語るは戦争
現在国を挙げて遂行中の軍事作戦「
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作戦名:
主要目標:シナイ半島南部に存在する連結要塞群「セント・カリタナ」(第四帝国は第4号要塞と呼称)、以降はこれの
副次目標その1:修道院内に存在する
副次目標その2:スエズ地峡に存在するイスマイリア=ティムサーハ湖上要塞(第四帝国は第3号要塞と呼称)、以降はこれの
参加兵力(兵団の詳細については別資料に記載)
・陸軍、300万。常備軍が120万(予備兵力30万)、
・空軍、有人機5000、無人機7000の計1万2千機。有人機には騎竜兵を始めとする調教済み生物群も含む。
・海軍、本作戦には参加せず。但し
追記:先程提督からの報告によりX艦隊の支援を要請したとあり。
本作戦の目的
1.第四帝国が我が国を侵攻する足掛かりとして建設した4つの要塞基地、その1つを確実に陥落させることで要塞同士の連携を崩し、反撃の一歩とすること。
2.我が国の2つの聖地、
3.
4.紅海及びアラビア海、ひいてはインド洋の制海権の確保を確実なものにする。現在、当海域のシーレーンを脅かしている第四帝国の
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まず、オオキバ提督が率いる第2遊撃艦隊が去年の10月31日にマスカット軍港より出撃。彼らは
そして餌を喰らおうと集まる
こうしてまず第四帝国のプレイヤーの目を西インド洋へと引き付けます。
次に同じく去年の12月25日に陸軍6個師団、計10万人がガザ基地より出撃、
いかにもこれから攻めるぞ、という空気を作り出します。
そして今年に入って直ぐに陸上部隊の主力35個師団、計30万人がアシュケロンとベエルシェバ基地より出撃。
それを受けて第四帝国軍は「修道院」より出撃。シャルム・エル・シェイクからエルトール、アブ・ゼニマ、ラス・スダー、つまりスエズ湾沿岸部を経由しグレートビター湖東30キロの地点に布陣しました。そして現在、
「質問があるんだけど、敵の兵力は?」
通信傍受や偵察機の報告によりますと最低でも100万は超えているとのことです。
「えっ、そんなに!? 敵は兵站とか考えていないのでしょうか」
そこを指摘されるとは陛下も少しずつ戦略について勉強されているようですな。その通り、敵は兵站を考えていません。その理由はわかりますか?
「ええっと、『アカシック・レコード』の力を利用したものでしたっけ。無限に物質を生成できるという」
はい。旧時代、21世紀序盤に存在していた日本国という国が偶然引き上げ、様々な恩恵と狂いを同時に齎した、おそらく地球以前の文明による遺物です。ご存じのように我々はそれを超々先史遺物=シャッガイの遺物と呼称していますね。
『アカシック・レコード』によって厖大な物資を生成できるから、兵站のことはあまり考えないのが彼らの癖なのでしょう。
そして作戦目的の3にあるように、これを奪取することで戦略的に有利になりえる可能性があるのです。もっともアカシック・レコードは無機物のみ生成できるので第四帝国ほど上手く扱えるか、不透明な可能性となっています、残念ながら。
「そっか、
陛下の疑念はもっともです。我らの無能ぶりを暴露するようなものなのでお恥ずかしい限りなのですが、現状「わからない」というのが結論です。なので複数個入手し真理省にて研究をしたいと考えている、とパラケルスス研究主任が。
前大王、キュロス様はこれを許可し、極東にて『王の刃』ガイアン・アブスパールの手により回収された現物が早速解析され始めております。吉報をご期待ください。
「わかった。話の腰を折ってしまってごめん。報告の続きをお願い」
承知しました。
彼我の本日までの動きは以上となります。これから先は予定されている今後の動きを説明致しますがその前に陛下に1つ、確認しておきたいことがあるのです。
「?」
それは……本作戦のGO! サインです。
「GO!、サイン……?」
はい。この作戦は元々我々軍部が立案し前大王、キュロス様が許可されたものです。そして陛下は今、キュロス様と同じ立場にいるのです。
「つまり、例えばなんか気に入らんので中止だ中止!……っていうこともできるの?」
おっしゃる通りです。陛下はこの作戦、許可されますか?
「でも今中止したら、これまでの君たちの努力が無駄になってしまうじゃないですか」
ハハハ、陛下、そのような視点で物事を判断するのはあまりよろしくありませんとこのマンデラ、恐れながら諫言させてもらいます。
簡単に申し上げますとこの地球史上、「明らかにやめておけばいいのにそれまでの積み重ねが無駄となる」という理由で強行され、結果惨敗となった事例が数多くあります。
そして幸いにも
これ以上作戦が進むと中止するのも大量のエネルギーが必要となり、困難となるのです。山頂から転がる雪玉が麓につく頃には手に負えないほど大きくなってしまう、そう例えることができるでしょう。
「聞きたいんだけど。勝てるかな、僕たちは」
もちろんですとも。
「でも僕の一言で大勢の人が死ぬかもしれないんだよね」
敢えて言いましょう。その通りです。既に陸・空合わせて死者は500を出しております。海の方でも400ほど。オオキバ提督からの報告では駆逐艦4隻、巡洋艦1隻、潜水艦3隻が喰われたとあります。
ですが陛下、まず大前提として
「わかった。君たちを信じるよ。GO! だ」
ありがとうございます。
「それで、この後どう動くの?」
それではまず現在の両軍の位置を簡易的に表示した地図をご覧ください。
「…………高台である
正にご慧眼の通りです、陛下。そして彼らの動きは全て予想通りなのです。
「ええ!? 流石の僕でもこの状況は不味いってわかるよ! 予想通りって言ったけど本当に大丈夫なの、元帥?」
もちろんでございます。これで敵の目は先に申した西インド洋とシナイ半島上部へと完全に引き付けられたわけですな。ご安心を。この動きは全て我々の思うツボなのですよ。
「そうなの? あっ、例えば
ほう。それは中々に堅実な案でございます、陛下。ですが彼はまだ
さて、恐らく敵は明日の明朝には総攻撃を開始すると思われますが──
──その前に、これよりわが軍は敵の中央に総攻撃をほんの少しかけ、少しした後に後方へと撤退します。包囲の袋が閉じる前に。
そしてこの一手が、勝利へと導くのです。
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