第413話 物わかりのいい友人のフリ

 続きはジェイソンの部屋で話そうという流れになった。

 近衛騎士が二名に、飲み物などを用意する使用人が部屋の前まで同行する。

 そして、部屋に入ろうかという瞬間。

 アイザックの足が止まった。


「どうした?」


 ジェイソンが不思議そうな顔をして、立ち止まった理由を尋ねる。


「いや、そういえば友達の部屋を訪ねるのって初めてだなって思ってさ」


 もちろん、前世では数え切れぬほど経験はある。

 だが、今世では初めての経験だった。

 今世では「遊ぼっ」と友達の屋敷を訪ねた事などない。

 友達と遊ぶ時は、必ず向こうが屋敷を訪ねてきたからだ


 それもそのはず、アイザックの友人は子爵家の者が多い。

 子爵家の屋敷に侯爵家の嫡男が訪れたら迷惑極まりないのだ。

 護衛や付き添いの相手をするだけでも負担がかかる。

 たまにならともかく、普段から来られても困るもの。

 それがわかっているので、アイザックから出向く事はなかった。


(まさか初体験をジェイソンで済ませる事になるなんてな)


 アイザックは冗談混じりに軽く考えていた。

 だが、周囲は違う。


「……本当に今まで経験がないのか?」


 ジェイソンが、アイザックを見下すような視線で見る。


「誰かの屋敷を訪ねる事があっても、応接室で話すだけだったからね。部屋に入るのは初めてだよ」

「ティファニーの部屋は?」


 従姉妹だからだろう。

 ティファニーの名前を出してきた。


「ないない。女の子の部屋がどんな感じかは気になるけど、入った経験なんてないよ。ジェイソンもないだろ?」

「いや、パメラは婚約者だったから入った事がある……」


 ジェイソンがパメラの名前を言葉にした時、彼は嫌そうな顔をした。

 それだけ彼女から心が離れているという事だろう。

 彼女に抱いた思いを振り払うかのように話を続ける。


「男友達も当然あるぞ。フレッドだけじゃなく、他の友達の部屋にも遊びにいった事がある。ウェルロッド侯爵家は随分過保護だったんだな」

「そうなんだ。羨ましいな」


 ――意外と王族のガードが甘いのか、それともアイザックが考えている以上にしっかりガードしているからか。


 ジェイソンはアイザックとは違い、友達の屋敷によく出掛けていたようだ。


(こういう時、同年代との交流が少なかった影響が現れるな)


 アイザックも出掛けてはいたが、同年代の子供達よりも他家の当主と話す機会の方が多かった。

 本人は「目的があったから仕方がない」と思う程度だったが、周囲は違う。

 王宮で働く者はどんな話であろうとも、聞こえてしまった話を聞かなかったものとして聞き流すように教育されている。

 そんな者達でも、感受性の高い者は「なんて可哀想な子供時代を過ごしていたんだ」と、こみ上げてくるものを天井を見上げて我慢していた。


 部屋に入ると、アイザックは周囲を見回す。

 豪華ではあるが、下品な派手さではない。

 上品さと華やかさを兼ね備えた部屋だった。

 ネイサンの部屋を、さらにグレードアップさせたような印象を受けた。

 落ち着いた雰囲気の調度品を中心とした、アイザックの部屋とは大違いである。


「あんまりジロジロ見ないでくれ。恥ずかしいじゃないか」

「いい部屋だなって思ってたんだよ。華美ではあっても、けばけばしいものではない。こういうのって、本当にセンスが大切だよね。僕の部屋は落ち着きがあると言えば聞こえがいいけど、ただの地味な部屋なんじゃないかなって感じるよ。こういうのも、友達の部屋に入ったからこそわかる事だね」


 部屋を見られて恥ずかしがっているジェイソンに、アイザックは本音を話した。

 服は流行りの服を商会が持ってきてくれるのでいいが、自分で選ばなければならないとなると苦しんでいただろう。

 こういうセンスの良さは純粋に羨ましいものだった。


「なら、今度アイザックの部屋を見せてもらいに行こうかな」


 ジェイソンが挑戦的な笑みを見せる。


「恥ずかしいからやめてくれよ」

「他人の部屋をジロジロと見ていた奴が言っていい台詞じゃないぞ」

「それはそれ。ここに遊びに来ているわけじゃないからね。さぁ、話をしようか」


 都合の悪い流れになりそうだったので、アイザックは話を強引に断ち切る。

 ジェイソンも話に付き合っていただけなのだろう。

 しつこく「家に呼べ」と要求したりはしなかった。


 お茶の用意を済ませると、使用人達は部屋を出て行った。

 彼らは部屋の外に出て、声がかかるのを待つ事になっている。

 万が一のため、近衛騎士二名もドアの前で待機する。


 これでジェイソンとサシで話す準備は整った。

 アイザックは、余計な駆け引きなしに突撃する事にする。


「……ジェイソン。パメラさんと別れてまで、ニコルさんに愛を証明したいのか?」

「な、何の事だ!?」


 ジェイソンはとぼける。

 だが、その狼狽する姿が「それが真実だ」という事を雄弁に語っていた。


「チャールズが言ってたんだ。『婚約者と別れて、ニコルさんへの愛が本気だと証明した』という内容の話をね。ジェイソンが今取っている行動は、パメラさんと別れたいという意思が丸見えだ。ニコルさんが好きだから、この機会に別れようとしているようにしか見えないよ」

「何の――」


 ――何の事だかわからない。


 そう言おうとしたが、相手はアイザックである。

 このような口先だけで誤魔化す事ができる相手ではない。

 ジェイソンは観念して正直に告白しようと決意する。


「いや、アイザックには隠し事ができないか……。そうだ、私はニコルさんの事を愛している。パメラよりもだ。それを父上に言うつもりか?」

「そんなつもりは毛頭ないよ。陛下に告げ口をするつもりなら、さっき言う事もできた。でも、僕は言わなかった。味方だとは断言できないけど、少なくとも敵ではないつもりだ。どうだろう? 腹を割って話さないか?」


(言っても俺が損するだけだしな)


「…………」


 ジェイソンは即答しなかった。

 彼はまず、アイザックの本心がどこにあるのか考えていた。

 いくつかのパターンを想定し、最悪のパターンを考える。


「お前もニコルさんの事を愛しているのか?」


 その結果、アイザックにとって・・・・・・・・・最悪の答えを導き出した。

 これには思わず頭を抱えてしまいそうになる。


「なんでそうなるんだ……。前にも似たような事を聞かれたけど、否定したじゃないか」

「お前が正妻候補と婚約しないからだ。今のところ、婚約しているのはバートン男爵家の娘のみ。女男爵のニコルさんを正妻に迎えても文句を言う婚約者がいない。そのために高位貴族から婚約者を選んでいないのだろう? 今までにその気がないと言っていたのも、全部嘘にしか思えない」


 今までにも「その気はない」という事は話していたが、いまだに信じられていないようだ。

 ジェイソンは、アイザックが有力な婚約者を持とうとしなかった事で不審に思ったらしい。

 そのため、敵意のある眼差しをアイザックに向けていた。


「彼女の事を愛してはいないよ。本当だ。ただ、恩師の孫娘だから心配しているだけさ。くだらない男にかどわかされないかとね。けど、それだけだ。正妻候補はロレッタ殿下にするか、アマンダさんにするかで迷っているところだよ」

「なら、なぜ私が彼女の事を愛しているとわかった? パメラと別れたいと思っているという事も。お前がニコルさんに執着しているからだ。近寄る男の事を監視していたのだろう!」

「そんなの見ればわかる事だよ。明らかにニコルさんにだけ態度が違うしね。パメラさんと別れたいと考えていそうだなっていう事も薄々感じていた。はっきりとわかったのは、今回の一件だね」


 アイザックがニヤリと笑う。

 ウィンザー侯爵達には見せなかった、悪巧みをしているかのような笑みだった。


「ニコルさんが階段から落ちた時、誰かが突き落としたか足を踏み外したと最初に考えるのが普通だろう。でも、ジェイソンは違った。被害者であるニコルさんの言葉とはいえ、あまりにもあっさり信じ過ぎている。手で突き飛ばしたならともかく、あのパメラさんが蹴り落とすはずがないじゃないか。だから、君がパメラさんの事を嫌っていて、彼女を犯人にしようとしているんじゃないかと考えたんだ」

「態度に出てしまっていたのか……」


 ジェイソンは苦渋と焦りに満ちた表情を見せる。

 本人なりに、ニコルへの想いを隠していたつもりなのだろう。

 アイザックから見ればバレバレだったというのに。


「安心していい。わかっているのは僕だけだ。いや……。もしかしたら、好意を向けられたニコルさんはわかっているだろうね。でも、そんな事はどうでもいい。今話すべきは、このままだとニコルさんが困る事になるという話だ」

「ニコルさんが! ……まさか、パメラの奴!」


 やはり本人にも恨まれる自覚があるらしい。

 ニコルが困ると聞き、ジェイソンは真っ先にパメラが犯人だと断定した。

 だがアイザックは、あえてパメラを庇わなかった。

 本当に仲直りされては困る。

 パメラを庇うのは、エリアスの前だけで十分だったからだ。


「君がパメラさんではなく、ニコルさんに重きを置いているというのは、ちょっと見ていればわかる事さ。パメラさんの代わりに、ニコルさんが王太子殿下の寵愛を受けているって一目でわかるからね。パメラさんだけじゃない。女子なら誰だってニコルさんに嫉妬するよ。周囲に冷たい態度を取られたり、無視されたりするだろうね」


 庇わない代わりに、ジェイソンに非があると伝える。

 彼はアイザックに言われてようやく気付いたのか、オロオロする。


(以前ならこれくらいわかっていたはずなのにな。可哀想に……)


 アイザックにとっては都合が良いが、少しだけ悲しみを感じる。

 ジェイソンの聡明な若者振りを知っているだけに、ニコルの攻略が進むにつれて彼の知能がどんどん落ちていく姿を見るのは、さすがに哀れだった。


「もちろん、ジェイソンが隣にいたら守れるだろうさ。だけど、学院の中ではそばにずっといるわけにはいかない。だから卒業するまでの間は、パメラさんと和解したフリをしたらいいんじゃないかな? そうすれば、学生の間はニコルさんに向けられる嫉妬も、いくらかは薄まるだろう。卒業してからなら、ニコルさんのそばにずっといてやれるじゃないか。そばにいれば、彼女を守ってやれる。今だけの我慢だよ」


 アイザックは本題を切り出した。

 現段階でパメラとの別れ話を持ち出されては困る。

 それに「一度和解したのに、また別れようとしている」という姿は、周囲に悪印象を与える。

 約束を破る男という印象は、人の上に立つ者として最悪の部類に入るだろう。

 褒美の約束すら破りかねないからだ。

 ジェイソンの求心力を落とすためにも、形だけの和解をさせておいた方がよかった。


 アイザックの狙いを知らないジェイソンは「その意見にも一理ある」と思い始める。

 自分のせいでニコルに寂しい学生生活を過ごさせたくはない。

 そのためには、パメラと和解しておくのも良い手だった。

「ニコルばかり寵愛しているわけではない」というアピールには好都合だからだ。


「ウィンザー侯には『人が階段から落ちてくるなど初めての経験だったので、動転してしまっていた』とでも言えばいいよ。その上でパメラさんに謝罪すれば済むはずだ。ジェイソンだって、あんな怪我をしたのは初めてだったんだろう? 冷静でいられなかったのは仕方ないと、僕が証言してあげるよ」

「……なぜそこまでしてくれるんだ?」


 アイザックが味方をしてくれる事が、ジェイソンには不思議だった。

 仲裁役を任されているのだから、中立の立場を取っていてもおかしくない。

 むしろ、同じ貴族派のウィンザー侯爵家の味方をしていてもいいはずだ。

 なのに、アイザックは自分の味方をするような事を言っている。

 そこに隠された意図があるのではないかと考えてしまう。


「ニコルさんを安心して託せる男だから……かな」

「ほう」


 ジェイソンが喜びを隠そうとしなかった。

 古今無双と称されるアイザックに認められたという事は、他の者も文句は言えないという事だ。

 ニコルとの結婚に大きく近づいたのを実感させられる。


「フレッドは良い奴なのかもしれないけど、甘いところがある。マークを助けようとするなどもってのほかだ。あの甘さがニコルさんを危険に晒すだろう。そんな男の家に、ニコルさんを嫁入りさせるわけにはいかない」

「そうか、だから卒業式では私の味方をしてくれたのか」

「そうさ。君はフレッドと違い、ニコルさんの敵を殺そうとした。そこを高く評価していたんだよ。でも、あの時は止めざるを得なかったけどね」

「確かに、あの時は止めてくれて助かった。その事には感謝している」


 アイザックがマークの死刑を止めなければ、今頃ニコルは「犯人が死罪になるような酷い事をされたんだ」と、嫉妬する女子に悪い噂を広められていただろう。

 学生生活も、想像できないほど辛いものになっていたはずだ。

 自分の軽率な行動が、ニコルを追い詰めてしまうところだったと知ったあと、ジェイソンは激しく後悔していた。


 それだけに――


 アイザックがニコルのために行動している。


 ――という点に関しては全幅の信頼を寄せる事ができた。


「マイケルは、ニコルさんの相手として問題外だ。ジュディスさんに罪を着せて殺そうとしてでも、ニコルさんへの愛を証明しようとする、その意気込みだけはよかった。けど、自分の手を汚すのを嫌って人任せにしていた。そんな中途半端な奴にニコルさんを任せるわけにはいかない。彼女が助けを求めている時にも、誰かに任せるのかと心配してしまうからね」


 続けて、アイザックはマイケルを非難した。


「チャールズもダメだね。ティファニーに不満を持った理由がどんなものか知ってるかい? 自分よりも成績が良かったからだってさ。ティファニーよりも成績の良いニコルさんの事を、あいつはいつか嫌いになるかもしれない。当然、そんな奴には任せられない」


 ジェイソンは、うなずいてアイザックの言葉を肯定する。

 これは彼にとっても都合のいい話だった。

 耳心地の良い言葉を跳ね除ける理由などない。

 アイザックの話に耳を傾ける。


「ダミアンは……、言うまでもない。子爵家では他家からの圧力を跳ね返す事などできない。ニコルさんを守り通す事なんてできないだろう。きっと彼女を悲しませるはずだ。そうなると、ニコルさんを託せる相手は誰かという事になる」


 アイザックは、ジェイソンの目をジッと見る。

 まるで「託せる相手はお前しかいない」と言っているかのように。


「……アイザックはどうなんだ? ニコルさんを守り通す力を持っているだろう」


 答えを聞くのが怖いと思いながらも、ジェイソンは聞かざるを得なかった。

 ニコル争奪戦で、最も手強い相手なのがアイザックだからだ。

 本人が「その気はない」と言っていても、油断させるための嘘かもしれないからだ。

 それだけの価値がニコルにはあると思っているからこその警戒だった。


「貴族相手ならね。公爵とはいえ、その権限は王族には及ばない。ニコルさんが幸せに暮らすには、誰に彼女を任せるべきか? そう考えた時、僕は一人しか思い浮かばなかったよ」

「本当に……、いいのか?」

「いいって。それほど好きじゃないからさ」


 誰もが恋焦がれるニコルの事を託してくれた。

 しかも「好きじゃない」などという見え透いた嘘を吐いてまでである。

 自分以外の誰かに託そうという答えを出すまでの葛藤は、とても苦しいものだっただろう。

 それだけ辛い思いをしてまで、アイザックはニコルの幸せを願っている。

 アイザックは、滅私奉公・・・・という言葉を体現した男だった。

 ジェイソンは感動で身を震わせる。


「アイザック……。すまない、君もニコルさんの事を好きなはずなのに……」

「じゃあ、ニコルさんを諦める代わりに、パメラさんと仲直りしてよ。そうすれば仲裁役を頼まれた僕の面目が立つ。これから先、ずっとというわけじゃない。今、起きている問題が解決すればいい。そうだな……、学生の間だけ仲が良さそうなフリをしてくれればいい。卒業式のあとは君の好きにすればいいさ」

「卒業式までか」


 アイザックの言葉に、ジェイソンは色々と考えさせられる。


(学院内で起きた問題だから、卒業するまでの間、問題を収めておければいいと考えているのか。いや、当然それだけじゃない。卒業後は婚約者と結婚式を挙げる事になる。それまでの間に、ニコルさんと結婚するための計画を実行しろという事か)


 王族の結婚となれば、当然ながら国中の貴族が祝いに集まる。

 王族側も彼らに配慮して、王都に集まっている季節に開催する事になる。

 という事は、卒業式から間もなく結婚式が行われるという事である。

 エリアスを始め、歴代国王も似たような季節に結婚式を挙げていた。


(そうなると、卒業式のあとに行動するのが最適か)


 結婚式の準備自体は、卒業式の前から始められている。

 しかも、他国から祝いの使者が訪れるので、延期させたり、中止させたりするのは難しいだろう。

 だが、相手を誰にするか・・・・・・・・は変更可能だ。

 周囲は突然の変更に驚くだろうが、式自体は問題なく挙げるだろう。

 ニコルが驚きながらも、自分の手を取ってくれるところをジェイソンは想像する。


「僕は君を応援するよ。でも、これから先どうするかは君次第だ」


 妄想の世界に浸るジェイソンを、アイザックの言葉が現実に引き戻す。


「……それがどういう行動でもか?」

「基本的には上手く話が進むようにサポートをさせてもらうよ。だけど、どうすればいいのかまでは教えない。自分で考えて行動してくれ」

「ニコルさんにふさわしい男だという事を証明しろ、という事だな」


 ジェイソンは自信ありげな笑みを見せる。

 アイザックもニヤリと笑って見せた。

 これでジェイソンは、アイザックが味方だと思ったはずだ。


「まずはパメラさんとウィンザー侯に謝罪する。そして、ニコルさんだけに寵愛を注いでいないと証明して、彼女が学内で肩身の狭い思いをしなくていいようにする。この二点に関して異論はないね?」

「あぁ、ニコルさんのためなら仕方ない。我慢しよう」


 ジェイソンの返事を聞き、アイザックは満足そうにうなずいた。

 これで暴走しない限り、卒業式までは大人しくしてくれるだろう。


(やっぱり、ニコル争奪戦から脱落したフリをするのは有効だったな。これでジェイソンは他のライバルよりも圧倒的に有利な立場になったと思い、パメラに対しての当たりも和らぐだろう。それに毒も仕込んだ。あとはジェイソンが一つ一つを繋ぎ合わせて、暴走してくれるのを待つだけだ)


 アイザックは「パメラと別れろ」とも「殺せ」とも言っていない。

 会話の端々から、ジェイソンが勝手に意図を読み取って行動したとしても知った事ではない。


「じゃあ、謝罪をどうするかを詰めていこうか。すべてニコルさんの幸せのためだ。我慢はしてもらうよ」

「わかっている」


 アイザックが何も言わなければ、ニコルに辛い思いをさせていただろう。

 仕事を達成するだけではなく、周囲への配慮も忘れない。

 ジェイソンは、父がアイザックを重用する気持ちもわかったような気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る