魔人という別種
「ティマはね、ガネニ・ネグス・ハゲリという所から来たの。そして彼女は『ホモ・ミジイケ・ミラビイラナトゥラエ』、通称、魔人という私達とは別の種よ。まあ簡単にいうと魔法が使える種族ね。旧時代の学者によると今から25万年ほど前に出現した種だそうよ」
「…………ティマドクネスと申します。少し名前が長いので、ティマとお呼びください……」
そう言ってティマドクネス、改めティマは会釈した。
いや、待って。今翡紅は何と言った?
私達とは別の種⁉ あ、頭がこんがらがってきた。魔法が云々といのは一旦わきに置いておくとして、ティマが
まさかぁ。だって彼女はどう見ても人間じゃないか。違う点と言えば顔のタトゥーだけでしょう?
実はそうゆう設定ですなんちゃって、とかいうオチでは……なさそうだ。
説明してくれた翡紅の顔は、例えると「太陽は東から登り西に沈む」みたいな、ごく当たり前のことを説明するときの顔である。
その顔、その表情が雄弁に物語っていた。「今の話は単なる事実なのだ」ということを。
ところで僕が知らない何かを知っている曲直瀬にとってその言葉に余計に混乱させる要因でしかなかったようだ。目をグルグルと回しながら(何故かそう見える)彼女は納得できないといった様子で翡紅に質問する。
「その、陛下? あくまでも私が聞きかじった情報ですと魔人はある領域の外に出ることは不可能とあったのですが」
その質問の内容からして曲直瀬はある程度ティマの種族、えーとホモ・ミジイケ……長い! もうストレートに『魔人』でいいだろう。の情報を独自に得ていたらしい。でもこれまた妙な質問だな。ある領域の外に出ることは不可能、ってどうゆうことだ?
「なんだ。ちゃんと伝わっているじゃない」
翡紅は少し後ろを見ながらそう返す。そして少し申し訳ないという顔でこう続けた。
「あー、ホントはもうちょっと説明するべきなのだけど……時間切れね。実はあなた達が来る少し前に私達の拠点の一つから連絡があってね、異形生命体の
「「「「‼」」」」
僕らはその知らせに驚愕し顔を見合わせる。
神国日本では
更に厄介なことに異形生命体の発生量も尋常ではないのでその対処が難しいとチトセの情報にあった。果して大丈夫なのだろうか。
そう思って翡紅の方を見るが「というわけで私はこれから現場の指揮を執りに移動しなくてはならないの」と、至って普通だ。気後れする様子など微塵も感じない。
「陛下は指揮をされるとおっしゃられましたが、どちらまで行かれるのですか?」
力道がそう質問すると
「朝鮮半島の
「そんなに遠くまで⁉」
その回答に力道は驚きのあまり目を丸くする。
「ここ上海から朝鮮半島まで約800キロも離れているのですよ⁉ 今からどう移動されるおつもりなのですか?」
その当然の疑問に対して翡紅は事もなげにこう答えた。
「ティマの力を使うのよ」
そして更にこんな提案をした。
「そうだ、あなた達も来る? 歓迎するわよ。私達の実力を見るチャンスだと思うのだけれど」
それに、と続けて翡紅は不敵に笑い次の一撃を放った。
「こんな時代だもの。難民受け入れ先の軍事力、知っていた方がいいでしょう?」
こうして僕たちは翠玉軍による金浦市要塞防衛戦を観戦することとなった。
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