となったのが隋だ。煬帝が有名だが、煬帝が運河などで無駄遣いをしてくれたおかげで、唐は自分達の国もできたし、運河の利益を享受できた」


実況「対戦形式女性戦が続きます。今回は武力勝負」


ハルドゥーン「九試合目なのに四回目だから多いね。二割のはずなのに」


実況「どちらの国も割と女性陣のエピソードが多く、昨日の試合よりは盛り上がる展開になりそうです」


司馬遷「隋・唐は木蘭(ムーラン)が出るのか?」


実況「花木蘭は所属的には五胡十六国ではないかという話もありますし、そもそも実在ではないんじゃないかという話もありますし、隋・唐の代表としては除外しています。それでも、唐は十分強いと思いますけれども」



第二試合

元 vs リューリック朝

対戦形式:幸運王

司馬遷「チンギス・ハーンの孫クビライは中国の地においてハーンとなったが、これにアリクブカが反発、ついでに気づいたらフレグ達も独立していたよということで、モンゴル政権のうち中国に土着化したのが元だ。ただ、はっきり言ってクビライの時代でほぼ終わった感があるが」


ヘロドトス「ロシアに初めて国家らしいものが出来たのは9世紀のこと。以来、700年近くに渡ってロシアを治めたのがリューリック朝だ。まあ、途中モンゴルの支配を受けるなど簡単なことではなかったが」


ハルドゥーン「決定的に強いわけではないけど、どちらも侮れないところではある。そんな両国の対戦は…」


ヘロドトス「ついにジャンケンが来た」


ハルドゥーン「この両国は実力差がそれほどないから、他の対戦形式でも運に左右されるところが大きい。ジャンケンだから不公平ということはなさそうだ。ある意味、駒を使わずに上に行けるという点ではお互いにとってラッキーかもしれないな」



第三試合

タウングー朝 vs ポーランド・リトアニア王国

対戦形式:動物王

司馬遷「現在のミャンマーの二つ目の大型王朝がタウングー朝だ。最盛期にはタイも支配して東南アジアをほぼ支配していた。バインナウンのワンマンだったから、すぐにダメになってしまったが」


ヘロドトス「近代に入って以降、ポーランドは負けっぱなしのイメージもあるが、16世紀くらいには欧州でも指折りの強国だったのだ。ジュウキェフスキ、ソビエスキなど世界的な名将も抱えていて、文化レベルも非常に高かった。どうして18世紀以降、あれだけダメになってしまったのか…」


実況「…そんな流れをぶった切るように対戦形式は初の動物王です。どちらがより上の動物を出してくるのでしょうか?」



第四試合

グプタ朝 vs チャールキヤ朝

対戦形式:女王・文

司馬遷「第四試合はインド同士の対決だ。グプタ朝は、インド全体を支配した仏教国としては最後の存在だ。北インドを支配したという点ではヴァルダナ朝があるのだがな」


ハルドゥーン「そのヴァルダナ朝の南下を防いだのがチャールキヤ朝だ。ヴァルダナ朝には三蔵法師玄奘が来ていた関係で日本の世界史にも出てくるが、チャールキヤ朝はかなりマイナーな存在かもしれないな」


実況「対戦形式はまたまた女性戦の文です。男性ですらそろえるのに苦労する両国、果たしてどんな女性が出てくるのでしょうか」



第五試合

コンバウン朝 vs ハノーヴァー朝

対戦形式:海戦(ホーム:コンバウン朝)

ヘロドトス「タイのアユタヤ朝を滅ぼし、清の乾隆帝が派遣してきた軍を撃破したシンビューシンを擁するコンバウン朝の戦力は侮ってはいけない。しかし…」


ハルドゥーン「それでも対戦相手が悪すぎる。領土のどこかでは陽が昇っているとまで言われた大英帝国だ。古代王朝と比較するとタレント豊富というわけではないのだけれど、とにかくシステムが強すぎる。コンバウン朝は全力をあげて、更にサイコロの目が最高格差を出すくらいの覚悟がなければどうにもならないと思う」



第六試合

ウマイヤ朝 vs コンゴ王国

対戦形式:個人戦・学術

ハルドゥーン「四代カリフ・アリーが暗殺された後、ウマイヤ家のムアーウィヤがカリフに就いてウマイヤ朝が発足した。この時代に、イスラームはジブラルタルを超え、スペインからフランスまで迫ったところをカール・マルテルに撃破されている」


司馬遷「…という事実経緯を書いたところで、作者がフランク帝国に招待状を出し忘れていたという大失態が発覚した。今、カール大帝らが怒って事務局まで来て抗議しているらしい」


実況「これは間違いなく血を見ますね…。対戦相手のコンゴ王国は中央アフリカに覇を唱えた王国です。中央アフリカのあたりで出せそうな国はここくらいしかありませんが、資料の限界があるのも否定できません。対戦形式は学術系ですので、何とかなるとは思います。ただ、イスラーム文化を作り上げたウマイヤ朝がかなり有利ですね」



第七試合

ブルガリア vs イタリア王国

対戦形式:幸運王

ハルドゥーン「ブルガリア帝国というのも二つあるのだけれど…」


ヘロドトス「二つ合わせて一人前くらいだから、もう両方足してしまっていいだろう。二つ足してもブルガロクトノスには勝てないだろうし」


実況「酷い言い方ですが、まあ、事実といえば事実…」


司馬遷「イタリア王国というと響きはいいし、西欧列強でもあるのだが、正直ちょっと地味だよな。カブールやガリバルディは通好みだが超級かと言われると微妙だし…」


ハルドゥーン「どちらかというとイタリア優位だけど、ジャンケンに文句を言えるほど有利という感じはない。さて、どちらが勝ちあがるかな?」



第八試合

清 vs 新羅

対戦形式:野戦(ホーム:清)

司馬遷「アヘン戦争以降、奈落の底まで堕ちてしまった清だが、雍正帝の頃まではまあまあ強かったとはいえる。清に限ったことではないが、中華王朝は日本同様に人数が多いという利点もあるし」


ハルドゥーン「しかも対戦相手ははっきり言ってしまえば格下にあたる新羅だ。ホームも取ったし、野戦で負けるということはまずないんじゃないかな。ここは楽に勝って、次に行きたいというのが本音だろう」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る