第53話 国王エリアスと四W

 挨拶の対応が終わり、アイザックは壁際に用意されていたソファーに腰掛ける。


(もう誰が誰だか覚えてねぇ……)


 次々と訪れる渋いおっさんや美熟女。

 元々ゲームの世界だから美男美女だらけなのは良いとして、それが逆に顔に特徴のない人物だらけという状況を生んでいた。

 まともに覚えているのは最初にあったアリスくらいだろう。

 あの巻き髪はどうしても印象に残る。

 他の者にもう一度挨拶されても、顔と名前を一致させる自信がない。


 全ての相手を覚えていたルシアが素直に凄いと思えた。

 こういう時、人の顔を覚えるというのも一種の才能だと感じていた。


「お疲れ様」


 アイザックの前にジュースの入ったコップが差し出される。

 見上げると、五十歳前後の優し気な顔をした中年の女性がいた。


「ありがとうございます。あの……」


 飲み物を差し出されたのはいいが、誰だかサッパリわからない。

 百組以上の相手と話をしたので、誰かの奥さんだろうが名前が浮かんでこなかった。

 そんなアイザックの困惑を読み取ってか、彼女が名乗る。


「私はジョアンヌ・ハリファックス。ルシアのお母さん。つまり、あなたのおばあちゃんよ」

「お婆様ですか! はじめまして……、で良いのでしょうか?」

「赤ちゃんの時にあっただけだものね。はじめましてで良いと思うわ。はじめまして、アイザック」

「はじめまして、お婆様」


 確かにジョアンヌにはルシアの面影がある。

 祖母だと言われれば信じる程度には。

 アイザックはジョアンヌの隣に立ち、胸の前で腕を組んでいる中年の男に視線を移す。

 こちらに目を合わせようとしない。


「では、そちらはお爺様ですか?」

「そうよ。フィル、ちゃんと挨拶してあげなさい」


 フィルと呼ばれた男は厳めしい顔をしかめる。


「……フィルディナンド・ハリファックス子爵だ。元気そうで何より」

「もう。ごめんなさい、この人照れてるのよ」

「照れてなどいない!」


 ジョアンヌの言葉に反論する時にアイザックと目が合ってしまうが、すぐに逸らしてしまう。


「ただ、気に入らないだけだ。……なぜティファニーと婚約しなかった?」

「へっ?」


(いきなり何を言いだしてるんだ?)


 アイザックはフィルディナンドの言っている意味がわからなかった。

 ティファニーは従姉妹。

 前世でも従姉妹との結婚は法律上ありだったが、あまりそういう話を聞いた事がない。

 貴族界隈なら珍しくないのかもしれない。

 だが、将来的に胸があまり発達しないという事を置いておいても、あまり結婚しようとは思わなかった。

「異性」というよりも「家族であり友達」という認識の方が強かったからだ。


「婚約して婿入りしていれば、お前は今のように肩身の狭い思いをしなくて良かったんだ。ティファニーが好きだと一言言えば良かったものを」

「えっと……。ティファニーは好きですが、友達としてですね」


(俺の事を心配している……、んだよな?)


 どうしてもフィルディナンドの態度に困惑してしまう。

 落ち着こうと、ジュースを一口飲む。

 少し酸味のあるリンゴジュースだった。

 心地良い香りが鼻をくすぐり、アイザックの気分を和らげてくれる。


「今からでも遅くはない。離縁して、アイザックを連れて戻ってこい」


 フィルディナンドはルシアに向けて言った。

 やはり、親としてメリンダに嫌がらせをされているのは気に食わないのだろう。


「お父様! 口にして良い事と悪い事があります」

「その通り、それにアイザックは我が家の大切な跡取りだ。これまでも、そしてこれからもな」


 ルシアの言葉に合わせ、モーガンも現れる。

 アイザックと滅多に会う事のないハリファックス子爵夫妻のために「邪魔をしないでおこう」と距離を置いていたが、さすがに今の話の流れは見過ごせない。

 突然現れたモーガンにフィルディナンドは一瞬驚いたが、すぐに気を取り直す。


「しかし、ウェルロッド侯。婿殿は『身分差があるけれど、絶対に幸せにする』と言いながらメリンダ夫人を迎え入れた。今もメリンダ夫人とウィルメンテ侯爵家と縁のある者の挨拶を受けている。それもルシアとアイザックの二人を置いて。これを幸せな状況と言えますか?」


「お家第一」のはずの貴族らしくなく、侯爵家当主相手でも怯む事なく抗議する。

 アイザックは、その姿を頼もしいと思うよりもハラハラとした気分で見守っている。


「……確かに、ランドルフは頼りないところがある。だが、その分は私が支える。と、言いたいところだが、アイザックは自分で何とかしそうな気がしないでもない」


 モーガンは苦笑する。


「アイザック、陛下がお呼びだ。別室で話をしたいそうだ」

「もしや、それは!?」


 フィルディナンドが怪訝そうな顔をした。


「挨拶だけではなく、別の話もする事になる」


 フィルディナンドは絶句する。


 この国には議会などない。

 密室政治によって決まる。

 国王エリアスが決めた事以外は、上位貴族や重要な役職に就いている少数の者によって国が動かされる。

 当主でもないアイザックが別室に呼ばれ、挨拶以外の話をするという事。

 それは「意見を聞くに値する者」として評価されたという事だ。

 子爵家の当主であるフィルディナンドでもエリアスに別室に呼ばれた事などない。


 フィルディナンドは「アイザックが色々とやっている」とは聞いていたが、王に評価されるほどだとは思っていなかった。

 そこまで大きな事ができたのも侯爵家にいるからだ。


 ――一都市の代官に過ぎない子爵家では、アイザックの才能を生かしきれない。


 そう思うと、フィルディナンドも「扱いが悪いから実家に戻せ」とは言い辛い。

 同じように機会を与えてはやれないからだ。


 ――才能を生かせる場所があるのと、慎ましくも平穏な生活ができる場所。


 どちらも幸せと呼べる。

 だが、より幸せな場所がどちらかと言えば、それは本人次第。

 才能の片鱗を見せている以上、アイザック本人が「ハリファックス子爵家に行きたい」と言わねば、連れ帰る事は嫌がらせにしかならない。


「アイザック。如何に高く、早く飛ぶ鳥もいつかは羽を休める時が必要となる。休める場所はいつでも用意しておいてやる」


 フィルディナンドは、そう言うのが精一杯であった。


「ありがとうございます。お爺様」


 アイザックはお礼を言いながらも――


(嬉しいけど……。それ、もう一人の爺さんの前で言う事じゃないよな)


 ――と、頭の中で考えていた。


 モーガンも何か言いたそうだが、ランドルフがルシアを守り切れているとは言えない状況だけに反論し辛い。

 複雑な表情をしながら、フィルディナンドを恨めしそうに見つめるだけだ。

 もしかしたら、昔から「メリンダを妻にしたのだから、ルシアは離婚させる」と言い続けているのかもしれない。

 だから、家に呼ばれる事もなく、アイザックとも距離を置かれていたのだろう。

 家族愛に溢れているのは素晴らしい事だが、何事も行き過ぎると毒にしかならないという事だ。


「それでは、陛下がお呼びのようですので行ってきます。お婆様もお元気で。またお会いできたら嬉しいです」


 せっかく会えたのでもう少し話していたいが、王の呼び出しだ。

 いつまでも待たせておく事はできない。

 名残惜しいが、モーガンと共に王の待つ部屋へと向かう。


「ところで、陛下はどんな御用があるのか知っているのですか?」

「エルフに関してらしい。……アイザック。お前がどんな答えを出そうとも、私はそれを応援する」


 アイザックはモーガンの言い方に不安を覚える。


「……なんだか嫌な言い方ですね。適切な回答を教えてください」

「答えを教えるなと言われていてな。お前がどう考えるのかが見たいらしい」

「陛下は七歳の子供に何を期待しておられるのでしょう……」


 その問いに対して答えは無かった。

 モーガンも同じ事を思っているのだろう。



 ----------



「お待たせ致して申し訳ございません。ただいまアイザックを連れて参りました」

「よい」


 エリアスは鷹揚にうなずくと、着席するようにしぐさでうながす。

 アイザックはどこに座れば良いのかわからないので、モーガンの隣に向かう。


 エリアスがテーブルの上座。

 エリアスの右手側に武人といった迫力のある男が二人。

 左手側に宰相であるジェローム、モーガンの順に座っている。

 アイザック側の面子で考えると、向かい側にいるのはおそらくウィルメンテ侯爵家とウォリック侯爵家の者だろう。

 アイザックはまだ着席していない。


「陛下、お初にお目にかかります。ウェルロッド侯爵家、ランドルフの息子アイザックです。陛下のお目にかかることができ、光栄です」


 座る前に、まずは挨拶からだ。

 そのように教育されている。

 モーガンが何も言わずに座ったとしても、それは前もって挨拶を交わしているからだ。

 まだ挨拶を交わしていないアイザックまで一緒に座るのは失礼な行為である。

「こういう細かいところもチェックされているのでは?」と思い、就職活動での経験を活かして警戒していた。


「うむ、座ってよろしい。ちゃんと躾けているようだな」

「いえ、まだまだ教育の途中でございます。陛下の前に出せるほどではございません」


 アイザックが危惧した通り、礼儀作法の軽いチェックだったようだ。

 エリアスはジェイソンと同じ緑色の髪をしている。

 優しく微笑んでいる姿は、乙女ゲーム系のメインキャラの父親らしいイケメンだ。

 年齢はランドルフと同じくらいで、三十歳に届くか届かないかくらいだろう。


「アイザック。言うまでもないが、あちらに座られているお方が国王であらせられるエリアス陛下だ。そして、以前に会ったウィンザー侯爵。向かいの右側に座るのがドナルド・ウォリック侯爵。左側がディーン・ウィルメンテ侯爵。どのような役職に就いているかは覚えているな?」

「もちろんです」


 どの家もゲーム本編に絡む家なので、アイザックもちゃんと勉強している。


 ドナルド・ウォリック侯爵は国防大臣。

 各領主が独自に持つ軍ではなく、国王直轄地の王国軍の編制・維持などを任されている。

 デスクワークメインの仕事にもかかわらず、初老の男からは風格というものを感じられた。


 ウィルメンテ侯爵家は元帥。

 国軍の実働部隊を率いて戦う役目を任されている。

 この十年ほどリード王国は戦争をしていないが、歴戦の勇士という威圧感を身に纏っている。

 いつかは倒さねばならない相手だと思うと、アイザックも気が重い。


「皆さま、はじめまして。右も左もわからない若輩者ですが、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」


 とりあえず、へりくだっておく。

 国王と「4W」と呼ばれるリード王国のトップである侯爵家の当主が集まる場所。

 アイザックは下手に出るしかなかった。


「文字通りの若輩者だな」


 ウォリック侯爵が呆れたような声を出す。

 まさか、本当にリード王国トップの会合に子供が現れるとは思っていなかったからだ。


「確かに若い。若すぎるな」


 ウィルメンテ侯爵はアイザックを値踏みするような視線で見ている。

 ネイサンのライバルがどの程度の者か、この機会に見定めようとしているのだろう。


「…………」


 ウィンザー侯爵は何も言わなかった。

 アイザックの実績を知っているというのもあるが、何かを口に出そうとしてもパメラとの一件が脳裏に浮かぶ。

 不用意な事を口にしないため、心を落ち着かせる時間の確保と場の流れの様子を見る事に徹していた。


「まぁ、そう言うな。その子供の意見を求めて呼んだのだからな」

「ハッ」


 エリアスの言葉でアイザックは緊張する。


「まず、エルフはどの程度友好関係を築こうとしているのだ?」


(そんな事、会談でわからなかったのか?)


 アイザックはそう思ったが、大人同士の話し合いと子供に対して話すのとでは内容も変わる。

 エリアス達は子供に対してエルフが油断してこぼした本音を聞き出したかったのだ。


「友好的な関係は本気で築こうとしていると思います。ですが、人間側の対応次第です。どういう意味かよくわかりませんが、女性が性奴隷というのにされる事を一番恐れているようです」

「やはりそうか……」


 まず、アイザックの言葉を信じてもらえるようにこの話題から切り出した。

 ギルモア子爵の痴漢騒動は記憶に新しい。

 自分は性的な意味は知らないという事をさりげなくアピールしつつ、恐れている事を伝えた。


「二百年前の戦争も人間が悪い。けど、その悪い人間はすでに死んでいるので仲良くしてもいい。それでもやはり、今の時代に生きる悪い人間への警戒が強いようです。自分達の領域である森からあまり離れたくないという意見も強いようです」


 これも事実だ。

 だが、エルフを他の貴族に雇われたりしないための牽制でもある。

 エルフとの強固な関係を築くのは自分一人でいい。

 他の貴族に簡単に譲るつもりはなかった。


「そうか。それでは、王国中の街道整備は厳しいのか? 整備された道を通った商会から王国中の道を整備してほしいという希望もあったのだがな」

「それは大丈夫だと思います。ですが、遠くまで出稼ぎに出てもいいというエルフの数がどれほどになるかわかりません。不安な者には、まず近場のウェルロッド領で慣れてもらい、それから他の領地に。とは考えているのですが……、相手次第なのでわかりません」

「なるほど、時間が必要か。二百年の断交状態は長いからな」


 エリアスは顎に手を当てて考え込む。

 さすがに彼の機嫌を取ろうとして「エルフに強制的に働かせればいい」というような馬鹿はこの場にいない。

 一番やってはいけない方法だという事は、みんな理解している。


「まずは領都ウェルロッドから王都グレーターウィルの街道を整備してもらい、そこから他の領都への街道を整備してもらうというのはできそうか?」

「おそらく大丈夫だと思います。遠出になりますが、街道を一本整備していくくらいの人数は来てくれるでしょう」

「そうか、そうか」


 エリアスは満足そうに笑みを浮かべながら、何度もうなずく。

 街道整備は平民にも目に見えてわかる類の事業だ。

 エルフと友好的な関係を築いたと知らしめやすい。


「では、王都の次はどこを優先して整備するべきだと思う?」

「えっ、いえ。それは私のような者から進言するわけには……」


(嫌がらせかこいつ!?)


 それをアイザックが口にするわけにはいかない。

 どこを立てても、どこかから不満が出てくるからだ。


「陛下、アイザックは――」

「いや、この者から聞きたい」


 モーガンも理解して止めようとした。

 だが、エリアスは笑顔のまま、それを制した。


(ちくしょう! やっぱり、ジェイソンの親父だな! 親子揃って糞野郎が!)


 アイザックはジェイソンの事を攻略サイトで見て知っている。


 ――ヒロインの好感度が高くなると、他の攻略キャラに無茶な命令を与え始める。

 ――命令が達成できなかったらヒロインの前で罵り、そしてその失敗を許す事で大物ぶる王子。


 エリアスも賢王と言われているが、ジェイソンと同じ。

 エルフ関係で名を上げたアイザックをやっかみ、ここで失敗させて少しでも評判を落とし、それを許す事で「さすがエリアス様。寛大なお方だ」とでも言われたいのだろう。

 アイザックはこの場を切り抜ける方法を必死に考える。


(まずはウィンザー侯爵家……。ダメだな。ウィルメンテ侯爵家、ウォリック侯爵家もダメだ。どうすれば……)


 同じ貴族派という事で、ウィンザー侯爵家を選べば王党派であるウィルメンテ侯爵家、ウォリック侯爵家が「軽んじられた」と不満を持つだろう。

 もしかすると、エリアスも「貴族派でつるんで王の権威を軽んじるつもりか?」と思いかねない。


 では、腹違いの兄と繋がりのあるウィルメンテ侯爵家はというと、こちらもダメだ。

 いくら親戚とはいえ、同じ貴族派であるウィンザー侯爵家が後回しにされたと非常に強い不満を持つ。

 それなら、ウィンザー侯爵家を選んだ方が味方がいる分まだマシだ。


 ウォリック侯爵家は論外。

 同じ貴族派であるウィンザー侯爵家が非常に強い不満を持ち、親族であるウィルメンテ侯爵家も同様に不満だろう。

 ウォリック侯爵家は王党派なので、さほど感謝もされないだろう。

 他の全てを敵に回す悪手だった。


 アイザックは必死に考える。

 多少の事なら問題ないが、どれかを選べば角が立つ。


(そうか、選ばなければ良いんだ!)


 アイザックは逆転の発想にたどり着いた。

 自分が選ぶと角が立つのなら、自分で選ばなければいいだけだ。


「クジ引きで決めたらどうでしょうか?」

「クジ引きだと?」


 あからさまにエリアスは不満そうだ。

 だが、その顔が正しい答えだとアイザックに自信を付けさせた。


「はい、そうです。だって、リード王国がエルフと友好的な関係を築くきっかけを作ったのは神様です。ですから、どこに道を作るのかを決めるのも、神様に任せるべきだと思います」


 先ほどまでのしっかりとした受け答えをする子供の姿は、そこにはなかった。

 今、ここにあるのは年相応に神の存在を信じている無垢な子供の姿だ。

 この場にいた者達は、その変貌に戸惑いを隠せない。


「確かにクジ引きはいい考えだ。時には神の手に委ねるのもいいでしょう」


 他の者が戸惑っている間に、モーガンが機先を制した。

 これで「クジ引きはダメだ」と言えば、それはモーガンが賛同した意見に反対する事になる。

 アイザックを相手にするだけではなく、モーガンも相手にしなくてはならない。

 国王の権限は一番強いが、ウェルロッド侯爵家の力はエリアスも無視できるものではない。

 真っ向から対立するほどの理由もないため、ここは大人しく引く事にした。


「そうだな。たまにはクジ引きで決めても良いだろう。国家の命運をかけた話でもないしな」


 アイザックは表面を取り繕う事もせず、安堵の溜息を吐く。


(自分で物事を決める事のできない小僧と思われたっていい。それくらいならあとで十分に取り返せる)


 アイザックは今はまだ、どの家とも対立するつもりはない。

 本物の子供である以上、こういった判断から逃げても名前に傷が付く事はないはずだ。

 そう思っていた。


 しかし、実際は逆。

「モーガンの援護があったとはいえ、今の質問を切り抜ける事ができる異常な子供」と見られてしまった。

 特にウィルメンテ侯爵など、アイザックを見定めるような目から警戒する目に変わっていた。

 被害を最低限に、質問を見事に受け流したせいで却って評価されてしまう。


「他にもエルフについて感じた事をみんなに教えてくれるか」


 それが気に入らないエリアスは、アイザックに「さらに話せ」とうながした。


「それでは、食事についても――」




 この後は、アイザックが話した事で厳しい質問をされたりすることもなかった。

 モーガンは「まだ話がある」と言って残ったので、アイザックは一人家族のもとへと向かう。


(招待されたから、ある程度は覚悟していたけど……。これはキツイ……)


 生まれ変わってから、今までは敵意を向けてくる者は同格か格下だった。

 自分よりも上位の者に敵対的な態度を取られたのは初めてだ。

 そのせいで、アイザックは大勢が挨拶に来た時よりも疲れていた。

 

 アイザックは母のもとへ戻ると、フィルディナンドとジョアンヌと話し始めた。

 孫が羽を休める時が意外と早く来て、フィルディナンドはまんざらでもなさそうだった。

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