第67話 Show・Lie・Mad・Sexual

彼らに残されるのは借金と虚無だけだ。

あまりにも残酷な神は私たちに救いの手を差し伸べようとはしない。

救いの手を差し伸べるのは神ではなく、人なのだ。

だから私たちは互いに利他の精神を持たなければならない。


ついでにもう一つ、科学の名著を紹介しよう。

リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』だ。

この本はアドニスが愛した。

この本の中に、チスイコウモリの生態について述べた感動的な箇所がある。

チスイコウモリは、その名の通り生物の血を吸って生きている。

彼らは、食糧を手にすることができず、飢えている他の個体を見ると、自分が吸った血を吐き出してその個体に与えてやるのだ。

すると、今度自分が食糧を得られなかったときに、他の個体(それは過去に自分が食糧を恵んでやった個体かもしれない)から、血をもらうことができるのだ。

たまに、こうした慣習を無視して、飢えている個体に対して食糧を恵んでやらない利己的な個体が現れる。

この個体に対しては、他の個体も自分の分の血を与えてやろうとはしない。

結果、この利己的な個体は飢えて死ぬ確率が高いのだ。

すると、必然的に利他的な個体が生き残りやすく、彼らが繁殖することで、利他的な性質を持った個体が生まれ、また利他的な互恵関係が形成される。


人間も同じようなものではないだろうか。

他者を助けない者は、自分が窮地に陥ったとき、誰からも手を差し伸べられることなく、一人孤独に死んでいくのではないだろうか。


私たちは互いに手を差し伸べなければならない。

このとき、拒絶を恐れてはならない。

結句、そうした行動は自らの身を助けることになるのだ。


利他的に生きよう、私たちも。

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