国家紹介

一日目

実況「それでは初日の対戦形式を国家プロフィールとともに発表いたします!」


ハルドゥーン「尚、最初に戦場などは作者が決定と書いていたけれど、それぞれサイコロを振って大きい目が出た方をホーム扱いにすることにしたよ。また、実際の試合の際にも20面体を振って多少は影響させるようにした。具体的にはどっちが勝つか分からない場合には参考にするような感じだね」


司馬遷「勝敗判定に文句があった際に、サイコロのせいにすることもできるしな」


実況「…本音ですね。それでは第一試合から!」



第一試合

アケメネス朝 vs ゲルマン人連合軍

対戦形式:野戦(ホーム:アケメネス朝)


実況「開幕試合はいかにも世界史最強国決定戦らしく、野戦でスタートすることになりました」


ハルドゥーン「最初の世界帝国アケメネス朝は、紀元前6世紀に中東地域を統一し、更にエジプトまで滅ぼしたという文句なしの強国だ。キュロス2世、ダレイオス1世という世界最高クラスの王二人を擁し、短期決戦ならトップクラスの力を誇るけれど、時代が古いゆえに記録に限界があり、選手層が薄いのが残念かな」


ヘロドトス「一方のゲルマン人は、もちろん大移動をしたあのゲルマン人だ。一国では勝てないから連合軍を組んでということになる。テオドリックやガイセリックなど侮れない人物達が揃っている。ただ、野戦、しかもアウェーでアケメネス朝に勝てるかと聞かれると…」



第二試合

エジプト古王朝 vs チャガタイ・ウルス

対戦形式:個人戦・武勇


ヘロドトス「エジプト古王朝は、第一王朝からアケメネス朝の支配を受けるまでの王朝を全部まとめた連合軍だ。このくらい連合させないと人数が揃わないからな」


司馬遷「チャガタイ・ウルスはチンギス・ハーンの次男チャガタイが受け継いだ領土が、クビライの時代に独立してできたものを言う。はっきり言って地味なのだが、14世紀にはこの地域からティムールが出てきてユーラシアをかき回しているな」


実況「そのティムールは自分の国で出ていますから、いないんですけれどね。対戦形式は個人戦。これは中々面白そうです」



第三試合

ローマ帝国 vs 宋

対戦形式:攻城戦(攻城側:ローマ帝国)


ヘロドトス「ローマ帝国についてはさすがに紹介はいらないのではないかな。パクスなんたら(なんたらの平和)を名乗ったのは歴史上、ローマとブリタニアとアメリカのみ。言うまでもない優勝候補だ。アウグストゥス、ティベリウス、五賢帝、コンスタンティヌス、ディオクレティアヌス、テオドシウスとヤバそうな面々が次々と出てくる。悪いイメージのあるコンモドゥスやネロにしても個人戦では使えるし、女性も癖がある面々が勢ぞろいだ」


司馬遷「そうは言っても、宋だって負けてはいない。確かに戦には弱いイメージがあるが、経済力の発展度合いでは世界随一、皆がイメージする中国文化は大体宋代のものだ。『言論を理由に死刑にしてはいけない』という中国王朝では例外的な制度も有していた。それに戦に強かったとは言いづらいが、前線ではよくもちこたえていたのだぞ」


ハルドゥーン「そんな宋にとって防御側に立つ攻城戦は悪くないね。南宋時代のしぶとさを考えれば、簡単にローマが勝つ展開にはならないだろう」



第四試合

ブラジル帝国 vs 東漢

対戦形式:女王・文


ヘロドトス「ブラジルはポルトガルが発見して以降、スペインほど荒っぽいことをしていなかったこともあって、派手に独立運動が起こるようなこともなかった。で、19世紀にナポレオンに追い出されたポルトガル王室が駆け込んできて帝国を名乗るようになった」


ハルドゥーン「もっとも、その間だけでなくて基本的にはブラジル全体を幅広く含む扱いだけどね。ちなみにブラジルは19世紀にパラグアイをぶっ倒した後は実戦をしていないんだよね。第一次大戦、第二次大戦ともアメリカにくっついて戦勝国にはなったけれど、戦闘行為はしていないからね。ただ、戦争とは無縁で素晴らしいのかというと、国内は内戦寸前になったり、マフィアも大活躍していたりで、そうとも言い切れないのだけど」


司馬遷「一方の東漢だが、一般に言う後漢だ。三国時代の前の漢のことだな。ただ、五代十国に後漢という国家が別にあるので、中国では東漢という。三国志のイメージがあるからダメ国家と思われているかもしれないが、建国から途中まではすごく強かったのだぞ。光武帝が結構派手に統一したし、雲台28将というかっこいい連中も揃っているからな。西域経営も西漢よりもうまくいっていたかもしれん」


実況「南米勢の紹介は作者も楽しみにしていたところですが、た、対戦形式が……」


ハルドゥーン「…これはもう、あの人が出てきたらほぼ決まりだね…」



第五試合

カペー・ブルボン朝 vs カルタゴ

対戦形式:個人戦・学術


ヘロドトス「早い話、フランスが独立して以降、ルイ16世が断頭台でいなくなるまでがカペー・ブルボン朝だ。ジャンヌ・ダルクもルイ14世もチームメイトだ」


ハルドゥーン「だから弱くはない。けど、何か物足りない。イギリスが相手だと何か勝てない。でも、弱くはない。みんなが気になる国家フランスということだよね」


ヘロドトス「一方のカルタゴはフェニキア人の作った商業国家だ。海戦にはめっぽう強い。共和政ローマも苦しめた。しかし最後はローマに敗れた」


実況「対戦形式は個人戦の学術部門です。カルタゴは古い国家なのと、ローマが徹底的に破壊したこともあって学術的な情報がほとんど残されていないというのが厳しいところです。これはフランス有利と見て差し支えなさそうです」



第六試合

ハンガリー vs クシャーナ朝

対戦形式:料理王


司馬遷「クシャーナ朝は古代インドの二番目の大型王朝だな。領域を見るとインドというよりパキスタンかもしれないが。個人としてはカニシカ王が有名だ」


ヘロドトス「対戦相手のハンガリーは地味ではあるが歴史は古い。モンゴルにやられたし、オスマンにもやられた。最終的に17世紀半ばにオーストリアに併合されたのだがな」


実況「やられてばかりですね…」


ヘロドトス「やられ続けるのも中々難しい。時々強い時代もあったから、やられ続けることができたのだからな。あと、東欧では、やられ始めると止まらないのはビザンツを見ても分かるだろう」


ハルドゥーン「対戦形式は料理。インドといえばカレーだ。クシャーナ朝の時代にカレーがあったのかは分からないが、まあ、カレーだ。インドは哲学とか健康法に熱心な国だったから、食事にはこだわりがある。一方のハンガリー料理もなじみは薄いが歴史はかなり古い。作者はハンガリー料理って形で食べたことがないからよく分からないのだが」


ヘロドトス「互角の勝負を繰り広げることを期待したい。我々も食したいし」



第七試合

プトレマイオス朝 vs イスラエル王国

対戦形式:女王・武


ヘロドトス「アレクサンドロスの後継者の一人、プトレマイオスがエジプトに立てた王朝がプトレマイオス朝だ。この国が滅亡したことで、共和政ローマからローマ帝国へと移る契機となった。まあ、とはいっても世間的なイメージはラストの女王だろうけれど」


ハルドゥーン「一方、イスラエル王国というのがどの程度強かったのか、実はよく分かっていないけれど、ソロモン王の時代はイスラエルの全盛期だったと考えられている」


実況「そして対戦形式は非常に興味深い女性の武勇。イスラエルはシヴァの女王ビルキスさんを出してくると思いますが、この人は文が強いイメージ、武はどうなんでしょう」


クレオパトラ・フィロパトル「そこの娘、一文字違うわ。『ぶ』ではなく『び(美)』でしょ? 私の美を称えるための対戦形式なのでしょ?」


実況「プトレマイオス朝はクレオパトラ・フィロパトルさんを出してくるでしょうけれど、この人は実際には美人ではなく知的な女性だったらしいです。だからこちらも武は無さそうで、ある意味予想がつかない展開ですね」


クレオパトラ「無視するんじゃないわよ!」



第八試合

サラセン帝国 vs 金

対戦形式:女王・文


ハルドゥーン「7世紀、それまで未開の地だったアラビアの地に突如として大帝国が築き上げられた。サラセン帝国だ。この後のウマイヤ朝時代も含めて僅かな期間にアジアからスペインに至るまでの大帝国を築き上げた」


ヘロドトス「三大宗教開祖者が出てくるので、取扱注意な国ではあるが、この圧倒的な強さは見逃せない。ビザンツやサーサーン朝が共食い寸前だったという事情があるとしてもな」


司馬遷「全国王朝ではないが、遼と宋を滅亡させたという点で金の戦闘力は分かってもらえると思う。統治期間は短かったが、相手がモンゴルとあっては仕方がない。ただ、満州の奥地という田舎から出てきたのに、モンゴルを田舎だと馬鹿にしていたという話はいただけないが」


実況「対戦形式はこちらも女性を立てることになりました。ハディージャさんもアーイシャさんも文系女子としてはイマイチなところがあります。サラセン帝国にとって得意分野ではありませんが、一方の金も女性文化人はあまりいません。どのような展開になるか気になるところです」

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