第59話 瑠璃 ~十四歳の肖像~

瑠璃はこんな詩を書いていた。



 寂しさはいつも、私に寄り添って、憂いな色を残す。

 苦しさはいつも、涙に変わって、心を蝕んでいく。


 羽ペンで思い描いた、影絵の貴方はもう、居ない。

 許し合えたひと時すらも、今では遠いまぼろしのよう。


 独りきりの夜に、貴方を捜して・・・

 戻れない日々よ、二人を閉じ込めて・・・



詩の題名は、「影絵の貴方へ」だった。

この詩は、学校が発行する創作同人誌の1ページに、小さく載った。

おそらく、この詩に目を留めた者はいなかったかもしれない。

しかし、瑠璃にはこのささやかな六行詩が、何よりもきらめいて見えた。

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