第5話 迷う子供達

「迷子なんだねぇ〜僕と一緒だね〜」

どうやら僕は同じ迷子として分類されたようだ。命の危機を回避しすこしホッとする。

この迷子で強い彼は“にこ”と呼ばれているらしい。

身長も僕とほぼ変わらないので150cmくらい。体格もさほど変わらないのになんであんな力があるのだろうか。やはり魔法がこの世界の強さなのだろうか。

「それでにこくん?どこ向かってるのかな?」

にこくんはその辺で拾った木の枝を振り回しながら、「うーん」と唸った。

「えーっと」

僕も村の外のことは全くわからないので役に立たない。

「あっちょっと待って」

にこくんはボソボソと何かとなえるとどこからか人が落ちてきた。

……落ちてきた!?僕は人が落ちてきた空を見つめた。

「いたたっ」

メガネをかけたボロボロのローブを着た男の人が周囲の様子を窺い立ち上がるとにこくんの頭を本で殴った。

「こら!!にこっ!!強制召喚魔法使いましたね。あれだけ使うなと言っておいたのに」

にこくんは「だって、、、」というとそっぽを向いた。

置いていかれていた僕は「あの〜」と静かにそのお兄さんに声をかけた。

男の人はこちらを見ると「お見苦しいところをお見せしてすみません」と深々と頭を下げた。

僕もつられて頭を下げた。

今もそっぽを向いているにこくんに代わり状況を説明する。

男の人は大きな杖をどこからか出すと地面に突き刺した。

辺りに風がブワッと吹き上げた。

「ここは状況が悪いですね」

お兄さんはメガネをおしあげると

「にこ、彼をちゃんとエスコートしてあげてくださいね」

にこくんは渋々僕の手を握った。

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