第21話 マタタビィィィィィィィィ!!
「君は詰めが甘いね。甘々だね──私の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいよ」
探偵は多数のネコ警官に押しつぶされている僕を見下して、軽口をたたく。
「それは随分甘ったるいだろうな」
僕も必死にネコ警官の山から顔を出して、負けじと軽口をたたき返す。
「法律なんて偉い人の為にあるんだ、マタタビ取締法だってそうなんだよ。、マタタビが合法化すると不利益をこうむる人がいる。例えば、君のスピーチを邪魔した人とかね」
探偵は後ろを振り返り、高そうな服装を着ているネコたちに指をさす。
恐らく探偵が指させたネコは政治家や資産家などの所謂、上級国民なのだろう。その上級国民に探偵は詰め寄る。
「あなた方は彼のスピーチを止める理由は何でなのかな? もしかして、もしかするかもしれないけど・・・・・いやー違うよね。いや、でもそれしか考えられないな。うーん、ひょっとしたらひょっとすると、あなた方は裏でお偉いさんたちだけでマタタビを取引しているでしょ」
その後に探偵は写真を数十枚を空にばら撒いた。
写真は風によって散乱する。
そのうち一枚が蝶が羽ばたくように僕の顔の前に落ちてきた。その写真には二人のネコが向かい合って座っており、二人の間にはマタタビと紙幣が置いてある場面が写されていた。
そのうちの一人は王様の後ろに控えているネコだった。
要するに国のお偉いさん達も、国民とは別にマタタビを楽しんでいたというわけか。この国ではマタタビが違法だがほぼ全員がマタタビを使用している。それなのにマタタビが禁止されている理由が分からない──国民の多くが使用しているマタタビを禁止するのはおかしい。そもそも、この不必要なマタタビ取締法が作られたのかすら、訳がわからくなってくる。
「何故にマタタビが違法薬物なのかは説明するなんて簡単のことだよ。そこらで写真を懸命に拾っている方々がマタタビを独占したいから。最初はマタタビが危険だと思いマタタビを禁止にしてたけど、どうやらマタタビの魅力に気づいてしまったようだね。けれど、マタタビを合法化してしまえば、マタタビが自分たちに十分に供給されない可能性も考えられるし、何より自分たちだけが楽しんでるというプレミア感を失ってしまう。そういうわけでマタタビ取締法が施行されているってことだね」
慌てて写真を拾う上級国民を尻目に探偵が僕の疑問を解決させた。
つまりマタタビ取締法はお偉いさん達の独占欲を満たすために存在したってわけか。
だったら尚更、こんな法律はいらない。
探偵がばら撒いた写真を見て困惑している警官のすきをついて僕は再び演壇に立った。
「僕がお好み焼きにマタタビを混ぜたのはマタタビを合法化するためです。マタタビ合法化するためにはマタタビの安全性を証明せねばならなく、そのためにマタタビをお好み焼きに入れました。何も言わずに皆さんを実験台のようなことして申し訳ありません。けれど、皆さんのおかげでマタタビの安全性を証明出来ました。そこで皆さんに提案があります。僕たちでマタタビ合法化させませんか? マタタビ取締法はお偉いさんの独占欲を満たすためだけのものです! そんな法律いらないですよね!?」
僕は力強く言い放つ!!
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」
誰も反応してくれない。
流石に難しいか・・・・今考えてみれば、いきなり法律を変えようと言い出しても、直ぐに賛同してくれる人はいないし、もしかすると無断でマタタビを入れたことに対しての不満もあるかも知れない。ダメかもなぁ、どうしよう? 失敗したときのことを考えていなかった。このままマタタビが合法化しなかったら、僕は食品に違法薬物を混入したことになる。マタタビ密輸で極刑ならマタタビ混入容疑も勿論極刑に違いない。
このままだと僕は極刑だ。だからって、これ以上は僕には何も出来やしない。
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・いらない」
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・」「いらない」
「いらない」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「いらない」「いらない」「いらない」「いらないニャン」「・・・・・・」「・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「いらない」「いらない」「いらない」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「いるか!」「いらない」「いらない」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」「いらない」「・・・・・・」「いらない」
「いらない!」「いるか、そんなもん」「いらない!」「マタタビよこせ!!」「いらない!」「いらない!」「いらない!」「いらないニャン!」「いらないよ」「必要ない!!」「いらない!!」「マタタビ・・・・」「いらない!」「いらないにゃ!!」「いらない!」「いらない!」「いらない!」「いらない!」「いらないぜ!」「マタタビィィィィィィィィ!!」「いらない!」「マタタビ!!」「いるか!」「いらない!」「いらない!」「いらないですー!」「いらないであります!」「うん!」「いらないっすー!!」「いらない!」「いらないかも!」「いらない!!!」
マタタビ合法化に賛同する声が徐々に増えていき、とうとう全ての人といっていいほどの賛同の声が僕の体を揺らす。
「マタタビィィィィィィィィ!!」
「「「マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ! マータータビ!」」」
今度は手拍子ともにマタタビコールが響き渡る。
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