第4話
「実はこの学園は表向きは4学年制なだけなんだ」
「表向き?」
「ああ。この学園は4年在籍しただけでは卒業資格は貰えない。卒業するためにはあることをしなければいけないんだ」
「あること?」
「男同士で婚姻関係を結ぶことだ」
「はあっっっっ」
「それで、悪いが俺はそういうことに興味が無くてな。このままじゃ卒業ができないと教師に通告されてしまって、どうしようか悩んでいたときにお前が倒れていたんだ」
「えっとつまり?」
龍牙は次に返ってくる言葉を予測したくなかったのだがなんとなく想像がついてしまっていた。
しかし想像と違う答えが返ってくるかもしれないので、念のため聞いてみた。
アリスは龍牙の問いに答えようか迷っていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「俺と結婚してほしい」
(ですよねー!)
龍牙は想像通りの答えが返ってきたことに頭の中で突っ込んでしまった。
「いやいやいや。婚姻って、そもそも俺はこの学園の生徒じゃないし」
「それなら大丈夫だ。なんとかなる」
龍牙が何か理由をつけて断ろうと考えているのに対し、アリスはその理由をかわしてくる。
「とりあえず、俺はお前に求婚した。どうするかはお前次第だ。ただし、お前はこの学園の生徒になってもらう。ここなら学園の敷地内に寮があるし、異世界から来たお前でもあまり困らないだろう」
「え、ありがと…って、ちょっとまて。なんでお前は俺がこの世界の住人ではなくて異世界から来たってことを知ってるんだ?」
「うちの家系の特殊能力で相手の心のうちを見ることができるからだ」
アリスはさも当然といった感じでさらっと答えたが、龍牙が住んでいた日本では、そんな話ファンタジーでしかなかった。
龍牙は鼻で笑おうとしたが、さっきからのアリスの言動を思い返すと信じるしかないのがまたなんとも言えないというような表情をした。
カラーンカラーン
「おっと、そろそろ寮の門限だ。今日のところはこれで終わろう。とりあえず、寮に案内させてくれ。話の続きはまた明日だ」
「わかった。じゃあ、案内、よろしくお願いします。でもまだ俺はこの学園の生徒じゃないぞ」
龍牙がせめてもの反抗を見せると、アリスはイタズラな笑みを浮かべた。
「それは明日になってからのお楽しみ」
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