第17話 ホモサピエンス如きが猫耳と馴染むな! 似合うな!! 相乗効果をだすな!!!
「信じられない、探偵──お前のことは」
「逆にお前は僕が信じると思ったのか・・・・思い出してみろって、お前が僕にしてきた仕打ちをさぁ。そもそもとしてだ──僕がこのネコの国に迷い込んで逮捕されたのもお前が公園のマンホールを開けっ放しにしていたせいだろ。そのくせ、助ける側だと自分が優位に立っていると思って僕をこき使おうと計画してたよな──その時は助手っていう立場で落ち着いたとはいえさぁ、僕は何回酷い目に逢ってきた来たか・・・・だからって僕はお前の蛮行を一括りにまとめたりしない。全部いってやるからな! やった側は覚えてなくても、やられた側はおぼえてるんだよ。よーし、言うぞ・・・・まずは出会い頭にいきなり鳩尾に頭突きされ、異世界転生したと勘違いした僕はからかわれ、ラーメン屋では舌を触っただけなのに痴漢扱いされた。孤児院では苦いフレーメン茶を無理矢理飲まされたし、ミケケちゃんに頬ずりをしてたところをドロップキック、アイアンクローもされた──10分近くもな!! お好み焼きも僕一人で焼き続けているのに、お前は手伝いもせずに食っているだけで、疲れて寝ようと部屋に入ったら、先にベットで寝ているし、起きたと思ったら僕のことを童貞扱いする、お前にベットを譲って床で寝ようとしたら蹴り転がされた。病院ではティッシュさんの裸体を見てしまっただけでスライディングされ、日本代表サンドバックだと不名誉な肩書きを付けられるし、更にトリケラトプス拳も・・・・・あれはいいか・・・・・・・・まぁともかくだ──2日しか一緒にいないのに僕はお前のせいで散々だ。それにはじめに会った時にも言ったが、お前の存在自体、信じられない。猫耳はネコに付いているから至上なんだ!! ホモサピエンス如きが猫耳と馴染むな! 似合うな!! 相乗効果をだすな!!!」
一呼吸おいて更に続ける。
「今のは全てお前に対するただの不平不満なわけで、お前のことを信じられない理由ではないんだよ。うじうじうじ、下ばっか見て落ち込んでいる今のお前なら僕の不平不満が身に沁みるだろうと思って言っただけだ。けれど・・・けれどなぁ、僕がお前のことを信じられないのは、そのうじうじうじ、下ばっか見ている今のお前の態度だよ! たかだか、予想外のことが起きたぐらいで、自信無くしやがって・・・・マタタビ密売の密告者だと冤罪扱いされたぐらいで、落ち込みやがって・・・・・自分に自信がないやつが他人から信じてもらえるわけがないだろ」
数秒間の静寂ののち
「でも、私が自身満々に冤罪だと言えば信じてくれるってことなの? それこそ、そんなわけがない・・・・よね。さっきの偉そうな人が言ってたんだよ。私がエンゴロー巡査がマタタビを密売しているとリークしたって」
「あぁ、検察官がそう言ってたな」
「検察官? ・・・・さっきの検察官が嘘を言う理由もないし、耳だけがネコの人間は私しかいないでしょ。それじゃあ、私しか考えられないじゃん」
「そうだな、考えられない」
「君!! さっきから何意味分からないこと言っているの? 私に何を伝えたいの?」
「意味不明なことがそんなに嫌か、予想だにしない事はそんなに怖いか。言っておくが、僕はこの国に来てから意味不明で予想だにしない事ばっかだったよ──ネコの国でいきなり逮捕されるなんてわけ分からなすぎだろ。だけど、お前がそばにいてくれた。僕を助けるって言ってくれた・・・・だから僕は前を見れたんだ。僕はお前が冤罪だと言えば、僕はそれを信じる・・・そして手助けする。お前に助けられた僕がお前を助けるなんて・・・・当たり前だろ?」
探偵はまだ落ちた帽子を拾わない
「もしかして、あれか? 僕が頼りなく、信じられないからお前は下ばっか見ているのか? そうかよ、そうゆうことかよ。だったら、今度は僕がお前の冤罪を無かったことにしてくるよ」
と言い残して僕は颯爽と走った。
ただ闇雲に走ったわけではなく、僕には考えがある。
一発逆転のプランがある。
「ここで頭を冷やせ。折角無罪放免で釈放だというのに馬鹿な事しやがって」
僕は牢屋に放り込まれた。
「ふっ・・・・・・・」
鼻で笑ってみた。
ここで鼻で笑ってみると、あら不思議! わざと捕まったように思うでしょう。これも計画通り! のように感じるでしょう。
しかし違う。ただ単純にミスって僕は牢屋にいる。
僕は計画の準備段階として、マタタビを入手しようと警察署に侵入を試みたが、直ぐに警部に見つかって牢屋に放り込まれた。
鼻で笑ったのは自分自身に呆れていたから
情けない・・・・情けない事この上ない。
情けないと同時に恥ずかしい・・・・・
もう全部が恥ずかしい
探偵が立ち直るように活を入れようと勢いで色々言ったが、無駄に終わったことが恥ずかしい。
勢いのせいだからって、自分でも意味不明な事を言ったのも恥ずかしい。
冤罪を晴らしてやると颯爽と去ったのに、あっけなく牢屋に入れられたことが恥ずかしい。
何より、僕がこんな行動をとった理由が何よりも恥ずかしい。
何故僕は、あの時に・・・・
僕が一緒にいるのに探偵は落ち込んだままなのか・・・・と思ってしまったんだ。
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