第9話 訓練
一方その頃
違う村へやってきた一同
「師匠!!俺シロを助けに戻ります」
師匠は今にも飛び出しそうなクロの首根っこを掴んだ。
「こらまたんか。どうも様子がおかしい」
師匠はどこか緊張した面持ちで、扉を開けた。
僕達は村のある場所に移転してきた筈だった。
しかし見たところ村と呼ぶには家が一軒も見当たらない。
「クロ」
「はいはい偵察してきますよ」
結界が張られている道場から一歩足を踏み出そうとした。
ジュッ。光の光線が俺の右足を掠めた。
「師匠。結界まだ張っといてくれよ」
俺は気配遮断に防御魔法を重ね。慎重に上空に飛び上がった。
状況は俺が思ってるより良くないみたいだな。
俺は周辺の状況を一通り見ると師匠の元に戻る。
「師匠転移魔法ってもう使えないのか?」
「そうじゃな……ここの魔素は少し濁っているから近くになら転移できるかもしれんが……」
「そうかよ。でも結界解除した瞬間焼き尽くされるぞ」
移転先もう少し南東にすれば大丈夫だと思う。
南門から見える90度の範囲にあるもの全て消されてる。
南門の門番は見えなかったが、自動で光線が出るようになってるのか、物体が出現すると焼き尽くされるみたい。
「もし移転難しいなら俺がとりあえずこの道場丸々蹴ってやるから、どうするか選べ。そして俺はシロのところに行く」
――――――――――――――
「俺は
森で僕を救ってくれた人の訓練に参加することになった。
森にいた時三玄を追い詰める実践練習をしていたらしい。
玄武の側近である一玄・二玄・三玄を倒した人は、玄武様と戦う資格があるらしい。
僕は速さを得意とする三玄の訓練に参加することになった。
「それじゃ俺について来いよ」
そう言って三玄は木の上を走り逃げていった。
僕とそのほかの訓練生20人は追いかけることになった。
僕は木と木を移動する方法も知らないので、三玄を見失わないように注意しながら道なき道を走った。
ぜぃぜぃ。肩で大きく息を吸う。
開始からまだ1分も経っていないだろうが、僕は息が切れてしまいその場で立ち尽くしていた。
山の中を走るのに、足元の障害物だけではなく、伸びた木の枝や通れる道を探さなければならず思ったより体力を消費した。
どっちの方向に行っただろうか。ほかの訓練生の姿すらない。
僕は耳を澄ます。
かすかに北北東の方から物音がする。
僕は呼吸を整えると、再び走り始めた。
夕刻。
陽が沈むからと、僕は三玄に森の中で拾われた。
結局僕以外のメンバーは追いつくことはできなかったものの、目的地まで辿り着いたらしい。
「お前シロって名前だったよな?」
僕はコクリと頷いた。
「それにしても体力ないな」
大きく笑われた。
「仕方ない。お前には特別メニューを用意してやる。だからまず体力をつけろ」
疲労で食欲すら湧かなかったが、三玄が食べろ食べろと隣で圧をかけてくる。
疲れていたはずなのに、筋肉痛が酷く眠れなかった。
翌日から他の隊員とは別メニューとなった。
その日から僕は走って、走って、走って、走って、走ってひたすら走らされた。
平地の時もあれば山の中を走らされる時もあった。
雨の日は足下がぬかるみ傷だらけになった。
そんな日が続き2週間以上経ったある日、別メニューだと三玄から呼ばれた。
「避ける練習だ。今から木の枝と小石を投げるから避けろ」
僕は三玄が右手に持っている木の枝をみつめた。
ヒュンという投げた音は聞こえたが、見失った。
額に衝撃を感じ、僕はその衝動で後ろに倒れ込んだ。
「…………」
「シロちゃんすまん。早く投げすぎたわ」
三玄がすまなそうな顔をした。
その木の枝は一体どんな速さで投げられたのか。僕の額は大きく腫れ上がった。
その後三玄は物凄くゆっくり投げてくれた。
最初は2mくらいの距離で顔に向かって投げるだけだったが、時間が経つにつれ、離れていき足下や胴体など体の全部が的となった。
集中力を使うため、徐々に動きが遅くなり避けられなくなってきた。
「よっしゃーこれで最後だから、避けろよー」
そう言って三玄が投げた木の枝は僕の右手を狙ったように見えた。
しかし避けたと思ったその直後
右脇腹に衝撃がはしった。
ゴホッ。僕はその衝撃で口から胃液?を吐き出した。
僕はその場にうずくまる。
「あちゃーまだ無理だったか」
鮮血のパラドックス 白雪凛(一般用)/風凛蘭(BL用) @shirayukirin
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