第51話 悲観主義者よ、いい加減にしろ

アポロンこと風魅颯翔かざみはやとには、こんな信念があった。


『悲観主義者ってのは現実を正しく捉えられねえ馬鹿しかいねえ。

現実のある悲惨な1ページを切り取って貼り付けることを繰り返し、やつらは自らの本を作り上げる。

それは現実を歪め、曲解し、極めて不自然な破滅絵巻だ。

土台、楽観的な未来予測ってのは人気がねえ。

この世界は豊かで、安息な未来が約束されているなどと言ったところで、声のでけえ悲観主義者の喚き声にかき消されちまうのさ。

経済は悪化し、犯罪は増え、疫病が蔓延する・・・。

そんなノストラダムスじみた詐欺師に、民衆は欺かれる。

どこにそんなデータがあるってんだ?

歴史を見ろよ。

人類は過ちを繰り返しながらも、確実に進歩している。

現在の底辺と、100年前の底辺、どっちがマシだと思う?

現代の底辺であるところの生活保護受給者が、過去から見ればどれだけ貴族的な生活を送っていると思う?

現代日本に生まれておいて、甘えたこと言ってんじゃねえぞ。

ウンコを垂れ流してる重度知的障害者ですら生きられる世界で、何が「人生詰んだ、生きていけない」だ?

「生きづらい」だ?

それなら、早く死ね。

ネガティブを周囲にばら撒くな。

馬鹿が。

昔の人間は、病気に対してなすすべがなかった。

ただ死を待つだけの肉塊でしかなかった。

神にすがるしかなかったんだ。

仏教について考えてみたことはあるか?

来世で良い人生を送るために、現世で徳を積む・・・。

現世、捨ててんじゃねえか。

こんな哀しいことがあるか?

今の時代を見てみろよ。

一文無しになったって、人生終わるわけじゃねえ。

何度でも立ち直れる。

挑戦し放題なんだよ。

だから、「人生詰んだ」とか馬鹿言ってねえで、もう一度ゲームのコントローラーを握れ。

再挑戦しろ。

クソ馬鹿ゴミ共が。』

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