第62話 Dreams ~杏奈の夢~

「そこには、妖精がいたの。

神話に出てくるエルフのような、小さな妖精よ!

その妖精は眠っていたみたい。

だけど、私が驚いて声を上げたせいで、起こしてしまったの。

目覚めた妖精は、私に魔法をかけた。

私は、お姫様のようなフリルの付いたドレスを身に纏ったわ。

そして、身体がふわりと浮かんで、空を飛べるようになったの!

そのまま、例のホテルまで飛んで、ホテルの高い階にある部屋の窓から、中に入ったの。

そこはスイートルームだったみたい。

広い部屋で、とても大きなベッドがあった。


私はそこであることに気付いたの。

それは、この世界には人間が私一人しかいないという事実。

私はそれまで、誰とも出会うことがなかったわ!

とても素敵な世界なのに、ひとりぼっちなんて!

きっと、私はこの素敵な世界でずっと暮らせると思う。

でも、ひとりぼっちで暮らすくらいなら、私は瑠璃やお母さんがいる、この現実の世界の方が良いと思った。

ねえ、そうじゃない?

ひとりぼっちの楽園なんて、きっとつまらないわ!

人は、人と触れ合って初めて人たりえるのよ!

そう思ったら、目が覚めたわ。

ねえ瑠璃、どう思う?」

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