デートの誘い

朝、アラームが鳴っており時間を見るといつもの登校時間を過ぎていた。焦ってカレンダーを見ると祝日だった。

「なんだ…祝日か」

そう思いながら本を読んでるとスマホが震えた。メールが届いていた。送り主は五月雨 唯 である。

内容はこうだった。

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今日もし暇だったら買い物付き合ってくれない?

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今日は特にやることが無いのでそのメールに良いよ。と返信をした。するとすぐに既読が付いた。そして、またメールが届いた。

じゃあお昼前に家に行くね。

その返事に、了解。とスタンプで送った。

1回スマホを閉じて少し遅い朝食を取りに行くため1階に降りた。今日は両親どちらも仕事だし、朝日と姉さんは買い物に行くと朝日が昨日メールで言っていたので今、家に一人である。

朝食を取り自分の部屋に戻る。そして目の前の積み本を見て呟いた

「よし、積み本を減らすか……」



────────────────────

ピーンポーンと、丁度3冊目が読み終わった頃に音が鳴り、荷物を持って1階に行った。そして、変装としてメガネを掛けて玄関を開けると。

「おはよう楓、今日はごめんね買い物付き合ってもらって。なんか奢ろっか?」

「いや、奢りは貸しを作ってしまうので駄目」

「まぁ元から奢る気はなかったけどね」

「じゃあ何故言ったし…」

「ん?いや〜貸しを作れるなら奢ろっかな〜と思ったけどやっぱり無理だったか〜」

「ってか玄関前で話してるんじゃなくてほら、早く買い物に行こ?」

そう言って唯は手を握ってきた。こういう事

を無自覚にやってる唯はある意味凄い……



そう考えながら歩いてると近くのショッピングセンターに着いた。買い物に来たが何を買うか聞いてなかったので横で歩いてる唯に聞いた。

「そう言えば何を買うか聞いてなかったな。何を買うんだ?」

「えっと、服とか本を買う予定よ」

「本はどういう事に使うんだ?」

「まぁ、勉強に使うための資料として使うため、それと、アンタと話の内容が合うように…」

勉強に使うのか…真面目だな〜

最後の方は声が小さくて聞こえなかったけど、まぁ気にしたら負けとか言われてるから

気にしないようにしよ。

と、会話をしていくうちに目的地の本屋に着いた

「1回ここから別行動するわよ。アンタも本屋に行きたがってたんでしょ?」

「なぜ分かった!?」

「アンタ、無意識に「あっ、新作出てたな、後あれの2巻も買わないと…」って昨日学校で言ってたわよ?」

「はっ!限定版今日までじゃね!?………財布ない」

そう言いながら本気でバックの中を探しているが見つからない…

「……お金貸してあげよう──」

「ありがと──」

「ただし!貸し1つだからね?」

あっ…貸しを結局作ってる…くっ、けどここで買えなければヤバいしょうがない明日お金を返すか。そう思っていると唯がこっちを向いて笑ってた。なんだ…?

「あっ、貸しはお金を返してもらっても消えないからね」

「だからなんで心を読める!」

「楓だから」

そう言った時、唯も自分も顔が真っ赤になった。

それを本屋前でやっているのだから他の客やら店員に見られる。唯はまだ赤い顔を上げてまたうちの手を握って本屋に入ってった

「ほら、もう行っていいわよ。私も何冊か買うけど時間はかからないから早くしてよね」

「…分かった」

そう言ってさっきの事がなかったかのように話してたので少し固まっていた。

けど、売り切れになるかもと思い出すと身体が勝手に走り出していた。場所は、分からないはずなのに身体が勝手に動いて着いた場所に残り2冊の限定版が残っていた。それを手に取ろうとした瞬間。手が触れ合った。顔を見ると──

「楓…?なんで、ここに居るの?」

そこには唯が居た。

「なんでってこれが目的の品だからだよ」

その時、唯は何故か少し嬉しそうな顔をしているように見えた

「うーん…じゃあ一緒に会計行く?」

「行くかー」

そう返事した後にまだ唯が嬉しそうな顔をした理由を考えたがまさか同じ本が好きだったから嬉しかったのか? まぁそんな訳かもしれないな…

そんな事を考えながら会計を済ませた。

「そう言えばお腹すいた?」

「空いたけど、財布…」

「また貸しを作る?」

「ぐっ、この際貸しでもなんでも作ってやる!」

「じゃあ、あのクレープ屋さんで食べよ!」

そう言って唯が指した先にあるのは人気のクレープ屋だった

「何食べる〜?」

そう言って唯はどんなクレープがあるのかを見せてきた

「うーん、このいちごのやつが良い」

「分かったー、あっ、店員さんいちごとバナナのクレープをください」


そう言って唯が頼んでいるとき、何故か視線を感じた…後ろを向くとそこには変装では隠しきれてないイケメンオーラを漂いさせる姉さんとメガネの帽子を被っている朝日を見つけた。

自分は急いで逃げようとしたが唯がまだクレープ受け取ってたので諦めて座った。そして、姉さんと朝日が前まで来た

「相席よろしいでしょうか?」

「あ、良いですよ」

「……姉さんと朝日はなんでここにいるの?」

「姉さん!?それと朝日ちゃんも!?」

唯は驚いて買ってきた本を落としそうになるがさすがにあの限定版を落とさせる訳にはいかないので地面スレスレでキャッチした。

「あっ、ありがとう。てかお姉さんイケメンじゃない?」

「そうイケメン。みんな認めるイケメンだよ──」

「ちょっと良いですか?なんで兄さんがここに?」

コソコソ喋ってると朝日がそう聞いてきた

「えっと、私が楓を誘って買い物に着いてきてもらったの」

そう言いながら唯はこっちを見てきた。自分はうんうんと頷いた

「それっていわゆるお買い物デートじゃ──」

「あーーーーーー!!!聞こえないーー!!!」

「ん?なんていっ──」

「なんも言ってなかったよ?イイネ?」

「?はい」

本当に聞こえなかったから分からんけどなんかヤバそうだな…

「あっ、そうだ!今から服屋に行くんですけど一緒に行きますか?今から兄さんの服を買いに──」

「行くから!まって!朝日!ストップ!それ以上口にしてはいけない」

「よし、じゃあ唯さんも一緒に行きましょ!」

結局、唯、朝日、姉さんとうちで服屋に行くことになった。そして、やっぱり姉さんはオーラを隠しくれてなかった。そんな女性の中にいる僕は一部の男たちから凄い殺気が飛んで来るのは…えっとやっぱり慣れないわコレ



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