第13話

 龍牙は使い慣れない脳を賢明に回転させ、自分の置かれている状況を理解しようとする。

 でも、できない。

 目の前にいる最初のイメージとはかけ離れたアリスを見ると誰でもそうなるだろう。

 アリスは今にも龍牙に飛びかかって来そうだ。

「おい、アリス、落ち着け」

 龍牙は若干声を引きつらせながら言った。

 アリスは微笑み、

「私はいつだって落ち着いていますよ」

 と言い、再度縄を床に打ち付けた。

「さて、龍牙。私が今から質問をします。それにあなたは正直に答えてください。嘘をついたら容赦はしません。いろんな意味で」

「いろんな意味って何だよ!」

 龍牙は逃げようとあたりを見回すが、アリスの背にある扉以外に出入り口は見当たらない。

「逃げようとしても無駄ですよ。さあ始めましょう」

 アリスはもう一度ほほえみ、龍牙の正面に座った。

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