第9話切に願う
久しぶりの我が家というものは良いものだ。
とても落ち着く。
外泊中はガチャガチャと何やらカラダを弄られたが、案の定内から聞こえる軋みは止まない。
余生?は静かにこの男の横で過ごしたいものだ。
やれやれ、ワタシがいない間に何か心境の変化でもあったのか…
真面目…いや、仕事の虫だ。
コイツが我が家に仕事を持ち帰るなんて見た事が無い。学生時代に宿題すらまともにした事のないような奴だ。
そんな奴が一体何故…!あー…女か?
長い付き合いだ。だいたい分かる。女なんだろ?おーい、応えろよ。このエロオヤジ。
…まぁ、返答なんてないのだがな。
男は女で変わる。男子3日会わざれば。などという言葉を聞いた事がある。
少しばかり見ない間に多少、精悍な顔つきになったんじゃないか?いい女でも見つけたのか??
真面目だが怠け者、なぁなぁで生きてきて、自分なんてと蓋をしてきた可能性…
そうだ!お前はやれば出来る子なんだ‼︎出来る男になって気になるその子にアプローチしてやるんだ!
「あぁ〜疲れたぁ〜…今日はこの辺で止めておこうかな。週明けに先方に確認とって、それからじゃないとどうしようもないしな…ああーマリアちゃん呼びたーい…癒しが欲しーい!」
ん?何だって?おいおい、バカヤロウ。
「薄給の下っ端のままじゃダメだよなあ〜…もう、どんなくらいマリアちゃん呼んでないだろう…この間にもマリアちゃんは…やめだ!やめやめ!女々しい考えなんてしてる場合じゃないよな!なぁ!相棒!」
いや、ワタシはそのまま風俗遊びを辞めて、普通の女と普通の恋愛をして、普通に結婚して欲しいと
望んでいるのだが?
しかし、この男をここまでさせているのはなんなのだ?人の感情の機微は難しい。
そこまでお前が入れ込むならワタシはこれ以上お前の気持ちに意見はしないが…
ただ…ただ、切に願う。お前が幸せな人生を送ってくれる事を…それだけだ。
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