第278話 エルフと教会の融和策

 ジークハルトへのお土産は紙飛行機で誤魔化せた。

 というよりも、かなり気にいってくれた。

 おかげで、大使館ではドワーフ達の手によって紙飛行機が乱舞しているらしい。

 工房など大掛かりな設備を必要としない、紙を折るだけで作れるというのがよかったようだ。

 ちょっとした暇潰しに、どうやったら遠くまで飛ばせる紙飛行機を作れるかを試しているとの事。


 この話を聞いて「大使達のために工作室でも作っておいた方がいいのではないか?」と、アイザックは考えていた。

 誰だって息抜きは必要だ。

 慣れない人間社会での生活のため、物作りという息抜きの場を用意させた方がいい。

 その方が、余裕を持って話し合いもできるだろう。


(というよりも、ストレスが溜まって暴走される方が怖い……)


 アイザックが心配しているのは、ジークハルトの「ニコルを剥製にして持って帰りたい」という発言のせいだ。

 人間と仲良くなる前に、ドン引きさせるような発言をしてほしくない。

 物作りをする事でストレスを解消し、大使らしい演技を最後までやり通してほしかった。


 ――とりあえず、三年間は。


(この事も上奏しておこう。もしかすると、資材だけ用意しておけば、ドワーフ達が自分の作りやすい建物を作ったりするかもしれないな)


 建物の資材など、国家予算に比べれば微々たるもの。

 だが、アイザックはエリアスに金を出させる事で、少しでも力を削いでおこうと考えていた。

「塵も積もれば山となる」というやつだ。

 王家に対する嫌がらせは、最後までやり遂げるつもりだった。


(さて、何事も根回し根回しっと)


 未来のためにやらなくてはならない事は山積みだ。

 目の前にあるもう一つの問題。

 エルフに関して、アイザックは行動をする事にした。



 ----------



 アイザックの目的地は、王都にある大聖堂だ。

 教会関係者にエルフの治療に関して話をしなくてはならない。

 戦場での治療はともかく、ファーティル王国のロレッタ王女に治療をしてしまった事に関しては、ちゃんと話をしておく必要がある。

 今まで何も言ってこなかったので放置していたが、エルフの大使が来て思い出される前に解決しておきたいと、アイザックは考えていた。


 まずは大叔父のハンスに連絡を取り、アポイントを取った。

 今は事務局長という要職にあるので、彼を通せば話が早い。

 話を通すのはハンスだけではない。


 ――リード王国内の教会を束ねる大司教セス。


 この世界には、大陸中の教会をまとめるバチカン市国のようなものがあった。

 しかし、二百年前の戦争で崩壊。

 以来、各教区をまとめていた大司教が各自に行動するようになったそうだ。

 元々、リード王国内でも情報の伝達速度に限度があった。

 大陸全土の教会に一か所から方針を伝える事など無理だったのだろう。

 再び統一する事は不可能だった。

 中には教皇を僭称する者もいたが、そういった者は自然に淘汰されていった。


 これは宗教だけではなく、二百年前の戦争後に教会が病院としての役割を果たしている事も影響していた。

 薬学などの医療技術を教え合うのではなく、少しでも優位に立つために各教区で医療技術を囲い込んだ。

 そのため、横の繋がりはあるものの薄く、教会は教区毎に独立した組織のようになっていた。


 だが、それはそれで助かる面もある。

 セスを含めた教会関係者を説得すれば、リード王国内でエルフが活動するのに必要な許可を得られる可能性が高い。

 世界中に根回しをしないで済む分、かなり楽になった。

 原作のシナリオライターに感謝である。


 教会に着くと、ハンスが出迎えてくれた。

 隣には初めて見る男がいる。

 立派な司祭服を着ているので、おそらく彼がセスなのだろう。

 鼻の下の髭やアゴの髭がもっさりなのではっきりとはわからないが、おそらく五十過ぎくらい。

 モーガンのような堂々とした威厳ではなく、おごそかな雰囲気の威厳を身にまとっている。

 アイザックが馬車から降りると、彼が声をかけてくる。


「エンフィールド公、ようこそおいでくださいました。お初にお目にかかります。リード王国の教会を取り纏めているセスと申します」

「大司教猊下、自ら出迎えていただけるとは。感謝致します。エンフィールド公爵のアイザック・ウェルロッドです」


 アイザックから彼の手を求めて、両手でしっかりと握手をした。

 法律上の立場はアイザックが上。

 だが、宗教関係者に関しては、社会の身分だけで「自分が上位者だ」とは言い切れない。


 ――アイザックの方が身分は上なので、セスが出迎えるのは当然の事。


 だからといって、アイザックはふんぞり返る事はしなかった。


 ――へりくだったりはしないが、軽んじるつもりもない。


 周囲の目があるので、アイザックから握手を求めて、彼の面子を保つ事にした。

 意思表示をしておく事で、教会関係者に好印象を与えるためだ。

 喧嘩をしにきたわけでも、脅迫をしにきたわけでもない。

 ならば、相手に敬意を表しておいて損ではない。


 本来なら公爵としての態度を求められる場面でもあるのだが、アイザックはまだ成人していない。

 しかも、エリアス直々に貴族としての義務を免除されている。

 こうして「大司教猊下に会えて感激している一人の少年」という姿を見せておいても問題はなかった。


「立ち話もなんですので、中で話しましょう」

「猊下にゆっくりお話できる機会を作っていただけて嬉しい限りです」

「私こそ、今をときめくエンフィールド公とお話できて光栄と思っておりますよ」


 お互いに美辞麗句を連ねながら、教会の中へと入っていった。



 ----------



 アイザックの同行者はノーマンとトミー。

 問題が解決したとはいえ、孤児院の件で因縁のあるマットは護衛から外しておいた。

 彼を同行させる事で「暗に脅しているのだ」と思われないためだ。

 久々にノーマンを連れてきたのは、ファーガスはまだ信頼しきれていないからだった。

 この二人はアイザックに忠誠を誓っているので、ここでの会話を他言しない。

 こういう時、信頼できる部下の少なさを実感させられる。

 カイやポールといった者達の成長を祈るばかりだ。


(ちょうど教会だしな)


 教会側の出席者は、セスとハンスの二名。

 これはトミーが武装解除しているので、大勢出席させて、アイザックの身の安全に危険を感じさせないためだった。

 教会内では武装は禁じられている。

 中に入る時にトミーは武器を他の騎士に預けておいたので、今は丸腰だ。

 だが、それでも素手の教会関係者二人くらいはいなす事ができる。

 お互いに「危害を加える気はありませんよ」というパフォーマンスをしているだけだった。


 まずは「お会いできて嬉しいです」と、軽い雑談から入った。

 しばらく雑談を交わしたあとで本題に入る。


「実はエルフの事でお話があって、本日は伺いました」


 アイザックの言葉で、セスとハンスが興味と警戒が混ざった複雑な表情を浮かべる。

 エルフに関してはデリケートな問題だ。

 セス自身、他の者よりも魔力量が多かったので「エルフに匹敵する魔力の持ち主だ」という評判で大司教にまで上り詰めた。

 しかし、本物と比べた事などない。

 今まで交流を持っていなかったので当然だ。

 なので、エルフと接触する事で化けの皮が剥がれてしまうのを恐れている。


 これは教会の出世基準が魔力量に関係するせいだ。

 ハンスのように魔法を使えない者は裏方だけで、表舞台に出る事はない。

 教会の表舞台に立つのは、治療魔法が使える者だけ。

 そのため、エルフが入信して教会を乗っ取られないのかという心配をしていた。

 アイザックの持ち出す内容次第では、即時話を打ち切る事も考えている。


「どのような用件でしょうか?」

「エルフを治療に関わらせていただけないでしょうか?」


 ――やっぱり。


 セスとハンスは、そう思った。

 ハンスはセスにアイザックとの間にあった事を話している。

 最近は落ち着いているとはいえ、その内面はジュードと同じ。

 いや、表面を取り繕う事ができる分だけ、ジュードより厄介な相手だ。

 彼らは「エルフを使って、教会を乗っ取りにきた」と思い、警戒レベルを高める。


「それはできません。そもそも、エルフが教会に入る事を望んでいるのですか?」

「いやぁ、実はエルフにはまだ話を通していないんですよ」


 アイザックがとんでもない事を白状すると、セスとハンスは目を大きくして驚く。


「当人達の意思を確認せず、勝手に話を進めておられると?」


 そして、今度は険しい視線をアイザックに向ける。

 いくら公爵という立場にあるとはいえ、それは人間社会内部での立場。

 エルフの意思を無視して話を進めるのは論外だ。

 ノーマンとトミーが動揺しているので、本当にアイザックの独断なのだろう。

 あまりにも馬鹿げた話に踊らされたとあって、セスは不快感を覚え始めていた。


「そう言われれば、そうなりますね。ですが、この提案は双方にとって悪くない話なので、教会側の許可を得る事ができれば受け入れてくれると思っています」


 だが、アイザックに悪びれる様子はない。

 平然として、微かに笑みすら浮かべていた。


「今、エルフが出稼ぎで街道整備をしたり、ウェルロッド侯爵領で店を開いているというのはご存知だと思います」

「うむ」


 これは有名な話だ。

 国内の主要街道は、エルフの魔法によって整備された。

 護岸工事なども行っているため、リード王国内で知らぬ者はいない。


 エルフの店もそうだ。

「ウェルロッド侯爵領に行けば、エルフの作った氷菓子が食べられる」という噂は、セスの耳にも入っていた。


 ――主にハンスの口から。


 最近は夏場に氷菓子を売るだけではなくなっているそうだ。

 冬場には、魔法によって寒さを感じない部屋で食事ができる食堂も始めているそうだ。

 徐々に人間社会に溶け込み始めている。

 それも噂で聞いていたので知っていた。


「基本的に治療魔法を使う事を禁じられているとはいえ、エルフにも心があります。例えば、転んで膝を擦りむいた子供を見つけた時。そんな時、彼らはつい魔法を使って治療してしまう事もございます」


 これはモーガンのもとに届けられた報告書にあった内容だった。

 以前からエルフは、気付ける範囲内で起きた怪我や病気などをこっそり治療していた。

 助ける手段を持っており、魔法を使えばその難易度も低い。

 だから、転んだ者に手を差し伸べるくらいの感覚で治療行為を行っていた。


「その事は我々も認識しております」


 ハンスが答える。

「エルフが治療行為を行っている」というのは、市町村に駐在する司祭から報告を受けていた。

 だが、王家に抗議しても、エリアスがエルフとの国交樹立に乗り気なので、なぁなぁで済ませられている問題だった。

 教会側としては、面白くない事実である。

 その事を、アイザックは逆手に取ろうとしていた。


「ですので、いっその事エルフの治療を認めてしまってはどうでしょうか? もちろん対価を取って、その一部を教会に納める事を条件にしてです。教会に直接所属するのではなく、外部委託という形にすれば、教会内部の序列を乱す存在にはなりません。その上、教会が認めた治療行為という事で、傷病者はエルフだけではなく教会にも感謝するようになるでしょう」

「黙認状態のままを続けるよりは、組織に取り込め。そう言いたいのですか?」

「その通りです」


 セスもリード王国の教会を統べる大司教という立場。

 それなりの知性と教養を持っている。

 アイザックが何を言わんとしているのかを感じ取った。


「ですから、まずは教会内部で意見の統一をしていただきたいのです。エルフを受け入れる方向に決まれば、エルフの大使が着任した時に話を持っていってください。正式な国交を持つようになったエルフに初めて案件を持ち込み、初めて成立した。そのインパクトは非常に大きなものになるでしょう」


 アイザックは、初めて・・・というところを強調した。

 二百年ぶりに正式な国交を持つようになったエルフ。

 彼らに、初めて正式な申し出をするというのは、歴史にも残る出来事だ。

 その手柄をアイザックが譲るという。

 そこにセスは疑問を感じた。


「エンフィールド公は、エルフ相手に何も要望をしなくてもよろしいのですか?」

「必要な事はすでに済ませています。それに、エルフが人間社会でも広く受け入れられるようになる。それだけで、エルフと交流するきっかけを作った私には十分なのですよ」


 アイザックは「エルフと交流を再開する事になったきっかけを作った」という名声だけで十分だという。

 しかし、ハンスがアイザックが裏で他にも考えがあるのだと気付いた。


「それだけではありませんね?」

「……曽お爺様に鍛えられただけあって、ハンスさんは一筋縄ではいきませんね」


 アイザックは頭を掻いて照れ笑いを浮かべる。

「参ったなぁ、もう」と、隠していた考えを見抜かれてしまった事を恥ずかしがっているように見せる。


「ロックウェル王国との戦争に、私はエルフを治療部隊として連れていきました。おかげで敵味方問わず、多くの命が助かりました。ですが、一部では『戦場は教会の領域ではないとはいえ、教会の面子を踏みにじる行為ではないか?』という批判の声があるのも事実。大司教猊下にエルフの治療活動を認めていただければ、追認という形にはなりますが、批判の声を抑えられるのではないかと考えておりました」

「なるほど」


 理由を聞けば、アイザックの話は納得できるものだった。


 エルフの治療活動を認めれば――


・エルフは、堂々と傷病者を助ける事ができるし、仕事も増えて金を稼げる。

・教会側は、エルフの治療活動を教会の権威強化に使う事ができるし、寄付金なども入ってくる。

・アイザックは、自分を批判する声を抑える事ができるし、双方に恩を売る事ができる。


 ――皆が得する流れとなる。


 懸念すべきは、今まで治療にあたっていた司祭達の権威が落ちないかという事だ。

 しかし、その辺りは上手く立ち回れば、何とかできる範囲である。

 特に、ここでアイザックが「エルフが治療で稼いだ金の一部を回せ」と言わなかった事が大きい。

「仲介手数料という名目で利益に一枚噛ませろ」と言ってきてもおかしくなかった。

 そんな事を言われていたら、この件を考える事すら躊躇していただろう。

 アイザックが一歩引いたところで満足しているので、セスは教会の利益を考えて、話を前向きに考えようという気になれていた。


(それほどまでに批判の声は大きいのか?)


 セスはそう考えたが、イマイチ判断が付かなかった。

 自分の周囲にも「法の抜け穴を悪用する行為だ」と不満を漏らす者はいたが、さすがに国家の英雄相手に公然と批判する者はいなかったはずだ。

 もしかすると、ファーティル王国の教会関係者から厳しい批判を受けたのかもしれない。

 それならば、横の繋がりが希薄である以上、自分の耳に届かなくてもおかしくはなかった。


 しかし、事実は違う。

 エルフを戦場に連れていった事に対する教会関係者の批判の声・・・・・・・・・・などというものは、アイザックの耳に入ってこなかった。

 これは、彼らを納得させるための嘘だった。

 だが、裏の考えがあるというのは事実でもあった。


 ――名声を得るために、エルフと教会の融和策を提示する。


 それだけでは、セスやハンスを納得させるのは難しいだろうと思われた。

 それに、ハンスはジュードから英才教育を受けていたので、理由がそれだけでは簡単に見抜かれるともアイザックは思っていた。

 だからこそ、もう一つ理由を用意していたのだ。


 ――エルフを戦場に連れていった事による教会関係者の批判。


 戦場は教会が主張する領域外とはいえ、それは建前上の事。

 本音を言うならば「治療行為自体を、場所に関係なく教会関係者以外の者にやらせるな」というところだ。

 教会側の本音をアイザックは理解していたため、それを裏の理由として採用する事にした。

 教会関係者に、もっともらしいと思わせるのに十分な理由だった。

 今回、エルフの話をするのに、クロードやブリジットを連れてこなかったのは「エルフを利用している」と思われて、嫌われないか心配だったからだった。


 ――そして、隠されていた理由を暴けば、そこで満足してそれ以上の厳しい追及はしてこない。


 そう思ってもいたからだ。

 アイザックの本音は、至ってシンプルかつ人に知られたくないものだった。


 ――エルフを、より一層人間社会から抜け出せないようにする。


 この一点である。

 今のインフラ整備や街でお菓子屋や食堂では、エルフを永住させる理由としては弱い。

 利益を失うのはもったいないだろうが、人間との間に亀裂が入れば「森に帰る」と決断できる範囲内である。


 だが、治療関係は違う。

 怪我を治してもらえば、当然人間はエルフに感謝する。

 その感謝の気持ちが情を生み、エルフがあっさり人間と縁を切るような事ができなくなる。


 ――物をやり取りするだけではなく、情を深める間柄にする。


 そうする事で、より深みに沈め込む。

 これはエルフに絶縁させないようにするため、アイザックが考えた方法だった。

 彼らの存在は、アイザックの立場を強化するのに、まだ必要としている。

 正式な大使が着任するので、これから人間に失望してしまう事が起きるかもしれない。

 そんな事態になっても、簡単に縁を切れない状況にしておけば安心だ。

 事態を鎮静化するのに必要な時間的余裕が生まれる。

 その時のために、アイザックはセスとハンスを理と利によって説得しようとしていた。


「いかがでしょうか? 今の黙認している状況よりかは、いくらか改善されるかと思います。もちろん、実際にどうなるかはエルフの大使として着任された方と話し合っていただく必要はありますが……」


 アイザックがセスの表情を窺う。

 感触は悪くないと感じていた。


「確かに悪くはない話だと思います。ですが、今は何も言えません。受け入れた時に影響が大きすぎるので、まずは教会内部でよく話し合いたいと思います」


 セスは慎重な態度を見せた。

 しかし、今のアイザックにはそれで十分だった。


「最初の一歩を進んでいただける事が、人間とエルフの友好を確固たるものにする一歩でもあります。議題に上げていただけるだけでもありがたい事です」


 アイザックは、感謝の気持ちを伝えた。

 だが、セスも両種族の友好のために受け入れたわけではない。

 彼にも「外部委託という形であれ、エルフを教会勢力に組み込めば、一気に名を上げる事ができる」という打算があったからだ。

 エルフを教会勢力に組み込められれば、他の教区にも大きな顔ができる。

 周辺の大司教をまとめあげるいい機会だ。

 ひょっとすると、二百年振りの正当な教皇すら目指せるかもしれない。

 司祭達から多少の反発があろうが、前向きに考える価値のある申し出だった。


「エルフとの条件などには口出ししません。話がこじれたら相談には乗りますが、基本的には教会と大使との間で話し合っていただく事になりますが、本当にそれでよろしいでしょうか?」

「この話を持ってきていただいただけで十分です。あとはこちらでやらせていただきましょう。もちろん、友好関係を崩さぬように気を付けます」


 セスがニヤリと笑う。

 逆に言えば、友好を壊さないギリギリのところまでは攻めるつもりという事だ。

 アイザックも笑って返した。


 正式な駐在大使を置くのだ。

 ならば、契約の条件を受けるかどうかはエルフが決める事。

 どんな契約をするのかは、もうアイザックの与り知らぬところとなった。

 ここから先は自分達の判断で行動するべきである。

 関係を壊すような条件でさえなければ、多少痛い目にあったとしても、それはそれで勉強になると思っていた。


 ――両者の打算。


 もう一方の当事者であるエルフのいないところで、話は大きく進み出し始めていた。

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