GWにショッピングセンターにて ①
GWが始まった。
休みの日というのは、やはり楽しい。僕はゲームをしたり、漫画を読んだり、一人で過ごしてばかりである。
もちろん、来年の受験に向けての勉強も進めている。
一度目の高校二年生の頃の記憶があるからこそ、勉強が一度目よりも理解出来て僕は嬉しく思っている。この分だと、大学も良い所に行けるかもしれない。
GWはゲームのイベントが進行しているから、そちらも忙しい。
一人で家で何をしているんだ、暇にならないのかと言われるかもしれないが、一人で引きこもりのように好きなことだけをする生活というのは中々楽しいものである。
好きだけゲームをして好きなだけ本を読んで……やりたいゲームも読みたい本も山ほどある身とすれば、こうして一日自由に過ごせる時間はとても楽しいものだ。
それに実家だから、母さんが朝昼夕とご飯を準備してくれるし。まぁ、一人暮らしに向けて時々は手伝っているけれど。ただ少し手伝っているだけでも料理って大変だなと正直思うので、専業主婦って大変なんだろうなぁって思った。
そもそも時々ならともかく、毎日料理を作るって中々難しいと思う。僕も同じメニューが続いた時に母さんに文句を言った事が子供の頃あるけれど、その時に母さんに「文句を言わない!」って怒られたんだっけ。毎日毎日作っていれば飽きもくるだろうし、仕方がないよなって最近思ったりする。
ちなみに中学生ぐらいの頃は、母さんと父さんに休みの日に出かけたりしないのかと聞いてくたりしていたけれど、高校生になると僕が好きで一人でいるのを理解してか、それ以上何も言わなくなった。
理解のある両親を持って僕は幸せ者だと思う。
ベッドに寝転がりながら、僕は思考する。
両親たちも身近に魔物なんてものがあれば、危険な目に遭うこともあるかもしれない。というか、この魔物がこちらにやってきている事象は杉山たちがいるからこそこの街で起こっているだけで、他の場所では起こっていないと言う認識でいいのだろうか?
まぁ、そうではないと常識改変で魔物の存在に気づいていない状況だと人が死にまくりになってしまうしなぁ……。
それか魔物がこっちにやってきているなら、こちらからその異世界へと向かってしまった人もいたりするのだろうか? 何だかそう考えると気づけばいなくなっている人がいたらそういう可能性があると考えた方がいいのかもしれない。
GWの初日は用事もないので、親に頼まれて買い物に出かける以外はずっとのんびり過ごしていた。
半ばになると、両親に連れられてショッピングセンターに向かうことになった。ついでに予約しているゲームもとりに来ているのである。
母さんはショッピングセンターで買い物をするのが好きなので、嬉しそうに笑っている。僕の洋服も買う予定らしい。僕はあまり着るものを気にしない性格だから、いつも母さんに連れられてきた時ぐらいしか服を買わないのだ。
服を買うよりもゲームなどにお金を使いたいと正直思ってしまっているというのが一番大きな理由だが。
「博人、この服なんていいんじゃない?」
「んー、母さんの好きにして」
「もう、全く博人は自分の服でしょうが」
正直母さんが選んだものでいいと思っているのだが、母さんに注意されてしまった。
母さんはセンスが悪いわけではなく、変な服は買ってこないので母さんが選んでくれたものでいいと思っているのだが、しぶしぶ自分で選ぶことにする。
何着かの服を選べば、母さんと父さんが満足してくれたようで僕の洋服は買い終わった。
その後、本屋に行くと新刊が出ていたので僕はそれを買う。新刊がこうして本屋に並んでいるのを見ると何だかワクワクした気持ちになる。とある漫画のアニメ化決定のポスターを見て、そういえば一度目の時はこのアニメは見なかったんだっけと思い至る。折角二周目だし、今回は見なかったこの作品を見てみようと決めた。
本屋に長居している間、母さんと父さんは別行動をしている。本屋で思う存分購入した僕はそのままゲームの販売しているエリアに向かい、予約していたゲームを引き取る。
その後、母さんと父さんと合流するために地下に向かうことにする。地下は食品売り場で、そこで母さん達は今買い物をしているようなのだ。
それにしてもGWだからショッピングセンターには、人の姿が多い。子供連れの家族や、恋人同士や、友達同士、または僕のように一人だったり……沢山の人たちがいる。稼ぎ時だからか、店員さんが一生懸命声をあげている。特にファッションのエリアだとそういう人が多かった。
子供が遊んでいるエリアは、騒がしかった。お母さんお父さんたちが子供達と一緒に遊んでいるのを見ながら大変そうだなと思った。
――地下へと降りようとしている中で、急にその場の空気が変わったというか、変な雰囲気になったのに僕は気づいた。
これは杉山たち案件だろうかと、思わず身構えてしまう。だけどきょろきょろとしたりはしない。冷静に周りから不自然に思われない程度に動く事にする。
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