第61話 禍福は糾える縄の如し

「ねえ、瑠璃。今日見た夢の中で、私は不思議な街に行ったの。

そこは、周りを水に囲まれていて、さながらヴェネツィアのようだった。

私はその街の大きなホテルに泊まったの。

街の中心部にそびえる、大きなドームのようなホテルよ。

そのホテルに泊まるには、ある証明が必要だったの。

それは勇気の証明。

勇気がある者しか、そこに泊まることはできなかった。

その街の宿泊施設は、その大きなホテルだけだったから、その街に行くには、必然的に勇気を伴わなければならないの。

私は勇気を証明するために、街中を歩いて回ったわ。

行く先では、色んな危険があるでしょう?

その危険を克服していけば、勇気の証明になると思ったの。

夜が訪れると、私は森の中に入ったわ。

灯りのない夜の森は、とても暗くて怖かった。

熊のような危険な動物が出てくるかもしれないし、暗がりで道を踏み外して怪我をするかもしれなかった。

私はそんな危険な森にたった一人で入ったの。

すると、森の途中で私は、淡い青い光を放つくさむらを見つけたの。

不思議に思ってその叢を覗き込んだら、ねえ、そこには何がいたと思う?」

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