いいご身分だな。俺にくれよ。

第207話 お前の頭が必要だ

　捕虜や怪我人をソーニクロフトの兵士に任せて、アイザック達はロックウェル王国軍の攻撃に向かう。

　東と北にいた部隊を倒せば、ソーニクロフトの解放は終わる。

　こういう時「相手が来る」とわかっているとやりやすい。

　街壁から弓を撃たれないように距離を取って移動していても、遠くまで見張りの視線は通る。

　ロックウェル王国軍の動きは、ソーニクロフトから丸見えだった。

　――敵が今どこにいるか。

　その事を知る事ができるだけでも、戦場では有利になる。

　奇襲を受けないように警戒しやすいし、奇襲を仕掛けても敵がいなくて空振りに終わるという事もない。

　ロックウェル王国軍が伝令（・・）という情報伝達手段のタイムラグを利用して戦争を優位にしていたのに対し、アイザックは素早く情報を入手して戦闘を有利にしようとしていた。

　アイザック達は、ソーニクロフトの街の南東でロックウェル王国軍と対峙する。

（……これ大丈夫かな）

　両軍が陣形を整えて睨み合う状況を見て、アイザックは不安になった。

　今までは数が少ない相手ばかりだったが、今回はほぼ同数。

　追い払った西や南の残党が合流していれば、ウェルロッド侯爵家の兵士よりも多いはずだ。

「余計な作戦など提案せず、ランカスター伯爵家の軍と一緒に行動しておけばよかった」と、今更になって後悔し始める。

（でも、普通に正面から戦ったら勝てないんだよなぁ……。そもそも軍の編制が偏り過ぎなんだよ。もっとバランスを考えろ）

　アイザックは、リード王国の歪な仕組みに不満を持った。

　基本的に地方貴族の軍は貴族自身が指揮を執る。

　指揮官に文官の家系が多く、軍として弱いというのなら武官の家系と入れ替えればいい。

　そうすれば、ウィルメンテ侯爵家やウォリック侯爵家も文官が増えて助かる事にもなるし、ウェルロッド侯爵家とウィンザー侯爵家は戦いに強くなる。

　しかし、今はその事に不満を持っても、ないものねだりでしかない。

　別働部隊を任せたランカスター伯爵が上手くやってくれる事を祈るしかなかった。

　まずは弓兵の撃ち合いから始まる。

　最初はお互いに相手の様子見といったところだ。

　しかし、状況を大きく動かすために、ロックウェル王国軍が先に仕掛けた。

　ここが正念場と見てか、魔法使いの攻撃をリード王国軍の中央部に惜しみなく使う。

　この攻撃で最前列の歩兵の陣形が乱れた。

　そこを狙って、ロックウェル王国軍の歩兵部隊が突撃をしてきた。

　先頭を一人の騎士が駆け、誰よりも真っ先にリード王国軍に斬り込む。

（なんだ、あいつ？　出るゲーム間違えてるんじゃないのか？）

　兵士達と歩調を合わせるのではなく、一人で真っ先に斬り込むなど正気の沙汰ではない。

　しかも、槍衾を見事にすり抜けて、隊列に潜り込んで剣を振るっている。

　乙女ゲームの世界ではなく、戦場で無双するゲームに似合いそうな騎士だった。

「ランドルフ様、あれはおそらくフォード四天王のトムです。突破口を開かれる前に対応しなくてはなりません」

　キンケイド男爵がランドルフに進言する。

　それを聞いて、アイザックは「地味な名前のくせに派手な活躍をするんだな」と思った。

「キンケイド男爵は彼に勝てるか？」

「……自信はありません。ですが、行けと言われれば行きます」

　キンケイド男爵は悲壮に満ちた決意を示す。

　指揮官としての能力を含めた、総合的な能力ならば勝てるだろう。

　だが、戦闘能力だけなら別。

　トムは個人の武勇だけで名を挙げてきた男だ。

　キンケイド男爵も侯爵家の屋敷で警護隊長をしていたとはいえ、実戦経験で比べ物にならない差がある。

　この二十年間の平和は、リード王国の人間に戦闘経験（・・・・）というものを奪ってしまっていた。

　――だが、戦闘経験豊富な者もいる。

「マット、キンケイド男爵には父上の補佐をしてもらわないと困る。行ってくれるか？」

「お任せください。一度、トムとはやってみたかったところです」

　戦闘経験でいえば、マットもなかなかのものだ。

　トムのように何十年も戦場にいたわけではないが、若さで勝っている。

　多少の差なら補えるはずだ。

「父上、マットを行かせていいですか？」

「ああ、そうしてくれるなら助かる」

　ランドルフも「マットはウィルメンテ侯爵達が部下に欲しがっていた」という事を知っている。

　それだけの者なら、何とかしてくれるのではないかと思った。

　キンケイド男爵は「自分が止める」と言えなかった事を恥ずかしく思い、申し訳なさそうな顔をする。

「僕の護衛騎士だからといって、騎士らしい戦いをしなくてもいい。傭兵としての戦いをしてもいいから生き残ってくれ」

「ハッ！」

　アイザックは、マットに「見栄を張らなくてもいい」と伝えた。

　マットには、できる限り死んでほしくはないからだ。

「死んでほしくない」と思いつつも、彼を行かせるのは「自分が死にたくない」という思いもあったからである。

　このまま前線を崩壊させられてしまっては、敗走状態になってしまう。

　そこを討ち取られたりするのは望むものではない。

「大事だから」と大切に仕舞っておくのではなく、使うべき時に使うべきだ。

　アイザックは「使いどころはここだ」と思い、投入する事にした。

　前世では「HPとMPを全回復するアイテムは、ラスボス戦でも使わず大事に取っておく」タイプだったのだが、少し思い切りがよくなったようだ。

　----------

「オラオラ、どうした！　こんな雑魚共に苦戦していただと！　ふざけるな！」

　トムは手近にいる兵士を適当に切り捨てる。

　心の中は怒りに満ちているが、体は隊列を崩すように動いている。

　長年の経験からか、本能的に勝利に向かう戦い方をしていた。

（くだらねぇ、なんでこんな奴らに……）

　フォード元帥が死ぬのは、年に負けての老衰だと思っていた。

　なのに、あっさりと誰かに殺されてしまった。

「普通に戦えば、こんな奴らに殺される事なんてなかった」と思うと、また怒りがこみ上げる。

　また一人、怒りをぶつけられた兵士が死ぬ――はずだった。

「むっ」

　しかし、突如現れた傭兵らしき男に剣を受け流された。

　狙われた兵士は慌てて数歩分距離を取る。

「なんだ、お前は？」

「マット・モーズリー。アイザック様の護衛騎士であり、フォード元帥を討ち取った者だ」

「親っさんを！？　そうか、やっぱりな。アイザックって奴共々、すぐに地獄に送ってやるよ。まずはお前からだ！」

　トムは袈裟懸けに大きく剣を振り、マットを一気に仕留めようとする。

　当然、マットもただでやられるつもりはない。

　――フォード元帥を討ち取ったと言ったのは、激情に駆られての大振りを誘うためだった。

　剣を当て、そのまま受け流しつつトムの膝を踏み折る――事ができなかった。

　その動きを予期していたかのようにトムは避け、逆にマットの足を払おうとする。

　マットがトムの足払いを避けようとして体勢を崩して、地面に片膝を突く。

　トムはその隙を見逃さず追撃をしようとするが、マットがトムの足元に剣を薙ぎ払って距離を取らせる。

　この一連の動きにマットは戸惑っていた。

　相手は長年騎士として戦ってきた男だ。

　なのに、傭兵と同じような戦いをする。

　その疑問に気付いたトムが口を開く。

「どうした、足癖が悪くて驚いたか？　生憎、俺は育ちが悪くてな。貴族様みたいな、お上品な振る舞いなんてできねぇんだよ」

「学ぶ気がなかっただけだろう」

「うるせぇ！」

　マットの挑発に乗り、トムは再度切りかかる。

　それから、二人の戦いはしばらく続いた。

　実力はトムの方が少し上ではあるが、その差はわずか。

　勝負はなかなか決まらない。

　トムはこの戦いを早めに切り上げるべきだった。

　彼の任務は前線の突破口を開く事。

　こんなところで足止めされている場合ではなかった。

　マットと戦っている間に、リード王国軍が徐々に陣形の穴を埋めつつある。

　フォード元帥を討ち取った相手がいたからとはいえ、トムは前に進まなくなった。

　トムの足が止まったせいでロックウェル王国軍の勢いは失われていた。

　その様子を見てか、ロックウェル王国軍が撤退の鐘を鳴らす。

「なぜだ！？　まだやれるだろう」

「不測の事態が起きたんじゃないのか？」　

　マットが嘲るようにニヤリと笑う。

　その挑発に乗りそうになったが、トムは直感的に「今は誘いに乗る時じゃない」と感じた。

　頭は良くないが「引き留める理由が何かありそうだ」と考えるくらいはできる。

　――しかし、相手はフォード元帥を殺した相手。

　頭では引くべきだとわかっていても、なかなか足が動かなかった。

「……覚えておけよ」

　苦渋の決断で、トムは引く事にした。

　後方で異変があったのなら、そちらにも対応しないといけない。

　前に出るだけでは敵を倒せないという事を、なんとなくトムも理解していた。

「元帥を殺した相手をおいて逃げるのか？」

　その言葉で逆上しそうになるが、過去の経験からロクな事にならないと理解している。

「絶対にあとで後悔させてやる」と思いつつ、トムは下がっていった。

　トムが最前線から下がると、すぐに異変に気付いた。

　ロックウェル王国軍の後陣が戦っている音が聞こえる。

　急いで本陣まで向かう。

　そこには、腹部に大きな傷を負ったエドワードもいた。

「どうしたんだ！」

「リード王国軍の別動隊です。どうやら街の中を通ってきたようで、東門から出てくるまで気付きませんでした」

　フェリクスが悔しそうに語る。

　平野部で側面から背後に回り込もうとしたのなら、別動隊にも十分な対応をする事ができた。

　しかし、リード王国軍は街中を通って身を隠して背後から現れた。

　そのせいで対応が遅れてしまったようだ。

「こういう時に予備が対応するんじゃないのか？　エドの怪我はなんだ？」

「ああ、俺が予備隊を率いて対応した。だが、ソーニクロフトのファーティル王国軍が来ると思っていたところに、リード王国軍と会わせて一万人近い部隊が相手でな。数が多くて防ぎきれなかった。この傷はその時の傷だ。どうやら俺も、閣下が亡くなられて動揺していたらしい」

　ソーニクロフトの兵が来るにしても、およそ三千程度の兵だろうと思っていた。

　そこで同数の三千を後方警戒に残しておいた。

　だが、予想の三倍以上の兵に襲われてしまった。

　エドワードは、己の見通しの甘さを笑う。

「笑ってる場合じゃねぇだろ。どうすんだよ」

「このままでは、前後から挟まれて包囲される。まだ側面に敵は来ていないから、東へ撤退して王都を攻めている本隊と合流するしかないだろう。……わざわざ逃げ道を残しているのがいやらしいところだな」

　完全に包囲されれば、包囲を突破するために兵士は死に物狂いで戦い始める。

　だが、逃げ道が残っていれば、そこから逃げ出そうと希望を持つのは人間の心理として当然の事。

　――命懸けで戦う兵士と逃げ腰の兵士。

　どちらが戦いやすいかは考えるまでもない。

　逃げ場を与えておいて、背後から討つ気だろう。

　しかし、今のロックウェル王国軍には逃げるしか道がない。

　このまま戦えば、いくらかはリード王国軍に被害を与えられる。

　だが、ソーニクロフトを攻めていた部隊は全滅する。

　ここで問題になるのは兵士の価値だ。

　リード王国軍は、軍として戦う兵士だけで十万近い兵を持つ。

　ロックウェル王国の二倍以上である。

　今後を考えると、ソーニクロフト攻略のために用意された三万の兵を全て失うわけにはいかない。

　いくらかでも逃がして、再戦を期すべきだ。

　できる事なら、ここで前方と後方の敵と同時に戦ってリード王国軍の数を減らしたい。

　だが、人である以上、そんな事はできない。

　二正面作戦はどうしても判断が鈍ってしまうし、前方で戦っている部隊を後方に引き抜けば混乱が起きる。

　だからといって百人単位、十人単位で戦線から引き抜いても部隊としての力を発揮できない。

「本来の力を出す事ができずに、ただやられるだけになってしまうだろう」と、エドワードは考えていた。

「背後から挟撃を狙ってくるのが、ファーティル王国軍だけだと見誤ったのは俺の責任だ。トム、お前はフェリクス様を連れて本隊に合流しろ」

「お前はどうするんだ？」

「残って撤退を助ける。この傷じゃ助からんだろう」

　エドワードは腹を押さえていた手を放す。

　鎧に開いた穴から、血が溢れていた。

　戦場に治療魔法を使える者がいればいいのだが、残念ながら治療魔法を使える者は教会に入る事になっている。

　教会は戦争に加担しないので、治療魔法を使える者がここにはいない。

　エドワードの傷を見る限り、確かに長くは持ちそうになかった。

「撤退か、悔しいなぁ……。親っさんを殺した奴と出会ったのに」

「誰ですか、それは？」

　フェリクスがトムに尋ねる。

　その名前は聞いておかねばならない。

「アイザックっていう奴の護衛だ。名前はマットとか言っていたな」

「やはり、アイザック・ウェルロッド……」

　フェリクスは拳を握りしめ、アイザックのいるであろう方向を見て睨む。

　曾祖父の仇がすぐそこにいる。

　なのに、手出しをする事ができないという歯がゆい思いをする。

「悔しいが仕方ねぇ。親っさんだって勝てる時はしっかり勝って、負けそうな時は無茶をせずに引いていたからな」

　歯がゆい思いをしているのはトムも同じだった。

　目の前には仇がいて、もう少し戦っていれば討ち取れたかもしれない。

「やっぱり、あそこで決着が着くまで戦っておけばよかった」と後悔していた。

「それで、攻撃をやめた理由は撤退するためか？」

「そうだ。お前はフェリクス様と共に脱出しろ。フェリクス様を本隊まで無事に届けるんだ」

　エドワードは、フォード元帥のためにもフェリクスを逃がしたかった。

　だが、それはフェリクスには受け入れがたい事だった。

「テスラ将軍、逃げるのなら将軍が逃げてください。私などより、将軍の方がロックウェル王国に必要とされています」

　フェリクスも三十代半ば。

　エドワード達に比べれば、まだまだ若輩者かもしれない。

　しかし、そこまで過保護にされたいとは思わなかった。

　彼も「ロックウェル王国のために、誰が兵を率いて脱出するべきか」の判断くらいできている。

　自分がここに残り、エドワード達が逃げる方がいいと思っていた。

　その言葉にエドワードは微笑み返す。

「私はこの傷で助からないでしょう。もしかしたら、フェリクス様が撤退したあとに降伏して、街の教会で治療を受けられるかもしれないといったところでしょうか。私がここに残るのが一番いいんです」

「ですが、私などよりもエドワード将軍が助かった方が……」

　傷の事を話しても、フェリクスはまだ渋る。

　これは、彼の自信のなさによるものだ。

　子供の頃から周囲には才能に恵まれた者ばかり。

「自分には才能がない」と思い込んでいるせいだった。

「フェリクス様、自分に自信を持ってください。確かにあなたは我々と比べられていました。確かに戦術はシャーリーン様に負け、剣ではトムに負けていました。ですが、逆に考えてください。別に相手が得意とする戦い方をしなくてもいいんです。シャーリーン様のような方には剣で、トムには頭で勝てばいい。あなたは戦い方を選べば、誰にだって勝てるんですよ」

　エドワードも、フェリクスが悩んでいる事を知っている。

　今までは自分で気付いて、乗り越えてほしいと思って黙っていた。

　だが、もうそんな時間はない。

　だから、こうしてハッキリと思っていた事を伝えた。

　おそらく、伝えられるのはこれが最後だから。

「こうして話している時間が惜しい。フェリクス・フォード。半数の兵を率いて突破口を開き、撤退しろ」

「はい」

　エドワードは、将軍からの命令という形でフェリクスに言い聞かせた。

　今は西と南にいた部隊の残党を合わせて二万ほどになっている。

　その半分となれば一万。

　かなり重要な役割だ。

「フェリクスの撤退を助ける。けど、俺もここに残るぞ」

「お前も行けと言っただろう。命令だ」

　ここでトムがおかしな事を言いだした。

　エドワードがすかさず命令という形で行かせようとする。

　しかし、トムは首を横に振るだけだった。

「俺にはやり残した事がある。アイザックって野郎に一太刀浴びせるっていう大事な事だ。そのためにはエド、お前の頭が必要だ。今ここでフェリクスと一緒に引くわけにはいかない」

「引くわけにはいかないって、この状況でどうしようっていうんだ？」

「俺には考えがある」

　自信満々なトムに対して、エドワードとフェリクスは不安気な表情を浮かべる。

　トムの直感は頼りになるが、頭に関してはイマイチ信用できない。

　その事を本人も理解しているのか、自分の考えをエドワードに耳打ちする。

　トムの考えを聞いたエドワードは、驚愕の顔を浮かべた。

「その顔を見る限り……、驚いたようだな」

「それは見たままの通りだろう！　まったく、お前は本当にふざけた奴だな」

　エドワードはフフフと笑う。

「だが、悪くない。アイザック・ウェルロッドを生かしておけば、きっと本隊にも大損害が出るだろう。お前の提案に乗ろうじゃないか」

「そうこなくっちゃな」

　トムがエドワードの肩を叩くと、傷口に響くのかエドワードが顔を歪める。

「フェリクス様、トムにはこちらで大事な仕事を任せます。今は逃げてください。自分のためにではなく、兵士達のために。そして、ロックウェル王国の未来のためにも」

「……わかりました。ですが、撤退した部隊が安全なところまで逃げたと思ったら降伏してください」

「もちろんです。一兵残らず戦うような真似はしません」

　フェリクスはトムがどんな作戦を考えたのか気になったが、兵を逃がすために後ろ髪を引かれる思いで去っていった。

　残ったエドワードが、トムに話しかける。

「トム、俺はずっとお前が嫌いだった。馬鹿だし、礼儀も知らない。身分をわきまえず、俺の事をエドと呼んでくる事も気に入らなかった。だが、その度胸だけは認めている」

「俺もお前が嫌いだったよ。さり気ない仕草の一つ一つに気品があって『これが平民と貴族の差か』と、生まれの違いが大きな違いだと思い知らされていたからな。でも、俺の事を馬鹿だと言っても、見下した目で見なかったのは嬉しかったよ」

　二人は死を覚悟している。

　だから、最後に本音をぶつけ合った。

　しかし、その顔に悲壮感はない。

　――フェリクスのためになり、ロックウェル王国のためにもなる大仕事がある。

「アイザック・ウェルロッドを亡き者にする」という大仕事を前に、二人は清々しいまでに晴れやかな笑顔を浮かべていた。