第3章:2298年 10月25日

資料③

ファイル名:混沌と異形生命体について(1) 個人用メモ

作成日時 :2296年10月22日 19:12:05

作成者  :暦特務少尉


 異形生命体は第三次世界大戦中の2041年に日本国の首都・東京に「混沌ケイオス」と共に初めて出現した。


 元々異形生命体というのは全くの未知の物質である「混沌」に感染し変異したあらゆるモノの総称である。


 主な感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染の3つであり、非常に感染力が高い。更に不可解なことに無機物にも感染しその性質を有機生命体のように変化させることがある。

 幸いにも混沌に汚染された土地または異形生命体はその色が極彩色に染まるので簡単に区別することができる。


 感染と書いたが正確には全ての生物、それぞれの個体には「混沌抵抗値」なる指標が存在するようで、この抵抗値の値を越えると対象は即座に死亡、「混沌に感染」し、異形生命体となる。

 抵抗値は旧時代でも具体的な指標を定義することはできなかったようだ。

 ただ、統計的に女性の方が抵抗値が高い傾向にあったようだ。そのため旧時代の軍隊は男性中心から女性中心にシフトしていった。だが、やがて限界が来たのだろう。戦争による戦死者が加速度的に増加し人口減少に歯止めがかからなくなっていった2080年代になるとということが世界中で行なわれていたようだ(俄かには信じがたい)。


 以上の特性により混沌の濃度が高い土地は全ての物が汚染され生物が生存することは不可能となる。

 日本列島の場合東日本の内陸部と東京23区内が該当する(中国、九州地方は全く別の理由により生存不可能な土地と化しているが、その原因は全くわかっていない)。

 また、混沌は何もしなくても時間の経過と共に濃度が上昇し、周囲に拡散していく。その為いつの日か地球全体が混沌に覆われる日が来るとされ、その日こそ地球最後の日、または審判の時と言われている。


 

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