第209話 世の中、知らぬ事ばかり

 周囲で何かが動いているようだが、視界がかすんで何も見えず、痛みすら感じなくなっていった。

 ここまで来ると、さすがにアイザックも死を覚悟し始める。


 しかし――


「ぐあああぁぁぁ」


 ――突然腹が激しく痛み出し、アイザックは叫び声を上げる。


 まるで体が負傷前に戻ったようだ。


「鎧だ! 鎧が曲がって治した体に食い込んでいる! 早く脱がすんだ!」


 クロードが周囲に指示を出している声が聞こえた。


 ――腹部の激しい痛み。


 痛みで思わず手を腹に動かすと、腹から下の部分にも手ごたえがあった。

 どうやら、死に掛けたところをクロードの魔法で助けられたらしい。

 そう思うと、この激しい痛みも愛おしく思える。


「アイザック、よかった!」


 ずっと顔を覗き込んでいたランドルフがアイザックを強く抱き締める。

 ランドルフが着ている鎧の無機質な感触。

 しかし、鉄の感触が今は心地良いものに思えた。


「父上、やっぱり曽お爺様の鎧は縁起が悪かったですね」

「死に掛けていたっていうのに、怪我が治って最初に口にするのがその事か? この馬鹿」


 ランドルフは、涙を流しながら苦笑する。

 怪我が治って最初の言葉とは思えない内容だった。

 それはアイザックも同じ事を思った。

「もうダメだ。死ぬんだ」と思っていたのに「もう怪我が治った」と言われても実感がない。

 ふと思い出した内容を口にしてしまっただけだ。

 この場にふさわしい最初の言葉は他にある事に気付く。


「クロードさん、ありがとうございます」

「気にするな。お前に死なれると人間との友好がこれからどうなるか不安だからな。お前を助けたのはエルフのためでもある」


 クロードが照れ隠しをするように笑った。

 アイザックも合わせて笑いたかったが、腹の痛みのせいで笑えなかった。

 治療された腹に、切られた鎧の断面が食い込んで傷つけていたせいだ。

 それに気付いたクロードが、また魔法で治療してくれる。


「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」


 彼がお経のような呪文を唱えると、高速再生中の映像のように傷口が塞がり始める。


(気持ち悪っ!?)


 自分の意思に反して体の一部分が動くのも気持ち悪いが、治っていく見た目も気持ち悪い。

 魔法による治療は、好んで受けたいと思うものではなかった。


(でも、生きている。まだ生きられるんだ)


 繋がった右手や腹を触りながら、アイザックは「自分が助かった」という事実を噛み締めていた。

 悲しみの涙ではなく、今度は嬉しくて涙を流す。


「父上も助けてくださってありがとうございました」

「あれを助けたって言えるのかどうか……」


 槍で刺したはいいが、危うくアイザックが死ぬところだった。

 ランドルフにしてみれば、間に合っていなかったので、とても助けたという気分にはなれなかった。

 結果的にアイザックが助かったというだけだ。

 だが、アイザックは首を横に振る。


「あのまま何もしていなければ、心臓や首を切られて即死だったかもしれません。今、僕が生きているのは父上に庇っていただき、クロードさんに治療してもらったからです。ありがとうございました」

「アイザック……」


 二人は抱き締め合う。

 今回は生死が係っていただけに、アイザックも深く感謝している。

「これからは、親父をケンドラの次に大切にしよう」と思っていたくらいだ。


「アイザック様、大丈夫ですか!」


 騒ぎを聞いたマット達が駆け寄ってくる。

 彼らはアイザックの体が血に塗れているのを見て、顔を青褪めさせた。


「大丈夫じゃないよ。死ぬかと思った」

「申し訳ございません!」

「これからは二度と離れません! どこにでも付いていきます」


 二人が頭を深く下げて謝るのを見て「こいつら、風呂とかトイレにまで付いてきそうだな」と、アイザックは感じていた。

 だが、悪い気はしない。

 それだけ強い忠誠心を持ってくれているという事だ。

「部下の体調を気遣ういい上司」を演じようとして、自分の命を失っては意味がない。

 彼らの精神衛生上のためにも、これからはしっかり守ってもらうつもりだった。


「ありがとう、頼りにしてるよ。僕も守られる側という認識を持たないといけなかった。ごめんね」


 ――守られる側という意識。


 これが一番の問題だった。

 アイザックには、自分が有力者だという認識がなかった。

 せいぜい「俺は有力者だ……、という気分を味わおう」という程度の認識でしかなかった。

 だから、ターゲットとして「もっと名のある者を狙うだろう」と思っていた。

 この戦場には元外務大臣のランカスター伯爵や、ウェルロッド侯爵家の跡取り息子のランドルフなどといった名のある有力者がいる。

 今のところ外交や内政で名を上げているが、軍事では実力がわからない自分を真っ先には狙わないだろうと思って油断してしまっていた。


 その考えは、今回の一件で間違いだったと気付かされた。

 何かを行えば、十分に敵のターゲットになり得るのだ。

 これ見よがしにフォード元帥の元帥杖を腰に下げたりしていたのも悪かった。

 目立つから真っ先に狙われてしまった。


 それと「暗殺は夜に行うもの」という先入観もよろしくなかった。

 まさか、真っ昼間から命を狙ってくるなど考えもしなかった。

 自分が狙われる立場だという意識が甘かったせいで、危うく命を失うところだった。

 この事に関しては、悔やんでも悔やみきれない。


(そういえば、俺を切った奴はどうなってるんだ?)


 アイザックは襲い掛かってきた者を探し、周囲をキョロキョロと見回す。

 襲撃者の死体はすぐに見つかった。

 騎士達が群がり、死亡を確認している。


「肩を貸してくれ」

「はい」


 マットとトミーがすぐにアイザックの両側に付き、立ち上がるのを手伝う。

 アイザックはゆっくり、非常にゆっくりと立ち上がった。


「おい、アイザック。大丈夫なのか?」


 ランドルフが心配そうに声を掛ける。

 これにはアイザックも自信がなかった。


「大丈夫そうですけど……。本当に大丈夫なのかな」


 立ち上がってから、自分の腹を優しく撫でる。

 治療に糸などを使っていないので、突然千切れてしまいそうな恐怖があった。

 今の気分は「木工用ボンドを塗ったばかりの二枚の板」だ。

 ボンドが乾燥する前に持ち上げてしまい、粘着力が重力に負けてペリペリと剥がれ落ちるのと同じような事が起きるのではないかと心配してしまう。

 そんなアイザックの様子を見て、クロードが声を掛ける。


「もう魔法でくっついたから大丈夫だぞ」

「そうなのかもしれませんけど……。突然、効果がなくなって取れたりしませんよね? 例えば、魔法の効果が切れたりして傷口が開くとか。クロードさんが死んだら、一緒に死ぬ事になったりしませんか?」


 アイザックの心配を聞いて、クロードが笑う。


「想像力豊かな奴だな。自分が死んだら相手も一緒に死ぬなんて、治療魔法ではなく呪術の領域だぞ。そんなものは使ってないから安心しろ」

「そうですよね。疑ってすみませんでした。でも、怖いですね……」


 アイザックは、マット達の肩を借りてゆっくりと歩く。

 あれだけの大怪我をしたのに、痛みも何も残っていないのが不気味だ。

 入院しなくてもいいのは助かるが、これはこれで奇妙な感じがする。

 あっさり治り過ぎて、逆に怖い。

 本当についさっきまで死に掛けていたのかどうか、わからなくなるくらいだ。


(教会がエルフの医療活動を警戒するわけだな)


 これほどまでに強力な魔法を使った医療活動が広まれば、誰も教会なんかに頼らなくなってしまう。

 医療活動をしている教会からすれば、エルフは最も警戒すべき競合相手というわけだ。

 治療魔法を体験してみると、外傷を糸で縫ったりする事が無駄な行為に感じてしまう。

「この世界における未来の医療技術はどうなっているんだろうか?」という事を、こんな時にふと考えてしまった。


 アイザックは腹の傷が開いたりしないか心配しながら、ゆっくりと襲撃者の死体に近付く。

 それと共に、沸々と怒りがこみ上げてくる。

 何と言っても自分を殺そうとした相手だ。

 クロードがいなければ、そのまま死んでいた。

 死体を蹴飛ばしたりするなど憂さ晴らしをしてから、死体をロックウェル王国軍への見せしめにしてやりたいところだった。


(……いや、ダメだ。それはできない)


 ――死の淵からの生還。


 その現実味のない不思議な体験のおかげか、怒りで我を忘れる直前で理性を取り戻させた。


(『暗殺なんてするクズ』と言って死体を辱めたら、それはマット達にやらせた事を間接的に否定してしまう。戦場で勇気ある行動を取ったと、器の大きなところを見せた方がいいかもしれない)


 感情の赴くままに行動するのは簡単だ。

 しかし、それは自分に求められた行動でない事は理解している。

 こういう時こそ自分の感情を殺す事が評価される。

 それに、前世の漫画か小説で見たような場面でもあった。

 今後の事を考えれば大物ぶる事も重要だろう。

 アイザックは怒りをグッと堪えて、襲撃者を評価する事にした。


「この勇壮の士は、きっと名のある武将でしょう。死体を綺麗にしてあげてください」


 その言葉は嘘だった。

 本当は首を切り落とし、槍の穂先にぶっ刺して晒し首にしたかった。

 だが、そんな事をしてしまったら求心力を失うという事はわかっている。

 時に残酷さは必要となるが、残酷過ぎる者には誰も付いてこない。

 人間の本性が出るこういう時こそ、器の大きさを証明しなければならない。

 人の上に立つというのも面倒なものだ。


「あっ、もしや……。失礼します」


 マットが襲撃者の顔を見て驚いた。

 アイザックから離れ、布で襲撃者の顔を拭く。


「この者はフォード四天王のトムです。申し訳ございません。あの時、私が討ち取っていれば……」

「トムだって!」


 ランドルフが驚きの声を上げる。

 いや、彼だけではない。

 周囲の騎士達もざわつき始めた。


「そんな大物が単身乗り込んできていたのか……。彼が持ってきていた首が誰のものかわかるか?」

「……こちらはテスラ将軍のように見えます。以前、遠目で見ただけなので絶対とは言えませんが」

「おぉっ!」


 ――テスラ将軍の首を持って乗り込んできたトムを討ち取った。


 これほど大きな企てが失敗したと伝われば、ロックウェル王国軍は戦意をなくすだろう。

 この時点で、ソーニクロフトでの戦いは終わったようなものだ。

 フォード元帥と四天王を討ち取り、味方の被害は当初の予定よりも少ない。

 アイザックが死に掛けるという大きなトラブルはあったが、それ以外は大勝利と言っても過言でない結果となっていた。


 しかし、トムは本人だとしても、この首がテスラ将軍のものだとは限らない。

 なぜテスラ将軍の首を持ってきたのかを確認する事が重要だったが、多くの者達は目の前の勝利に沸き立つばかりで、疑問に目を向けようとする者はいなかった。


 周囲が勝利を確信して沸き立つ中、アイザックの心は冷めきっていた。


 ――勝ったと思って油断していたら殺されかけた。


「勝って兜の緒を締めよ」という言葉もあると知っていたのに、勝ち戦で浮かれてしまっていた。

 勝利に貢献しているとはいえ、最後の最後に大失敗したせいで素直に喜べない。


(いや、俺がエルフを連れてきておいたから助かったんだ。今、前線で戦っている兵士達の中にも助かる者が出てくるだろう。俺の判断のおかげで命拾いをして、多くの命も助かるんだ。俺のやった事、その全てが間違っていたわけじゃない)


 そう思う事で、致命的なミスから立ち直ろうとしていた。

 しかし、自分の腹を一刀両断されるという記憶は一生忘れられそうにない。

 今も無意識のうちに自分の腹をさすっているくらいだ。

 この時、アイザックは違和感を覚えた。


「あれ? いくら古い鎧だからって、剣で切られるのっておかしくない?」


 アイザックは、肩を貸してくれているトミーに話しかける。

 これは大きな疑問だった。

 ランドルフがトムを殺せたのは、ドワーフ製の槍でトムが一般兵向けの薄い鎧だったからだ。

 だが、アイザックが着ていたのは、古いとはいえ高級品のプレートアーマー。

 槍のように一点に力を籠めて突くタイプの武器ならともかく、剣で一刀両断にできるほどやわではない。

 無駄に重い分、固くて剣くらいは防げるはずだった。


「確かにおかしいですね。鎧を脱がせた時に触った限りでは、普通の鎧といった感じでした」


 二人の会話が耳に入り、周囲が静まる。

 マットがトムの持っていた剣を拾い、アイザックに見せた。

 薄っすらと刀身が光っているように見える。


「なんだ、この剣は!?」


 アイザックはマジマジと見つめる。

 刀身に付いた血は自分のものなのだが、今は不思議な剣の方に興味が引かれた。


「魔剣じゃな」

「魔剣!? どんなものなんですか?」


 マチアスが何か知っているようだ。

 アイザックは詳しく話を聞きたかったので彼に尋ねる。


「その名の通り、魔力を籠められる剣だ。剣では強固な鎧を切れんから、魔力を籠める事で切れ味を増してぶった切れるように作られたものだ」

「凄い剣じゃないですか!」


 まさに名剣。

「戦利品としてもらっておこう」とアイザックは思ったが、それにしても不自然な点が多すぎる。


「マットは、よくこんな剣を持った相手と戦えたね」

「いえ、私がトムと戦った時はそんな光を帯びておりませんでした。戦っていた時は普通の剣でした」


 マットの目は真剣だ。

 嘘を言っているわけではなさそうだった。


「そうなんだ。じゃあ、僕を殺しに来る時に魔力を籠めたのか。ずっと魔力を籠めて使えばいいのに」

「いや、それは無理だ。最近作られた物はどうなのかわからんが、何百年か前の剣は魔力を籠めると半日ほどで刀身がボロボロになってしまう。切れ味が増す代わりに使い捨てにする剣じゃぞ」

「だから、こんな一般兵が持つような地味な形なんですね……」


 マチアスの説明を聞き、アイザックは納得する。

 使い捨ての剣に立派な装飾を施したりはしない。

 だから、兵士の変装をしていても、剣だけが浮いていたりしなかったのだ。


「二百年前の戦争でドワーフ製の武器が消費されて現存している数が少ないっていうのは、こういう事だったんですね」


 アイザックはランドルフに尋ねた。

 いくら戦争に使われたとはいえ、武器のほとんどがなくなっている状況は異常だ。

 ドワーフ製の武器のほとんどが消耗されている理由が「使い捨て」だという事なら理解できる。


 ――切れ味の増した武器で鎧が壊され、そのあとで武器が自壊する。


 そんな状況では、残っている武具が少ないのも納得だ。

 今回の戦争はロックウェル王国にとって重要な戦い。

 トムのような武勇に優れた者に持たせて、惜しみなく使わせていたのだろう。


「そうだ。とはいえ、我が家に魔剣や魔槍といったものはないから、実際に見せて教える事はできなかったがな。確か、ウォリック侯爵家が持っていたと思う」


「ドワーフ製の装備は良い物ばかり」という認識はあったが、今まで武具に興味がなかったので「どう良い物か」までは調べていなかった。

 こんな危険な武器があると知っていれば、もう少し警戒していたかもしれない。

 前世の基準で、この世界の常識を計ってはいけなかった。

 自分の不勉強さを恥じる。


「……ああ、そうか。魔剣はドワーフ達にとっても危険な武器だった。だから、武器に魔力を籠める技術を使って、魔力タンクを作るようになったんだ」


 全てのものには起源がある。

 今は平和利用されている魔力タンクの起源が、こんな危険なものだったとは思いもしなかった。

「魔力を使っただけのバッテリー」と思っていたものに、意外な過去があった事にアイザックは驚かされる。

 もし、アイザックが「なんでドワーフ製の武具が残ってないんだろう?」や「魔力タンクなんてどうして思いついたんだろう?」と疑問に思い、少しでも深く調べようとしていれば魔剣にたどり着いただろう。

「そういうものだ」と思って、深く調べる事をしなかったせいで今回の惨状を招いてしまった。


「世の中には知らない事ばかり。全てを知ったような気になって調子に乗っていたようです……」


 アイザックは涙を流し始める。

 戦争の流れが上手く運べていたというだけではない。

 前世の知識で、この世界の事を知った気になっていた。

 だが、攻略サイトを見ただけではわからない事がたくさんあった。


「自分だけが特別だ」と思っていたが、なんていう事はない。

 前世の知識の分だけ、人より頭一つ分抜けていただけだ。

 前世の知識に頼れない部分では、他人より劣っている。

 まだまだ身に着けなければならない知識はたくさんあった。

 調子に乗っている余裕などなかったのだ。


 ――上手くいったという結果に慢心せず、より一層自分を高める努力をする。


 最近は上手くいっていたので、そんな基本的な事を忘れてしまっていた。

 こんな戦場で躓いているようでは、将来国を乗っ取る事などできるはずがない。

 もっと自分を律し、より高みを目指していかねばならなかった。


「アイザック、一度の失敗じゃないか。お前はよくやっている」


 ランドルフがアイザックを慰める。


「その一度が致命的です。クロードさんがいなければ、などありませんでした。今生きているという事を、一度ゆっくり見つめ直したいところです」

「そ、そうか」


 ランドルフは「アイザックは全てを知っているような気がする」と考えていた。

 今回のロックウェル王国の侵攻に対応できたのも、アイザックが彼らの動きに気付いたからだと思っている。

「これ以上の実力を求めるのか?」と、貪欲なまでの知識欲に引いていた。

 そんな息子を頼もしく感じるが、頼るばかりでは父親らしくない。

 ここで一発、しっかりと言っておかなければならない事もあった。


「アイザック、これからは私の言う事を聞くようにな。今回の事件はトムを処罰しようとしていれば未然に防げた事だ。もちろん、人に対する寛容さは大事ではあるけど、時と場合を考えるように」

「はい、父上。申し訳ございませんでした」


 シュンとするアイザックを見て「言い過ぎたかな」とランドルフは思ったが、これは必要な事だった。

 アイザックは頭が良いものの、どこか常識外れなところがある。

 そういうところを補ってやるのが、父親としての役割であると思い、心を鬼にして言うしかなかった。


 もちろん、これは注意して当然の事。

 ランドルフが怒る事に慣れていないだけで「言い過ぎた」なんて事はない。

 言われて当然の事だからこそ、アイザックも素直に受け入れた。


 ――命を失いかけた恐怖は本物。


 あんな思いをしては、周囲の忠告に耳を傾けるしかない。

 アイザックは、嫌でもここが現実の世界であると思い知らされてしまった。

 いつまでも浮ついた心でいては、いつか本当に無駄死にしてしまう。

 今一時に全てを賭けるくらいの気持ちでいなければダメだろう。


 今回の事件を境に、アイザックは「ここがゲームの世界だ」という認識を捨てる事にした。

 この時になってようやく、この世界で生きる人間の一人になったのかもしれない。

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