第48話 エインガナ

アポロンが代表を務めるホストクラブ「QUALLIA」は、「LUXURY GROUP」というホストクラブグループに所属していた。

「QUALLIA」が出来たのは、つい半年前のことである。

半年前に出来た会社というと、本当につい最近という印象を持たれるかもしれない。

だが、移り変わりの激しいこのホスト業界では、そうでもない。


この青年は18歳でめくるめく歌舞伎町のホスト業界に入り、以後6年の歳月をホストとして過ごしてきた。

今、彼の野望は燃えていた。

彼は「QUALLIA」を何としてでもナンバーワンのホストクラブにしなければならないと感じていた。

それを夢で終わらせるつもりはなかった。


読者は、彼の幼き日の追憶を読んでいただけただろうか。

彼は恵まれた生まれではなかった。

この世には、自分が恵まれた生まれであるにも関わらず、自らを不幸だと自称する者たちがいる。

青年はこうした者たちを甘えだと感じ、厳しい眼で眺めたが、しかし、彼らが接客をする相手というのは、このような手合いも存在するのである。

ある時、彼を指名したのは、こんな女だった。

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