第2話

食べ物を探して1時間くらいがだった。

夕焼けでオレンジ色になっていた空も今は暗く、月が上り始めていた。


俺は近くの山に隠れ、雑草を食べていた。

「とにかく食べなきゃ、体力がなくなる前に回復しないと…」


「ねぇ、そこのイケメンの君、何をしているの?」


目を疑った、彼女は榊が狙っていた俺のクラスメイトでもある美少女、阿部あべ真夏まなつである。


「ここうちの私有地なんだ。」

「すいません阿部さん!榊君には言わないでください!」

「ん?私あなたと会ったのは初めてじゃない?」

「あ、いや、えーっと。」

「まぁいいや、とりあえずうちきなよ。見たところ私と同い年でしょ?事情も聞きたいから。」


そう言われて、阿部真夏についていった。


「それで君の名前は?」

「えーっと…泉滝です…」

「え!???泉くん!?」

「実は…」

「あれ?泉くんってもっとちっちゃくてまんまるで可愛い子だったよね?」

「それが俺もよくわからないんです。」



「本当なの?」

「はい、たしかにあの時に車に轢かれて…夢だと思ったんですけど」

「轢かれたなんてそんなの私知らないよ?」

「俺も本当になにがどうなっているのかわかっていないんです。夢だと思って起きたら、母親に家から追い出されて…」

「じゃああなたは本当に泉くんなのね?」

「はい…」


ガララララーーー


「ただいま!真夏!父さんが帰ってきたぞ!…って真夏がついに男を家に連れてきた!?」

「父さんこの人は違うの!聞いて!」


事情を話した。

信じてもらえないかと思ったが案外信じてもらうことができた。


「あの時の泉くんがこんなにかっこよくなって…」

「え?お父さん泉くんと会ったことあるの?」

「会ったことあるも何も、泉くんは幼稚園の頃、真夏が大好きって言ってた男の子だぞ?」

「え?幼稚園の頃の泉くん…?私が知っているのは泉ちゃんだけだよ?」

「その泉ちゃんが泉滝くんだよ?」

「そうだったの!?」

「大好きって言ってたのに忘れてたのか?」

「………」


阿部真夏は無言になり、顔を赤らめた。


「それにしてもよく見たら幼稚園の頃の面影が少しだけ残っているような…気のせいかっ!」


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