口
晴れ時々雨
🏫
YはRから指導の名のもとに生物室に呼び出された。過剰な怠惰癖を拗らせ1年留年したとはいえ、今は成績も悪くはないはずだった。
だらしのない顔をしているからだ。Yはそう自己評価していた。無意識の時の自分の顔は完全に気が抜けていて、視点も定まらず口も半開きだった。そのせいで、知り合って日の浅い男からいつの間にか口淫させられることが今までに数回あった。YもYで拒めばいいものをすんなり受け入れてきた。自分のしていることが常識的にみて良くないことだと知っていたが、不思議と突っぱねるほどの嫌悪を感じなかった。好奇心が勝ったとも言えよう。それに、自分のような子供に秘密の頼み事をする大人の男が愉快だった。
生物教師のRは実験台上にひろげたYの先日の考査の答案の横に腰掛け、白衣の前を開いてズボンのジッパーに手をかけた。そしてYの頭を軽く押さえて足の間に屈ませると、少し丈のあるブリーフの合わせ目に彼女の手を導く。
Yは生地の上からそこを撫でた。予想していたとおりに、男の体は膨張し硬直していた。Yは下着の切れ目へ指を忍び込ませ、熱く怒張した物をそろそろと握った。握ったまま外界へと捻り出し上目遣いで教師を仰ぎ見ると、教師は顎を引いて彼女の視線を捕え濃い呼吸をした。ものを掌握した指の力に緩急をつける。すると透明な粘液が先端で小さな半球を作った。陰茎の先で球状を保った体液が緩やかに揺れたとき、校舎の下のグラウンドから遠いホイッスルの音がした。
締りのないYの唇は男茎を受容するために大きく開かれた。目で教師を見上げると、極端に細めた目でYを見ていた。期待に満ちた眼差し。Yは尻肌に悪寒を感じ、大きく開いたままの口から舌だけを出して亀頭をべろりと舐めた。Yの舌を塩味と苦味がひろがり一瞬で鼻に抜けていく。同じ動作を何度も繰り返す。教師は呻いた。まどろっこしさに耐え難くなった教師は両足を大きく開きYの頭を押さえつけ、自らの腰を突き出した。半ば強引に、ペニスはYの口中に収まった。するとYの頭を固定したまま腰に反動をつけ始め、途切れながら連続した呻き声を上げる。Yの手は男の膝上辺りを掴み、強引なストロークに耐える。
唾液が彼女の顎を伝ってベージュ色の床材に溜まる。今更えづいても許してもらえないのでなすがままに口を犯させる。苦痛を和らげるように、時折舌をあちこちに動かしたり口を窄めたりするが、興奮した男の力には到底適わないのだ。いつもそうだ、Yはぼんやりとこれまでの経験を振り返った。
まだ暮れぬ特別教室で繰り広げられた最重要機密級の所業を終え、Yは大幅に得点の加算された答案用紙を持ち帰る。
なんの意味もないわ。
締め切られた教室の連なる窓に映る間の抜けた顔。セックスとはどんなものなのだろう。顔が歪むだろうか。私の歪んだ顔を見るのは誰。
口 晴れ時々雨 @rio11ruiagent
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます