約束
日曜の朝、目が覚めると眠気が取れない中、服を着替えて、顔を洗って眠気を取り、朝食を食べる為、階段を降りて食卓に向かうといつもとは違った光景があった。義母の鈴さんが料理を皿に盛り付けていた。盛り付け終わった後、こちらの存在に気付き、笑顔でこちらを見て言った
「おはよう楓くん?で良いのかしら?昨日、どう呼べばいいか聞き忘れちゃってね」
「すいません、昨日あんなに早く寝ちゃって…えっと、楓でいいです」
「分かったわ楓〜ご飯はもう出来てるから食べていいのよ?遠慮しないで?」
「そうだぞ、父さんを見習うんだぞ楓〜」
「……ん?父さんいつの間に!?いつからそこに!?」
「楓、気づいてなかったのか…父さんのことを…」
父さんがいつの間にか昨日と同じ席に座って朝食を食べていた。けど、1番驚いたのはさっき盛り付けが終わったばっかなのにたった30秒の間に食べ始めていたのか……
「そう言えば早いねまだ5時だよ?着替えてどこかに行くの?」
「市役所に婚姻届を一緒に出しに行くんだ鈴さんと」
「なんで昨日出さなかったの?昨日なら時間はあったでしょ?」
「いやぁ〜引っ越し作業とか色々あってね父さん疲れて昨日話した後倒れちゃって出せなかったんだよ」
引っ越し作業とか色々、色々ってなんだ?引っ越し作業は業者さんに頼むとして、そんなに疲れないと思うんだけど、その色々は凄く気になるが詳細までは聞こうと思わないが流石に昨日あんな扱いしちゃったから少し罪悪感が湧いてしまう
「まぁもう元気だから大丈夫だぞ!別に昨日の扱いが久しぶり過ぎて驚いたけど傷付いてないぞ!」
「父さんと鈴さん行ってくるからバイバイ!」
父さんと鈴さんが市役所行くから手を振ってそして、食事に戻ろうとすると2階から朝日
が降りてきたのが見えた
「おはよう朝日」
「おはよ〜、ん?あれ?お主何奴!」
「我、お主の兄である!」
聞いたことのあるセリフだったので思わず答えてしまった。しかし
「ふふふ、兄さんは思った通りの人でしたね。」
「その言葉はどういう意味かね」
自分は今、冷や汗をかいているだろう。そう、このノリは僕がこっそり読んでいる自分の部屋の書斎の一番奥のチラ見では絶対に見れない場所にあるはずなのに
「真実はここにあるのは兄さんの百合小説である!兄さん!これがバレたくなかったら私のお願いを聞いてくれる?」
何故、この世に1冊しかない自分の小説がそこに……
お願いとはなんなんだ可愛い義妹が出来たと思ったのにまさか天使じゃなくて悪魔なのか!?
「私のお願いは兄さんに女装して欲しいです!メイクや衣装は任せて下さい!」
悪魔だと思ったけど少し優しい…のか?
いや、これでは男の尊厳が無くなってしまう!
「兄さん、一生のお願いです!女装してください!」
「うっ、……分かった、1回だけだぞ?そしたら元ある場所に置いてきてね」
「やったやった!よーし!やるぞー!」
「ちょっと待った!まずご飯を食べよう」
「ん、話は終わったのかい?楓君」
ご飯を黙々と食べていたのは姉さんだった
い、今の話聞かれてないよな?さすがにね?
そんな事を思ってると昨日のなでなでの事を思い出した。それを思い出した瞬間、顔が真っ赤になった。
「あれ?兄さんどうしたんですか顔そんなに真っ赤にして」
「どうしたんだい?楓君……熱かも知れないから一応測っておこう」
姉さんが顔を近付けておでこをくっつけたさっきより顔が赤くなった。それを見て姉さんが「大丈夫?寝た方がいいと思うよ?」と言われてそうかも知れないと思ったのでご飯を早く食べて寝ようと思ったから
「分かった、寝るよ。ありがとう姉さん。朝日〜約束は来週ね」
朝日は少しムッてしたけど分かりました来週ですよ!と言って自分の部屋に行った。
「さて、僕も部屋に戻るか…」
そう言い立ち上がろうとすると急に目眩がし、倒れそうになった頭にやわらかい感覚が伝わる。
「おっと、大丈夫かい楓君?「……」寝てしまったかな?あんなに顔を赤くしていたから熱だろうな。……寝てしまっているなら仕方ない、部屋に運ぶか」
体に力を入れようとしてるが入らないのでそのままお姫様抱っこで運ばれて、そこでベットに置かれた所で記憶が途切れた。
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義姉視点
楓君、女装をするんだ……気になる!
通話アプリronsuで妹に連絡をした。
姉<朝日?女装させるのかい?楓君に
妹<そうだよ〜もしかしてお姉ちゃん、撮る時一緒に見たい?
姉<さすが妹!見たい!ありがと!ハグしよ!
妹<それは遠慮したいん……だけど今回だけは良いよ〜
姉<分かった今から部屋行くね!
妹<うん分かった。待ってるね
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「朝日ー!ハグしよ!」
「お姉ちゃんちょっと待って、兄さんが起きちゃうでしょ?あと、兄さんのお姉さん像が壊れちゃうぞ」
「うっ、それは嫌だから静かにするね。けど、ハグはしてくれるんでしょ?」
「うん、ハグは良いよ」
朝日とハグをしていると幸せな気持ちに包まれる。さっきの楓君が倒れて部屋に運んだ時も同じ気持ちだったな〜
「もういい?」
「いいよ〜ありがとね〜」
そうして私は部屋に戻って楓君の女装を楽しみに待ちながらぐっすりお昼寝をした
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